前立腺肥大



【前立腺肥大症】

前立腺肥大の話の前に、前立腺対する理解を深める必要が有ります。
前立腺は、男性特有の臓器です。 骨盤内、膀胱の下部に尿道を取り囲むように存在します。
前立腺の主な作用は、射精時に前立腺液と呼ばれる 精液 を分泌することです。
辺縁域、移行域、中心域の3域から構成される。(以前は、外腺、内腺に分類されていた)。 良性疾患である前立腺肥大症は、移行域の肥大に由来することが多く、前立腺ガンは、中心域、辺縁域に生じる事が多いとされます。
通常は、栗の実程度の大きさであるが、年齢とともに肥大傾向となります。


前立腺肥大症は男性特有の病気です。 前立腺の移行域(以前の分類では内腺)が肥大することにより発症する、良性疾患で、前立腺がんとは関係がございません。
主な症状は、尿の切れが悪い、残尿感がある、夜間頻尿などです。
最近では、前立腺肥大症は、下部尿路疾患と呼ばれております。 下部尿路疾患は、EDの危険因子でもあり、この治療により、 EDも改善するといわれております。

中心的治療薬は、α遮断薬と呼ばれるものです。
薬品名をあげると「ハルナールD」(アステラス製薬)、「フリバス」及び「フリバスOD」(旭化成)、 「ユリーフ」(キッセイ薬品)です。
前立腺の緊張をとき、前立腺によって圧迫されていた、尿路を拡張させます。
このα遮断薬に分類される前立腺肥大治療薬ですが、 バイアグラレビトラシアリスなどのED治療薬との併用に、若干の注意が必要です。
α遮断薬は、血圧低下作用があるため、副作用として、起立性低血圧(立ちくらみ)を生じる事がございます。 この起立性低血圧(立ちくらみ)が、ED治療薬によって、増強することがございます。一般には、注意して、ゆっくり起立すればいい事であって、併用ができない(禁忌)というわけではございません。 (もちろん、血圧低下作用が著しい場合は、この限りではございません)

治療薬は、α遮断薬以外にもございます。
作用はやや弱めですが、「バラプロスト」(興和)、「セルニルトン」(東菱-扶桑)、「エビプロスタット」(日本新薬)があります。

前立腺は、男性ホルモンにより肥大するため、この男性ホルモンを抑える薬剤もございます。お気付きの方もいらっしゃると思いますが、男性ホルモンを抑制すると、EDになります。 「プロスタール」(あすか-武田)、「ルトラール」および「プロスタールL」(塩野義)、「プロスタット」(日本新薬)、「パーセリン」(MSD-第一三共)、「ぺリアス」(日本新薬)、「デポスタット」(富士製薬)、「プロステチン」(武田) などです。これらの薬剤は、薬剤性EDになりうる薬剤です。

最近市販された、「アボルブ」(グラクソスミスクライン)は、5α還元酵素阻害薬に分類される薬剤で、テストステロン(男性ホルモン)から、より強力なジヒドロテストステロンの合成を抑制し、前立腺の容積を縮小させます。 アボルブも、勃起不全を生じうる薬剤です。

主に前立腺肥大と、その治療薬について解説いたしました。 薬物療法で十分な改善が得られない場合、手術療法が選択される場合もございます。
上記で説明した、治療薬とED治療薬の併用は可能です。(α遮断薬の併用時には、起立性低血圧(立ちくらみ)に注意が必要です) 下部尿路症状とEDは密接な関係が有るとされ、合わせて治療される事をお勧めいたします。


written by レトビアなら池袋スカイクリニック(東京).