前立腺全摘除術後に生じたEDに対する有効な陰茎リ八ビリテーションとは



前立腺全摘除術後のペニスリ八ビリテーションによりEDを予防しようとする試み

 第21回日本性機能学会東部総会での報告です。
聖隷浜松病院泌尿器科、今井伸先生等の報告です。
多少の解説を加えながらご紹介いたします。

前立腺疾患は、高齢男性の病気であり、高齢化者期が進行すればするだけ、罹患者数は増加します。 患者数が増加すれば、その手術件数も増加致します。
前立腺手術において、神経温存前立腺全摘除術は広く行われていますが、実際の所、術直後から術前と同等の勃起の回復は期待できない状況です。
以前より術後の勃起不全には、陰茎リハビリテーションが重要と考え、積極的に行ってる病院もあります。 今回は、陰茎リハビリテーション適応と方法について、興味深い報告があったため、ここで紹介いたします。

対象は術後の勃起不全に対する治療の希望者で、陰茎リハビリテーションの開始時期は、術後1ケ月から2年以上までと様々で、特に制限は設けられていません。
術前の手術の説明時から、術後の陰茎リハビリテーションについて説明するようにし、術後も外来診察時に毎回勃起不全治療の希望を確認します。

陰茎リハビリテーションの方法決定ですが、起床時の陰茎勃起(いわゆる朝立ち)あるいは性的刺激に対する勃起可能かどうかが、判断材料の一つになります。。
起床時もしくは性的刺激時に多少の陰茎勃起がみられる患者には、まず勃起薬PDE5阻害薬の必要時内服を行い、 普段全く陰茎勃起が見られない患者にはPGE1海綿体注射による陰茎リハビリテーションを行うそうです。
これは、陰茎勃起のある群のおよそ8割で挿入可能な勃起が得られているのに対し、 陰茎勃起なしの群では挿入可能な勃起が得られたことがないという、これまでの経験が根拠となっているそうです。

陰茎勃起なしの群は、重症と言えますが、その患者にPGE1海綿体注射による陰茎リハビリテーションを行うことにより、約半数の患者が勃起薬PDE5阻害薬併用に移行し、 その約90%が勃起薬PDE5阻害薬内服で性交可能なレベルの勃起が得られるそうです。
さらにそのうちの半数の症例は、勃起薬PDE5阻害薬を非内服時にも性交可能となります。
一方で約3割の患者はPGE1海綿体注射長期継続群(10回以上)となり、そのうちの約6割は陰茎膨張の回復が見られず、 自己注射の適応があると考えられ、希望に応じて自己注射の指導を開始することになってます。

術後勃起不全に対する陰茎リハビリテーションにおいて、患者の意向を優先することが前提ではあるが、勃起薬PDE5阻害薬は「少し反応がある」軽症の患者に用い、 PGE1海綿体注射は「全く無反応」の重症の症例に使用するといった使い分けが重要である。
また、最終的にPGE1海綿体自己注射の適応となる症例が少なからず存在することも忘れてはならない。

やはり、術後早期の陰茎リハビリテーションが有効と考えられますが、2年以上経過した患者様でも有効との事です。
この陰茎リハビリテーションのプロトコールは、非常に強力で説得力のあるものかもしれません。


勃起不全は池袋スカイクリニック