いろいろありますが、

EDには全く関係がありません。
フィクションです…

80歳代の腰痛持ち(脊柱管狭窄症)の患者さんがいました。
糖尿病や心臓疾患も、併せ持っている方で、内科、循環器科、整形外科に通院中。
腰痛のコントロールが思うように行かないため、手術を希望されておりました。
整形外科医は、当初は、心機能が手術に耐えられないという理由で、手術を拒否していました。
「手術を行うには、まず、心臓の手術を行なって、心機能を改善する必要がある」と説明していたそうです。
患者が心臓外科医にその事を伝えると、心臓外科医は、手術を行う事を決め、心臓バイパス手術を実施いたしました。
そして、心臓手術を終えた患者は、整形外科医に手術を依頼し、脊柱管狭窄症の手術を受けました。
しかし、期待していたほどの結果が得られず、手術前後と比較して、腰痛の程度の差は、認められませんでした。
患者は術後、整形外科医に聞きました。
「腰痛が治らないんですが…」
すると整形外科医は答えたそうです、
「手術は成功している。腰痛が治まらないはずは無い。とりあえず痛み止めを処方します。」
と、あまり取り合ってくれなかったそうです。
結局、内科医に泣きつき、強力な痛み止めを処方していただき、腰痛は自制内になり、近隣であれば、出かけることも可能となりました。

このお話では、どこに問題があるのでしょうか?
患者の希望に沿って治療を進めたが、結果として、改善が得られなかった、運が悪かったと感じるかもしれません。

一般的に考えると、手術を行うにはリスクが伴うと考えられる年齢です。
手術によって得られる利益と、リスクを天秤にかけ、有益と考えられる場合は、もちろん、手術すべきと考えますが。
まず、手術によって腰痛はどの程度改善するのか、しっかりと判断しなければなりません。
罹病期間が長い腰痛や、それに伴う痺れは、脊髄へのダメージが不可逆的で、手術による改善が期待できないことがあります。
今回のケースでは、どうだったのでしょうか?
整形外科医は、十分な説明を行なっていたのでしょうか?
結果的には、腰痛は、全くと言っていいほど改善しませんでした。
結果論かもしれませんが、手術は無意味であったわけです。
腰痛が改善することを期待して、リスクを背負って行ったはずの手術が、無意味だった…。
整形外科医が述べた「手術を行うには、まず、心臓の手術を行なって、心機能を改善する必要がある」との説明は、手術を拒否する口実にしていたと考えておりましたが…

手術前に、その他の治療法を考える余地はなかったのでしょうか?

まず、十分な薬物療法は行われていたのでしょうか?
術後に内科医が処方した鎮痛薬で効果が得られているわけですが、同薬は、術前に試されていません。
現代医療は、各科細分化されており、他科の治療を施すのは、様々な理由から困難が伴います。
「自分を信用できないなら、もう来るな」と患者に告げる医師、他科の医師に怒鳴り込む医師もいたりしますので…
薬物療法以外にも、リハビリや理学療法、マッサージなどの治療も効果がある場合があります。

まだまだ、試すべき治療法があったのではないでしょうか?

心臓外科医が行ったバイパス手術は有益だったのでしょうか?
心臓疾患からの症状は、薬物療法で抑え込まれており、安定していました。
整形外科の手術を行うためだけを目的にした手術になります。
心臓の手術です。やはり、リスクは伴います。

患者の全体像を見なさい、総合的に考えて、患者の利益につながる治療を行いなさいとは、よく言われておりましたが…
80歳代の男性、糖尿病があり、心臓疾患を患っている。
今後、どのくらいの余命が期待できるのでしょうか?
心臓疾患が増悪する可能性もございますし、これとは別に、脳梗塞や肺炎などで倒れることも考えられます。
患者さんの生活の質QOL(quality of life)を考えた場合、腰痛は、QOLを低下させると考えられます。
手術が成功して、腰痛から解放されました、心臓も手術したので元気です、しかし、その半年後に脳梗塞で亡くなられました、といったことも考えられるわけです。
このあたりは、患者個人の価値観に因ることでも有りますので、なにが正しいと断言することはできません。
しかし、手術によって腰痛が改善する可能性が少ないとしたらどうでしょうか?他に試すべき治療法があった場合は?

このご時世、病院経営も厳しい時代です。
手術件数は、病院、医師の評価の対象になります。

池袋スカイクリニックでは、治療効果の得られない可能性のある患者様には、その旨をお伝えいたします。
十分理解された上で、治療を試していただくことも可能です。
代替療法についての説明もさせて頂きます。
質問があれば、些細なことでも聞いて下さい。
「とりあえず、使ってみて下さい」も、悪くはないと思いますが。診断的治療になります。手術ほど、お体にも費用的にも負担はかかりませんので。
まずは、ご相談を、ですね。

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