テストステロン補充療法による性腺機能低下症候群(LOH症候群)患者のED改善行に関する検討



性腺機能低下症候群(男性更年期)患者に対する男性ホルモン補充療法によるED改善効果と限界

 第21回日本性機能学会東部総会での報告です。
金沢大学大学院医学系研究科集学的治療学(泌尿器科学)、重原一慶先生等の報告です。
多少の解説を加えながらご紹介いたします。

男性更年期障害というワードを、マスメディアなどで聞いた事があるかたも多くいらっしゃると思います。
男性更年期障害は、私たち医療従事者の間では、加齢性性腺機能低下症候群(LOH症候群)と呼ばれております。
男性ホルモンが減少する事により様々な症状が生じる可能性がございますが、その部分症としてEDもあります。

EDを自覚した性腺機能低下症候群患者(LOH症候群)に対する男性ホルモン補充療法の性機能に対する効果と、男性ホルモン補充療法による、 勃起機能含む性機能改善予測因子について報告がありました。

本邦の性腺機能低下症候群(LOH症候群)の診療の手引きに準じ、 遊離型テストステロン(FT)11.8pg/ml未満を男性ホルモン低下群として性腺機能低下症候群(LOH症候群)と診断し、 EDを自覚している性腺機能低下症候群(LOH症候群)患者で、男性ホルモン補充療法を行っています。
1年の男性ホルモン補充療法を行ったおよそ50例が対象になっています。
IIEF5スコアにて、男性ホルモン補充療法施行前後で勃起機能含む性機能を評価。
また、男性ホルモン補充療法により勃起機能が改善した群(改善群)と、勃起機能の改善を認めなかった群(不変群)に分け、 男性ホルモン補充療法前の患者背景(年齢、IIEF5値、BMI、ウエスト周囲径、治療前IIEF5、AMS、IPSS値)および治療前の各種血液検査値 (遊離テストステロン、ヘモグロビンA1c、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、アディポネクチン値)を比較し、 男性ホルモン補充療法による勃起機能改善予測因子について検討。

60歳代後半男性患者様を対象。
男性ホルモン補充療法後のIIEF5値は、全体としては有意な性機能の改善は認めていません。
しかし、男性ホルモン補充療法により性機能の改善を認めた患者は4割弱いらっしゃいます。
性機能改善群と不変群とを差異は、改善群では、男性ホルモン補充療法前のIIEF5値が有意に高く、 アディポネクチン値は有意に低かったそうです。
その一方、男性ホルモン補充療法前のAMS、IPSSおよび各種血液検査値において両群間に差は認めなかった。
また、勃起機能改善群では12ケ月の男性ホルモン補充療法によりウエスト周囲径、AMSスコア、HbA1cの有意な改善を認め、 アディポネクチン値の上昇傾向を認めた。
一方、性機能不変群においては、いずれの項目も有意な改善は認めず、アディポネクチンも有意な変化は認めなかった。

1年間の男性ホルモン補充療法により、EDを自覚した性腺機能低下症候群(LOH症候群)の一部の患者では勃起機能の改善を認めています。
残念ながら一部の患者に効果は限られていますが、男性ホルモン補充療法前のIIEF5が高く、アディポネクチン値が低い患者において男性ホルモン補充療法による勃起機能改善を認め、 同時にウエスト周囲径、AMSスコア、ヘモグロビンA1cも有意に改善していたとのことです。

やや、専門的ですが。
簡単には、もともとの勃起機能が、ある程度保たれている方や、メタボな方(やや、語弊がございますが)、 糖尿病の傾向がある方は、男性ホルモン補充療法が有効といえます。
やみくもに、様々な治療を試みても、患者様の負担が多くなるだけです。
皆様に、有益な治療法、情報を提供するために、日々、勉強が必要です。


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