βブロッカー | ベータ遮断薬



【βブロッカー】ベータ遮断薬

「βブロッカー」「ベータ遮断薬」
β遮断薬(ベータブロッカーと呼ばれています)は、高血圧、頻脈性不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症などです)、心不全などで用いられるお薬です。
交感神経のβ1受容体をブロックすることにより上記のような作用を示します。(ちなみにβ受容体は、主にアイソザイム1〜3の3タイプあります。血圧に関係の深いタイプは、β1受容体です。)
喘息やCOPDに対して、気管支拡張薬としてベータ刺激薬が使用されます。詳しく表現すると、β2刺激薬です。 同じβ受容体でも、組織により分布が異なり、作用も異なります。 お察しの方もいらっしゃると思いますが、喘息、COPDの方にはベータ遮断薬(βブロッカー)は禁忌となります。 β1に選択性が高いベータ遮断薬(βブロッカー)でも、β2受容体への作用が完全に無いわけでは有りません。
また、最近では、α遮断作用をもち合わせた薬剤も出現しています。ベータ遮断薬(βブロッカー)とひとくくりにできなくもなってきております。


緊張状態だと交感神経が活性化し、動悸(ドキドキ感:頻脈)がしたり、血圧が上がったりしますね。その交感神経の作用をブロックするのがベータ遮断薬(βブロッカー)です。 ベータ遮断薬(βブロッカー)が心臓に作用した場合、動悸(ドキドキ)をさせず、頻脈を抑え、疲れた心臓をお休みさせると、イメージしてください。心拍数、心拍出量を抑制し、心臓の仕事量を低下させます。 このため、高血圧や頻脈性不整脈、狭心症治療薬として使用されます。
最近では、うっ血性心不全の治療薬として頻用されています(注:ベータ遮断薬(βブロッカー)の一部製剤のみ、心不全に有効です)。 しかし、うっ血性心不全にベータ遮断薬(βブロッカー)を導入する場合は、経験と知識を有した、ベータ遮断薬(βブロッカー)の使用に習熟した医師に依頼すべきです。 β遮断薬は、心臓の作用を低下させるともいえる薬剤です。うっ血性心不全に間違った使用をした場合、病状が増悪する場合もあります。


ベータ遮断薬(βブロッカー)は、臨床で頻用されるお薬の一つですが、使用には、若干の注意を要します。
例えばですが、高血圧患者さんは、糖尿病や脂質異常症など、他の生活習慣病を同時に治療している場合が多く見受けられます。 ベータ遮断薬(βブロッカー)は、代謝異常には、悪影響を及ぼす事が多いと言われております。もちろん、高血圧の程度が悪ければ、これら代謝性疾患が併存していても、やむをえずベータ遮断薬(βブロッカー)を使用することも多々あります。
また、ベータ遮断薬(βブロッカー)は、高齢者にも、やや使いにくい薬剤でもあります。その理由は、心拍数を極端に低下させる可能性が有ることがあげられます。 臨床現場で、時々見受けられるは、高齢者に、これらベータ遮断薬(βブロッカー)を使用し、完全房室ブロックを生じてしまう例です。 この場合、ベータ遮断薬(βブロッカー)の中断により、回復することがほとんどです。 さらに、ベータ遮断薬(βブロッカー)の脳神経への影響も懸念材料です。脳細胞の活性を低下させるため、意欲の低下や眠気などを引き起こす可能性が有ります。
ベータ遮断薬(βブロッカー)にも、細胞膜安定性や内因性交感神経刺激作用 (内因性交感神経刺激作用とは、交感神経が働いてβ刺激が優位なときはその作用を抑制し、β刺激が少ない場合は、逆に経度のβ刺激作用を有していること。 例えば、徐脈を生じやすい高齢者などは、この内因性交感神経刺激作用を有している方が安全であるとされ、また、狭心症などに使用する場合は、しっかりとした心拍数や心仕事量のコントロールのため、内因性交感神経刺激作用は無い方が良いとされます)、 α遮断作用を有すもの、脂溶性なのか水溶性なのかなど、様々であり、ベータ遮断薬(βブロッカー)の全てが、上記の弊害をもたらすわけではありません。 一概にはできなくなってきております。
降圧剤の選択は、何を優先して治療するかによります。主治医の先生と御相談ください。


ベータ遮断薬(βブロッカー)の高血圧ガイドラインにおける扱いについて説明いたします。
本邦の高血圧ガイドラインJSH2009では、ベータ遮断薬(βブロッカー)は、第一選択薬の一つとして挙げられております。
しかし、WHOや英国のガイドラインでは、ベータ遮断薬(βブロッカー)は第一選択薬となっておりません。 これは、先に示したように、糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患への影響が懸念されるためです。
ヨーロッパのガイドラインでは、ベータ遮断薬(βブロッカー)は、第一選択薬に含まれていますが、メタボリック症候群や糖尿病、高齢者、黒人では、適応がないとされています。
本邦におけるガイドラインでも、次の改定では、ベータ遮断薬(βブロッカー)の扱いが変わるかもしれません。 α遮断作用を持ち合わせた薬剤は、比較的代謝への影響が少ないとされております。 もしかしたら、ベータ遮断薬(βブロッカー)でも、これは良い、これはダメと、分けられてしまう可能性もあります。


ベータ遮断薬(βブロッカー)を服用されている方は、高血圧や狭心症があるわけで、これはEDのリスクファクターです。EDが合併症として存在する方が多いです。
ベータ遮断薬(βブロッカー)は、交感神経を抑制する(興奮を抑制する)ため、薬剤性勃起障害の原因薬剤としても有名なお薬です。
また、初期に末梢血管抵抗を上昇させるため、EDの原因となる可能性があります。
勃起障害治療には、ベータ遮断薬(βブロッカー)を中断するのが良いのですが、それにより血圧が上昇し、体調を崩しては元も子もありません。
心不全の治療としてベータ遮断薬(βブロッカー)を服用している場合は、なおさら中断する事は避けて下さい。 ベータ遮断薬(βブロッカー)は、心機能を改善するだけでなく、生命予後を改善するお薬でもあります。
ご自身での判断は避けていただき、きちんと医師と相談した方が良いでしょう。


ED治療薬との併用は、たいていは問題なく併用可能です。バイアグラ錠レビトラ錠シアリス錠の服用は可能と考えます。
ただし、ハイパジールは除きます。このハイパジールというベータ遮断薬(βブロッカー)は、ニトログリセリンの作用を併せ持っているためです。
最近はジェネリック医薬品も多数ございますので、併用の可否を判断するために、お薬手帳または、お薬自体を持参して下さい。


written by シルデナフィルは池袋スカイクリニック.