タダラフィルtadalafil,希爱力とは



イエロー


有効成分

シアリス(イーライリリー社。一般名:タダラフィルtadalafil。中国名:希爱力。以下タダラフィル)は、バイアグラシルデナフィル)、 レビトラバルデナフィル)についで、 3番目に使用可能となった勃起不全治療です。 他の勃起不全治療薬同様、タダラフィルはホスホジエステラーゼ5阻害剤に分類されます。

以下に構造式を示しますが、シルデナフィル、バルデナフィルと全く異なった構造式を持ちます。当然、タダラフィルの性格も異なります。新しいタイプの勃起不全治療薬といえます。

  1. 24時間以上の作用持続時間を有する
  2. 食事の影響を受けにくい

上記が特徴になります。また、副作用頻度が、他の勃起不全治療薬より少ない印象です。

強いて欠点をあげると、シルデナフィル、バルデナフィルに比較して、やや速効性に欠けることです。

タダラフィルtadarafilは、ご本人様の性欲が高まるに従い、陰茎海綿体の血流を増加させ、勃起を生じさせます。 性欲の高まりがない場合、効果発現はございません。つまり、意に反して勃ちっぱなしになるお薬ではございません。 あくまでも“硬さ”だけであり、性欲増加作用はございません。(催淫作用はございません)。 以上は、他の勃起不全治療薬と同様です。

タダラフィルtadalafilにも、シルデナフィルsildenafil同様、肺高血圧症への治療適応がございます。
この場合は、40mgを毎日服用します。
ED治療薬としては、20mgまでしか認可されていませんが、他疾患では、40mgまで使用可能です。
もちろん、安全性が確保されているから認可されているわけです。
薬剤名は、”アドシルカ”です。

最近の話題としては、海外では前立腺肥大症への適応が追加されるようです。
この場合は、タダラフィルtadalafilを服用することになります。
ED治療薬として使用されるtadarafilと同成分です。
もちろん、安全性が確保されています。

本邦においては2014年4月に、前立腺肥大症治療薬として適応症が追加されました。
やはり、薬剤名が異にしています。
これは、臨床現場での混乱を防ぐためと、前立腺肥大症患者がED治療薬であるシアリスを服用することによって生じる誤解、偏見を避ける意味合いがあると思われます。
因みにですが、薬剤名は”ザルティア”です。
成分は、シアリスと同様タダラフィルtadalafilです。
この場合は、2.5mgもしくは5mgを毎日服用することになります。

保険診療におけるザルティアの処方は、当然ながら前立腺肥大症に対してなされ、診療ガイドラインに則した手順が必要です。
まず、国際前立腺症状スコア(I-PSS)、QOLスコアによる症状の評価(重症度)を行います。
これに加え、最大尿流率と残尿測定から排尿機能を評価し、直腸診や超音波検査で前立腺のサイズを測定し、重傷度を評価します。
これらの評価を元に治療方針が決定され、治療開始された後も、定期的に同評価を繰り返し、治療効果を判定します。
保険診療におけるザルティアの処方は、このような手順を踏む必要があります。
さらには、基本的には年配の方が患う疾患であるために年齢制限が設けられております。


このように、今現在、タダラフィルtadalafilを主成分とした薬剤が、

  1. シアリスcialis
  2. アドシルカ
  3. ザルティア

と、3剤存在することとなります。

商品名が異なり、適応症も異なりますが、主成分は同じタダラフィルのため、 いずれの薬剤も同じタダラフィルであることには変わりありません。


和名シアリス錠5mg、10mg、20mg
シアリス100mg錠/50mg錠は正規剤型にはございません)
中国名希爱力5mg、10mg、20mg
(シアリス100mg錠/50mg錠は正規剤型にはございません)
一般名タダラフィル(JAN)tadalafil
製造イーライリリー社(アメリカ)
タダラフィルtadarafil構造式又は示性式
構造式
タダラフィルtadarafil分子式及び分子量
分子式C22H19N3O4
分子量389.40
化学名
(命名法)
(6R, 12aR)-6-(1, 3-benzodioxol-5-yl)-2-methyl-2, 3, 6, 7, 12, 12a-hexahydropyrazino
[1., 2.:1, 6]pyrido[3, 4-b]indole-1, 4-dione
溶解性 タダルフィルtadarafilは、ジメチルスルホキシド 141 溶けやすい ,アセトニトリル 11.1 やや溶けにくい
エタノール(99.5) 1.5 溶けにくい ,水 0.001 ほとんど溶けない

腎不全患者さま、腎臓病患者さまに、タダラフィルを服用することができるでしょうか?
と質問を受けます。
腎機能の低下した患者さまへは、タダラフィル5mgまでと、シアリスの添付文書に記載されております。
肺高血圧症で、腎機能が低下された患者さまも多くいらっしゃいます。 この場合は、実はタダラフィル20mgまでとされております。
同一成分なのに、変な話です。
透析患者さまに対する使用実績は少ないのですが、日本性機能学会で、時々、使用例が報告されております。 問題なさそうです。
注:腎不全患者さま、腎臓病患者さまに、タダラフィルの高容量をお勧めしているわけではございません。