HIV感染AIDS発症車の平均寿命は治療法の向上により延長している



Impact of late diagnosis and treatment on life expectancy in people with HIV-1: UK Collaborative HIV Cohort (UK CHIC) Study

HIV感染者の余命に関する報告

HIV感染は、ED治療とは直接関係はありませんが、性感染症として注意すべき疾患です。 私たちの勉強の意味もありますが、ご紹介したいと思います。

 1996~2008年におけるUK Collaborative HIV Cohort(UK CHIC)Studyのデータ解析結果の報告です。
BMJ誌電子版に掲載されたものです。

近年の抗HIV療法の進歩は目覚ましく、抗ウイルス療法の効果が認められる患者の死亡率は、減少していると考えられています。
そこで、実際に余命がどうなったのか、ガイドラインに従って治療を行った場合、その延命効果はどうなのか評価しましょう、 20歳のHIV感染者の平均余命を調べてみました、という論文です。

英国のHIVクリニックを受診した20歳以上のHIV-1感染者で、英国のHIV治療ガイドラインに従い、 その時点でCD4数が350個/mm3(白血球T細胞)以下で、かつ、96~08年に3剤以上の抗HIV薬の投与が開始されている患者を対象に、 治療開始の時期(96~99年、2000~02年、03~05年、06~08年)の4群にわけ、治療開始時点から追跡を行っています。

細かな統計手法は置いとくとして、20歳時の平均余命を求めたところ、96~99年に治療を開始したグループは30.0年(SDは1.2)、 00~02年は39.4年、03~05年は43.1年で、06~08年には45.8年。
96~08年の期間全体では41.1年。
96~08年の平均余命を男女別に見ると、男性患者では39.5年だったが、女性患者は50.2年と長かった。

同時期(96~06年)の20歳の一般英国人の平均余命は男性が57.8年、女性は61.6年であるため、全体を比較すると、まだ、かなりの差がありますね。

2000年以降に初めて抗ウイルス療法を開始した患者で、 (なぜ2000年以降かと言うと、2000年以降に非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬という新しいタイプの抗HIV薬が利用できるようになったため)、 さらに抗HIV薬投与開始時のCD4数で患者をグループ分けした場合、20歳時の平均余命は、かなり改善されています。
CD4数が100個/mm3未満の20歳時点の平均余命は37.9年、100~199個/mm3の平均余命は41.0年、200~350個/mm3の余命は53.4年です。
一般英国人の平均余命の58.8年と比較すると、CD4数の少ないグループから、それぞれ20.9年、17.8年、5.4年、平均余命が短いことになります。
ガイドラインに従って治療した場合、健常者と余命が5年程度しか変わらなくなってきてます。
さらに、この平均寿命は、ヘビースモーカー、大量飲酒者、肥満者といった不健康な生活を送っている一般の人々や、 糖尿病などの慢性疾患を患っている患者さまと同様との事です。

96年から08年までの間に約15年も伸びたことになります。
HIV治療の進歩は、目覚ましいものがありますが、医学の進歩って凄いですね。
これからも、発展し続けるはずですから、HIV患者様でも、健常者と同様の生活ができ、平均寿命となるのもそう遠い話ではなさそうです。

早期診断、適切な治療を行うことは、非常に有効ですが、ただ、やや進行してから治療を開始したグループの平均余命は、まだまだ、改善の余地があります。
早期発見を心掛けないといけないのですが、これは、今のところHIV健診を自発的に受けるしかなさそうです。
HIV自体、ただ感染しているだけでは、なかなか症状が出ない病気ですから。

この論文はHIVに感染しても、大丈夫です...と言っている訳でありません。
バイアグラレビトラ錠シアリス錠には、性感染症の感染予防効果は当然ありません。
しっかりと、感染予防を行ってください。


BMJ 2011; 343:d6016 doi: 10.1136/bmj.d6016 (Published 11 October 2011)


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