バイアグラ治療を継続する要因



バイアグラによるED治療を継続的に行うための要因

EDは、性行為に対する満足感や生活の質に影響を及ぼし、 患者の自己過少評価や自信喪失などにも関係する事は、何度かご紹介していると思います。
バイアグラを代表とするPDE5阻害剤は、 非常に有効な治療戦略の一つとなりますが、治療の中断率が高率である事も知られています。
PDE5阻害剤を使用した1/3は、一度服薬しただけで中断し、1/2は、 二度目の使用が6カ月以上経過してから、との指摘もございます。
治療が疎遠になっしまうのは、様々な理由が指摘されており、例えばですが、高血圧、脂質異常症、 糖尿病、骨粗鬆症などの慢性疾患の治療を受けているケースが挙げられます。
患者の服薬に影響する因子として、費用の問題、副作用、効果、 患者およびパートナーの性的興味の減弱、パートナーの消失、罹病の影響が挙げられます。

世界的に、多くの一般患者は、自身で判断して服薬をする場合、 指示されていた容量の半量以下で服薬する事が多いとされています。
ED治療薬も指示通り服薬しなかった場合、やはり、期待通り効果が得られません。 効果が得られなかった場合は、治療の中断理由となってしまいます。

バイアグラによる勃起硬度の改善と、治療を中断せず継続率の間に存在する相関、 要因についての報告がございます。

EDを主訴に来院した患者に、新規にバイアグラを処方し、最低でも12カ月以上にわたり、 追跡可能であった例を対象としています。 全ての患者は、バイアグラの最大使用量(100mg)から治療を開始し、 副作用が許容できない場合は、減量を行っています。
ペロニー病や骨盤腔内臓器の手術歴、放射線治療歴を有す例、 抗アンドロゲン療法を行っている例は、除外されています。

患者は、バイアグラによる治療に開始時に、IIEFスコア とEHSによって、勃起機能を評価し、6カ月おきに同様に評価を行っています。
バイアグラが勃起不全に有効な事は、様々な評価法によって証明されていますが、 その一つがEHSです。
EHSは、患者の自己申告による4段階の勃起硬度のスケールです。
以下に、EHSの目安を記載します。

  • 4:完全な硬さのある勃起
  • 3:挿入可能な陰茎の硬さはあるが、完全な勃起では無い状態
  • 2:勃起は認めるが、挿入には十分でない
  • 1:陰茎は腫脹するが、硬くは無い状態

全ての患者の初期治療として、バイアグラ100mg で治療を行い、特に、服用法の説明には重点が置かれ、空腹時に服用するよう説明を行っております。 バイアグラ服用にあたっての使用法、注意事項を説明し、およそ8時間に及ぶカウンセリングの後、 二重盲検プラセボコントロールにて、バイアグラ群とプラセボ群の2群に振り分け、評価を行っています。 加えて、各々の患者の特徴、患者自身やパートナーの年齢や、血管系の罹病歴、パートナーとの関係期間、 性行為頻度を聴取しています。
最低でも、12か月以上治療を継続した例において解析しています。

平均年齢61歳のおよそ180例の男性が登録され、およそ6割の被験者にはパートナーが存在しています。 EDの罹病期間は2年程度です。
罹病疾患として、高血圧、脂質異常症、冠動脈疾患、糖尿病が認められております。 これらのパラメーターは、両群間で差異は認められておりません。
平均追跡期間は1年半程度で、およそ対象者の2/3は、バイアグラによる治療を継続したとしています。

勃起硬度に関しては、開始時には、EHS1にあたる重度EDが30%程度、 EHS2にあたる中等度EDが40%程度含まれておりましたが、 バイアグラ100mgによる治療によって、各々1%、27%に改善を認め、 完全な勃起状態であるEHS4も46%に認められたとしています。 バイアグラ100mg服用群の80%以上では、EHSが1段階以上改善を認め、 40%弱の患者では2段階、10%程度の患者では3段階の改善が認められています。
国際勃起機能スコアIIEFも、同様の傾向を示しています。

多変量解析では、観察12か月以上経過した時点でのバイアグラによる治療継続は、 5つのファクターが指摘されています。
最も影響の強いファクターは、EHS4の勃起硬度が得られるか否か、とのことです。
他にも、EHSが2段階以上改善、治療前の性行為頻度が4回/月以上有る、 パートナーの年齢が10歳以上若年である、セックスパートナーが存在する、などが指摘されています。

バイアグラなどのPDE5阻害剤を使用している患者の多くは、適切な使用法のレクチャーを受け、 実践していれば、性行可能な十分な勃起が得られています。 しかし、バイアグラが有効であった例においても、治療開始6ヶ月後には、半数の患者は、 間違った服薬をしてしまっているとする報告が多く有ります。
服薬にあたって、正しい知識は、患者自身とそのパートナーに対して、必須であります。
有る国からの報告では、バイアグラの有効例を3年間に渡って観察を行ったところ、 半数以上の例で、効果の減弱を理由に、治療を中断してしまったとのことです。

その他にも、様々な理由が考えられています。
性交行為に対する興味が減退した、副作用、費用の問題などが指摘されています。
ED以外の健康上の理由が、バイアグラ服用中断の主たる原因であったとした、報告もあります。 年齢であったり、糖尿病や硝酸薬の使用、尿漏れパッドの使用も原因として挙げられています。
副作用は、様々な報告において、中断理由に占める割合は、低率で有るとされています。 有る報告では、2%程度であったとしています。
パートナーがいる事は、治療意欲において強く影響を与えるのは当然と考えられます。 この事は、他の報告でも指摘されています。 より若いパートナーがいる場合、より性的興味が惹かれるのは、やはり、当然のことと思われます。
治療前の性交頻度が高い群は、性的な興味が強いという点では、同様と考えられます。
EHS評価の改善例は、大きな性的な満足考えられ、性的自信に繋がる事が、治療継続に繋がると考えられます。 有る報告では、EHS3の男性は、EHS2の男性と比較し、42倍も性交渉が成功し易く、 EHS4の男性は、EHS3の男性と比較し、24倍性交症が性交するとしています。 他の報告では、EHS3から4への変化は、性的満足感、社会的精神的に影響が最も大きいとされ、 ED治療の満足度も高いとされ、このことが治療の継続に繋がった事は、容易に想像がつきます。

この報告では、バイアグラ中断率が、他の報告と比較し低率となっています。 およそ1年半後の中断率が1/3程度です。
理由の一つとして、性機能専門の医療機関での治療を希望した、治療に積極的な患者群であり、 また、服薬指導等が充実していること、 さらに、6カ月に一度程度の再診時に、服薬法等の再確認出来る事が挙げられます。
バイアグラ100mgという初期治療としては、やや高用量での設定が、EHSで示される十分な勃起硬度をもたらし、 それによって得られた満足感、充実感が継続させる理由と考えられます。

この報告では、残念ながら、なぜ治療を中断したかが不明です。 来院を中断しているわけですので、知る由もありません。
これに加え、バイアグラから、他のPDE5阻害剤であるレビトラシアリスへの移行例の存在が示されていません。
当院でもそうですが、バイアグラはクラシカルなED薬ですので、認容性が得られない事も有ります。
より確実な効果が期待でいるレビトラ20mgを使用した場合は、より継続率が増すのでしょうか?
いずれにせよ初期治療が重要です。
私たちにできる事は、正しい知識、服用法を伝えることだと考えます。
この報告から考えると、初めから少し強めに使用するのも、選択肢の一つとなります。 ただ、このあたりは個人によって考え方が異なりますので、来院された際に、相談させてください。 そのためにも、ED診療に専従した医療機関の受診をお勧めいたします。


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