利尿薬



【利尿薬】


利尿薬は、その名の通り、利尿(水分を体外に出す)を促す薬剤です。
利尿により、体内の水分・ナトリウムを排泄し、血圧を下げたり、むくみ(浮腫)をとる目的で投与されます。
主には、水分を調整する腎臓に作用するのですが、各利尿薬で作用する部位が異なり、 サイアザイド系利尿薬(遠位尿細管に働く)、ループ利尿薬(ヘンレ上行脚に働く)、K保持性利尿薬(抗アルドステロン薬のことで、別項に 記載してあります)に分類されています。

適応症は、高血圧症・さまざまな浮腫(むくみ)をきたす疾患です。
降圧薬としては、主にサイアザイド系利尿薬が用いられます。
サイアザイド系降圧利尿薬は、一時その使用頻度が減少していましたが、ALLHATという高血圧症に対する大規模臨床試験の結果から、 効果が見直され、最近では、高血圧治療で欠くことのできない薬剤になっております。
サイアザイド系利尿薬は、血圧を下げる作用は強くないのですが、他の降圧薬と少量併用すると降圧効果が増強することから、 アンギオテンシンⅡ拮抗薬(ARB)やカルシウム拮抗薬と少量で併用されている方が増えています。 また、アンギオテンシンⅡ拮抗薬(ARB)との配合剤が、すでに市販され多くの患者様に処方されています。

浮腫を来たす疾患としては、心性・腎性・肝性浮腫など、さまざまな疾患で用いられています。
この場合は、より利尿効果の強いループ利尿薬が中心になります。
また、抗アルドステロン薬(K保持性利尿薬)は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を抑制するため、心臓や腎臓の保護作用や、 予後改善効果が示されているため、しばしば、ループ利尿薬と併用されます。 また、ループ利尿薬は、低K血症を来たしやすく、K保持性利尿薬との併用は、理にかなっており、相性の良い薬剤です。

このように、臨床の現場では頻用される薬剤ですが、ことEDに関しては、その副作用(薬剤性ED)の発生に注意が必要です。
ループ利尿薬は、薬剤性EDの原因薬剤にはなりにくいのですが、サイアザイド系利尿薬、K保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)は、 薬剤性EDの原因となり得ます。 K保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)の代表アルダクトン(成分名スピロノラクトン)は、副作用の女性化乳房が広く知られております (現在では、この副作用を低減したセララという薬剤が市販されています)。 この事から、容易に薬剤性EDの原因になりうる事が想像できますが、 サイアザイド系利尿薬が薬剤性EDの原因となることは、あまり知られていません。 しかも、このサイアザイド系利尿薬は、高血圧治療の中心的薬剤の一つであり、その処方数は計りしれません。
高血圧の治療中に、知らず知らずのうちに、薬剤性EDになっている場合もあり得ます。

また、新薬として、バソプレシンV2受容体拮抗薬のトルバプタン(商品名;サムスカ)が心性浮腫に対して2010年より投与可能になっており 利尿薬は、そのバリエーションを拡大させています。

具体的な薬品名ですが、サイアザイド系利尿薬は、フルイトラン、ベハイド、サイアザイド系に類似したものとしてナトリックスなどがあります。
ループ利尿薬として、ラシックス、フロセミド、ルネトロン、ルプラック、ダイアートなどがあります。
K保持性利尿薬は、アルダクトン、セララです。
ジェネリック医薬品も、豊富に市販されております。

高血圧は、動脈硬化をきたしEDの原因となる為、治療を進めていただきたいのですが、使用薬剤で、薬剤性EDになりうるため、注意が必要です。
詳しくは、主治医又は、池袋スカイクリニックへご相談ください。

ED治療薬との併用は、支障はございません。バイアグラレビトラシアリス錠の服用は可能です。


written by ED薬は池袋スカイクリニック.