外国人と比較した術前・術後の日本人の性機能



前立腺手術前後における日本人の性機能の変化と特徴

 第21回日本性機能学会東部総会での報告です。
東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野、並木俊一先生、荒井陽一先生等の報告です。
多少の解説を加えながらご紹介いたします。

日本人は、性に対して淡白な人種です。
同じアジア人にも、性に執着する民族もいれば、そうでない民族もいます。
島国育ちで、温厚な民族だからでしょうか?
勃起不全、性機能についても、これを考慮して判断しないとなりません。

前立腺癌の治療後におこる尿失禁や勃起不全、患者QOL(生活の質)に大きな影響を与えます。
一方、文化、生活様式、人種の差異は、治療効果の判定には大きな要因でもあります。
したがって、欧米の報告が、そのまま日本人に当てはまらないことも指摘されています。

UCLAProstateCancerlndex(UCLAPCI)は、国際的に標準とされている限局性前立腺癌患者のQOL問診票です。 本邦においても、日本語版質問票UCLAPが存在します。

UCLAP調査票を用いて行われた日米のデータベース約1000例について、臨床データ、社会背景、 およびQOLデータを収集・整理し、解析されています。
その結果、治療前の勃起・性機能は米国で良好であったが、性負担感には日米に差を認めなかった。 また前立腺全摘除術後において日本人の22%及び米国人の35%が治療前の勃起機能に回復していたとのことです。 性負担感については、術後12ヶ月で日本人の76%が術前まで回復しているにもかかわらず、米国人は40%であった(Prostate ca and prostatic dis,2008)。

前立腺手術後の勃起機能、性機能回復のために、勃起薬(PDE-5阻害剤)による治療が広く行われるようになっております。
日米では、前立腺全摘除術後の勃起薬(PDE-5阻害剤)の使用の頻度、使用群・非使用群の患者背景に、大きな違いがあります。
日本人は術前の勃起・性機能が高い程、勃起薬(PDE-5阻害剤)の使用の頻度が高率です。
一方、米国人は勃起・性機能が低い患者ほど、性機能回復のため勃起薬(PDE-5阻害剤)の使用の頻度が高率です。
つまり、日本人では、性活動が活発な方ほど勃起薬の使用が多く、米国では、勃起不全に対して勃起薬を使用している事になります。 これらの結果は日米の性に対する意識の違いが一つの要因と考えられます。

さらにQueen,sMedicalCenter(アメリカ・Honolulu)と共同で日本人とハワイ在住の日系米国人、 白人の前立腺癌患者の性機能の相違について研究も進行中だそうです。 これにより、遺伝子的に日本人と同一であると考えられるハワイ在住日系米国人と米国人、日本人と比較を行うことにより、文化的背景や民族の差違を明らかになる事が期待されます。

日本人は、欧米人に比較して、性行為sexに淡白な印象を受けます。
しばしば報告される性行為sex回数でも、欧米諸国より低い数字が報告されていますね。
私たちの育ってきた、文化的背景が影響しているのは確かでしょう。


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