バイアグラ等のPDE5阻害剤は、ED治療に有効です。
PDE5阻害剤は、サイクリックGMP(cyclicGMP)の分解を抑制し、それにより、NOの濃度を増加させ、血管拡張をさせ、さらには勃起改善効果を発現します。
アメリカでは、シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、
タダラフィル(シアリス)の3種のPDE5阻害剤が市販されております(本邦でも同様に、2012年現在、
3種のPDE5阻害剤が利用可能です)。
シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス)は、ED治療以外にも、肺高血圧症の治療薬として使用されています。
シルデナフィル、バルデナフィルは、比較的短時間作用型の薬剤で、半減期は、およそ4時間です。
タダラフィル(シアリス)は、長時間作用型薬剤で、半減期はおよそ17.5時間です。
これらのPDE5阻害剤は、全身にも作用するため、収縮期血圧で10mmHg以下、拡張期血圧で8mmHg以下程度、低下させます。
この血圧の低下は、冠動脈疾患や、もともとの血圧が高い患者において、血圧低下幅が大きくなります。
PDE5阻害剤は、一般的には、高血圧患者や冠動脈疾患患者、代償された心不全患者において、安全に使用可能です。
PDE5阻害剤3種のなかで、いずれの薬剤が、より安全で、より効果的であったかを示す、研究報告はございません。。
PDE5阻害剤と心血管疾患に関連したケースレポートが、時々報告されますが、大規模な臨床研究やメタ解析では、これら薬剤が、心筋梗塞を増加させたり、その他心臓病を生じさせる事は無
いだろうと、示されています。
血圧を低下させるような薬剤(降圧剤など)を服用している場合、PDE5阻害剤は、血圧を軽度低下させます。
しかし、不可逆的な心血管系疾患の発現を増加させるようなことはありません。
一部の患者で、PDE5阻害剤とα遮断薬を併用した場合、症状を伴う低血圧を生じることがあります。
仮にこれら両薬剤を併用する場合は、PDE5阻害剤の最低量を服薬する前に、α遮断薬の最低量を服薬し、その認容性を確かめるべきである。
肺高血圧症で、すでにPDE5阻害剤を服用している場合、ED治療目的で、PDE5阻害剤を追加服用することは、避ける必要があります。
バルデナフィル(レビトラ)は、心電図上、QT間隔が延長するため、先天的にQT間隔が延長している患者や、torsade de pointes(日本語訳がありません。
QT間隔延長に伴う心室細動)の既往がある患者、QT間隔を延長させうる薬剤(たとえばⅠa群、Ⅲ群の抗不整脈薬など)を服用中の患者は、
服用を避けるよう、注意事項としてあげられております。
ニトログリセリン(ニトログリセリン舌下錠などの短時間型や、硝酸イソソルビドISMNなどの長時間型野いずれも)は、NOの供給するため、PDE5阻害剤は絶対禁忌となっています。
PDE5と併用できない理由は、仮に併用した場合、予期する事が出来ない、急激な血圧の低下を来たす恐れがあるためです。
胸痛を訴える患者に対し、シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)を服用中であった場合、服薬後最低24時間は、タダラフィル(シアリス)を服用中であった場合は、
服薬後最低48時間は、ニトログリセリン系薬剤(硝酸剤)の投与はすべきではないとしています。
医療従事者は、胸痛を訴える患者に、ニトログリセリン系薬剤(硝酸剤)を投与する前に、PDE5阻害剤の服用の有無を問診する必要があります。
ニトログリセリン系薬剤(硝酸剤)を除けば、胸痛を訴える患者や急性心筋梗塞の患者に対して、PDE5阻害剤を服用中の患者に対して、
その他の心血管系薬剤を使用することは可能です。
ニトログリセリン系薬剤(硝酸薬)を服用中の患者が(特に再還流療法を受けた患者では)、PDE5阻害剤の服用を希望した場合は、ニトログリセリン系薬剤(硝酸薬)の継続が必要であるか
、または、代替薬に変更は可能かどうか、評価すべきである。
このガイドラインを執筆しているグループは、心臓左室流出路閉塞(静的、動的ともに)のある患者に、PDE5阻害剤を使用したことによる死亡報告は、知りません。
重度の大動脈弁閉塞患者や肥大型心筋症の患者には、PDE5阻害剤のみではなく、全ての血管拡張薬の使用に、注意が必要とされています。
PDE5阻害剤は、女性の性機能不全の治療としても使用された経緯もございますが、プラセボ以上の効果を認めません。
女性の心血管系疾患患者におけるPDE5阻害剤の安全性は、確立されておりません。
バイアグラ処方は池袋スカイクリニック