血管拡張反射と血管運動反射と勃起



【血管拡張反射】


末梢神経からの入力により血管が拡張する反射。
何らかの原因で血圧が上昇した場合、動脈圧受容器が興奮し、交感神経血管収縮神経の活動が低下し、血圧低下をもたらす動脈圧受容器反射がその典型である。
さらに、体性感覚神経の興奮でも血管拡張反射が生ずる(ウサギの三叉神経減圧反応)。
これらは,尾側延髄腹外側網様体に存在する特定のニューロンが興奮して、吻側延髄外側網様体にある交感神経興奮性網様体-脊髄路ニューロンの緊張性活動を抑制し、 交感神経活動が低下することに起因すると考えられているが、全てが証明されているわけではない。
皮膚をこすると赤くなるのは、軸索反射による一種の血管拡張反射であり、仙髄の副交感神経の血管拡張神経を遠心路とする勃起も、この1つである。


【血管運動反射】


末梢神経からの入力により、血管運動が神経性に変化する反射。
血管運動反射は、交感神経である血管収縮神経の活動が変化し、血管平滑筋の収縮の程度が変化し、血圧変化をもたらす反射が多い。
末梢化学受容器反射を代表とする血管収縮反射と、動脈圧受容器反射を代表とする血管拡張反射に分けられる。
体性感覚神経が興奮した時は、血管収縮と拡張のどちらかが優位に生じる。
陰部神経興奮に伴う陰茎の勃起は、副交感神経を遠心路とする血管拡張反射である。


【反射性勃起】


勃起の神経学的中枢は仙髄神経にあり、ここから陰部神経、また骨盤神経を介した勃起の反射回路が存在する。
通常は、上位中枢系からの恒常的な抑制(理性的な抑制など)が働いているが、何らかの原因や疾患によって、この抑制がはずれると、 局所性に容易に勃起を生じる。
このような勃起現象を、反射性勃起といいます。

反射性勃起は、マスターベーションやペッティングなどの物理的刺激を陰茎、陰嚢に与えたり、直腸、膀胱を刺激することで、脊髄の中にある勃起中枢が刺激されることにより起こります。

交通事故などで、脊髄損傷を受傷された方は、大脳等で感じた性欲が、脊髄を伝達し仙髄の勃起中枢まで、届かないため、勃起不全を生じることが多いのですが、 しばしば、反射性勃起を認めます。
これは、健常人に比して、上位中枢からの抑制が働かないためです。
また、反射性勃起が認められる脊髄損傷の方は、認められない方に比べ、 ED治療薬の効果が期待できるとも言われております。
脊髄損傷の部位によっても異なりますが、ED治療薬を試してみる価値はございます。

これに対して、女性の裸を見るなど、性欲が増加し生じる勃起を、中枢性勃起といいます。

ちなみに、お母さんの体内の胎児も、陰茎や陰嚢が、臍帯(へその緒)で刺激により、反射性勃起を起こすことがあるそうです。


written by バイアグラを東京で.スカイクリニック