レム睡眠はご存知でしょうか?
人は、睡眠時に、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
レム睡眠は、夢を見やすい睡眠と言われておりますが、このレム睡眠中に、陰茎が勃起するといわれております。
これが夜間勃起現象です。詳しい機序は不明です。
高齢になるとノンレム睡眠時に生じるとも言われております。
夜間勃起は、ほとんどが睡眠中のレム期に同調して発生します。
正常な身体に発生する生理現象の一つであり、特に性的刺激を介在する事なく発生します。
みなさん、夜ふと目覚めたら、陰茎が怒張していたという経験はありませんか?
これがそれにあたり、エッチな夢を見ていた等関係なく、レム睡眠に一致して生じえます。
一晩あたりの回数は、青年期男性では、90分程度の周期で、1回数十分で1夜で3~6回くらい起こすとされています。
このレム睡眠は、私たちが夢を見ている時間帯ともされております。
生理的勃起に性的な夢が、クロスオーバーすると夢精=
夜間遺精
が出現する事が有ります。
最近では、簡便に測定できる方法・装置(リジスキャンなど)が開発され、
EDの診断や分類が容易となっています。
糖尿病性神経障害や動脈硬化などの身体の器質的障害による器質的ED(器質的性交不能症)では、
この現象は、消失または著しい障害が認められますが、
ストレス等の精神的な問題(心因性)の場合には、正常に認められます。
本現象の有無が、診断する上で、参考になります。
朝立ちも、同様のメカニズムと考えられます。
レム睡眠は、朝方に延長してゆくので、レム睡眠から起床する事が多くなり、
この場合には勃起が認められ、朝立ちとなります。
ノンレム睡眠から起床した場合、朝立ちは認められません。
毎朝、朝立ちがあるというわけではございませんので、朝立ちがなくても、心配なさらぬように。
この朝立ち・朝勃ちが、EDの診断に役立つ場合がございます。
陰茎海綿体や、その血管、支配神経が障害を受けると、朝立ち・朝勃ちがしなくなります。
つまり、朝立ち・朝勃ちがある場合は、器質性EDが除外できます。
簡単には、お体の中に病気が存在し、それが原因でEDを生じている可能性が少なくなります。
この場合のEDは、心因性と考えられます。社会的ストレスなどです。
また、単純に疲れていたり、寝不足が原因であったりもします。
注意しなければいけないことは、朝立ち・朝勃ちがないからと言って、すぐEDの診断にはなりません。夜間レム睡眠中のみ勃起し、朝には、
勃起が収まっていることも多くございます。朝立ち・朝勃ちがないからと言って、器質性EDの診断になるわけではなく、あわてる必要はございません。
夜間勃起現象が、朝まで遷延していないだけということもございます。
簡便な検査方法に、スタンプテストがございます。
ちなみに、男性のペニスにあたる部位、女性のクリトリスにも同現象や朝立ち・朝勃ちを認めます。 性的な興奮は伴っておりません。
夜間就寝中にレム睡眠期に一致して起こる夜間勃起を調べる検査の総称です。
夜間勃起が、朝立ちなどで自覚できない場合や、性的な視覚的刺激や聴覚的刺激に反応しない場合などで、心因性EDと器質性EDを鑑別するのに有用な検査法です。
方法としては,就寝時の陰茎周囲長と硬度の変化を連続的に記録できるリジスキャンを用いるのが信頼性が高いとされており、これが一般に用いられます。
リジスキャンを用いた場合、器質性EDの原因診断の一助になります。
この他に簡便なものとしては、郵便切手を陰茎に巻き付けておき起床時に切手間のミシン目が切れていれば勃起があったとするスタンプテスト、
マジックテープに目盛りのついたテープを巻き付けておき、起床時に目盛りの変化を読むことにより陰茎周囲長の変化を確認するエレクチオメーター法、
一定の張力で切れるテープによってつながれたバンドが、切れたか否かで勃起の有無とその強さを確認するスナップガーゼ法などがあります。
本検査は睡眠状態に影響されるため、3晩連続での測定が推奨されています。
また、交通外傷後の脊髄損傷によるEDなどの後遺症診断や、離婚訴訟におけるED診断(EDが離婚の原因となっている場合など)の際には必須の検査方法でもあります。
以下に、検査法を記載します。
スタンプテストは、夜間陰茎勃起現象の簡易テストです。
【方法】
睡眠時に、切手のシートを、陰茎に巻きつけお休み下さい。
起床時に、この切手シートが切れていれば、勃起現象が生じていたことになります。
朝立ち・朝勃ちがなく、不安に思われている方は、簡単な検査なので、一度お試しください。
朝立ち・朝勃ちがある場合、または、スタンプテストで切手が切れていれば、器質性EDの可能性は低くなり、心因性EDの可能性が高まります。
リジスキャンは、EDの診断に用いられる検査法の一つで、夜間勃起現象の評価試験です。
リジスキャンは、陰茎周長と硬度の変化を連続的に記録する事が可能で、勃起の有無・回数だけでなく、勃起の程度や勃起の持続時間も計測可能な診断装置です。
測定用に2つのループをもち、冠状溝ならびに陰茎基部のサイズの変化を測定する事が可能です。
夜間勃起の有無を検査するに当たり、最も信頼性が高いとされる検査方法であり、
性的な視覚的刺激・聴覚的刺激による勃起能検査にも用いることが可能です。
正常の男性では8時間の睡眠中に10から15分継続する勃起状態が3~6回起こるとされており、
それらは陰茎基部で3cm、冠状溝部で2cm以上の周囲長の増加と70%以上の硬度の増加を伴うとされています。
リジスキャンの診断としては通常、金子の分類(1)が使用されます。
正常、硬度不均一、硬度腫脹不一致、(硬度持続)短時間、低硬度、平低の6型に分類されます。
頻度、硬度、周径変化、持続時間がすべて正常なものが正常型(normal)で、それ以外はこれら4項目のうち1つでも異常があれば器質性EDと診断されます。
基礎疾患に循環器系疾患が存在した場合、低硬度型、平低型35%と硬度・腫脹が低下した症例が多いのに対して、
中枢神経系疾患群では短時間型が60%と最も多く、低硬度型47%、平低型7名であり、両者間にリジスキャンのパターンの違いを認めるとのことです。
糖尿病群では、インスリン非依存患者がさまざまなリジスキャンのパターンをとるのに対し、インスリン依存患者では低硬度型、平低型が多かったとされています。
夜間陰茎硬度腹脹連続測定法は、そのパターンの解析と他の検査結果との総合的な判定により、器質性勃起不全と心因性勃起不全の鑑別診断のみならず、
器質性EDの原因疾患の診断にも役立つことが期待されます。
(1)日本泌尿器科學會雜誌 81(12), 1889-1895, 1990-12-20
written by 勃起不全は池袋スカイクリニック