生物学的同等性

東和薬品からのジェネリックバイアグラについては、先日ブログに記載しました。
で、実際に、ジェネリックバイアグラの効果はどうなのでしょうか?

かつては、特許切れの医薬品は、今のようなスタイリッシュな?名称ではなく”ゾロ”と呼ばれていました。
その名前の由来は、ゾロゾロ市販されるからというものです。
この”ゾロ”ですが、効果のほどが不明なところも有り(メーカーからの情報提供が少ない)、また、副作用などが出現した場合であっても、メーカーの対応がずさんであり、とてもでは有りませんが、信用できるものでは有りませんでした。
日本の懐具合から、医療費を削減しなくてはならない為、なんとか”ゾロ”を普及させる必要が出てきました。
まず、イメージの悪い名称を払しょくすべく、ジェネリックという名称が用いられるようになりました。
正直に申しますと、この政府の施策が始まった当初のジェネリック医薬品は、やはりというか、手ごたえとして、今一つ信用できるものでは有りませんでした。

本家の薬剤とジェネリック医薬品は、タイトルにも示した生物学的同等性のチェックをしなければなりません。
簡単には、服薬して、本家薬剤と同等の血中濃度が得られるかどうかを、実験し示す必要があります。
ただし、この生物学的同等性ですが、添加物の差などから、本家薬剤と全く同等のプロフィールを得ることはできない為、多少の幅が設けられています。
つまり、本家より多少血中濃度の高まりが得られなくとも、この”幅”の範囲内であれば、認可されるようになっております。
(逆に、血中濃度が高くなる場合もあります)
かつて、ジェネリック医薬品の効果が乏しいと言うのは、この”幅”の影響だったのかもしれません。

では、東和医薬品のジェネリックバイアグラはどうなのでしょうか?
正式には、シルデナフィルOD錠VI「トーワ」です。
まず第一の違いは、OD錠(口腔内崩壊錠)となっていることです。
溶けやすく改良されているわけですから、血中濃度の立ち上がりが急俊となると予想されます。
東和医薬品が提出している生物学的同等性に関する資料によると、血中濃度の立ち上がりは、服薬後1時間未満では、若干ながら本家ファイザー社のバイアグラの方が良好な様に見えます。
予想とは異なります。
服薬1時間後から、東和薬品製シルデナフィルOD錠がやや上回ります。
服薬4時間後位から、東和薬品製シルデナフィルOD錠が下回るようです。
と言っても、軽微な差ですので、試験の条件によって差が出る範囲内なのかもしれません。
簡単には、だいたい同じということになります(笑)
ただ、気になる違いも有りました。
それは数パターンの異なるpHの試験液を用いた溶出試験の結果です。
低pHの時は東和薬品製シルデナフィルOD錠の溶出率が勝るものの、pHが6.8と中性に近付くにつれ、本家ファイザー社製バイアグラの方が溶出率が高まっています。
もしかしたら胃内のpHが上昇すると、吸収率(効果)に違いが出るかもしれません。
具体的には、食事の影響が、より顕著になるかもしれません。
人間は空腹時には胃酸の分泌が亢進し、胃内のpHが低下し、食事を消化する為に胃酸が消費されると胃内のpHが高まります。
胃酸を抑える抗潰瘍薬を常用中の方も、胃酸分泌が抑制されているわけですので、胃内pHの上昇から、吸収が低下し、期待通りの効果が得られない可能性を想像してしまいます。
逆に空腹時の胃内pHが低い時は、吸収が良く、短時間で作用が発現されるかもしれません。
ただし、あくまで想像ですので、実際には影響が無い範囲なのかもしれません。
当院では、早くもジェネリックバイアグラのリピーターがいらっしゃいますが、特に変わりなかったと述べております。
まだまだ市販されて間もない訳ですので、これから違いが明らかになってくるのでしょう。

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