高尿酸血症の定義は、血清尿酸値が7.0mg/dl以上と定義され、性別と年齢は問いません。
高尿酸血症は、日本人の成人男性において約30%(女性では数%)にみられる頻度の高い疾患です。
文字通り血液中の尿酸が高くなった病態をさしますが、それだけでは特に症状は出現いたしません。
ではなぜ問題であるかというと、痛風や腎障害、特に尿路結石の原因となるからです。
最近では動脈硬化との関連も疑われていますが、まだ明らかにはされていません。
尿酸そのものは、食べ物から摂取したプリン体分解の最終産物であり、主たる産生臓器は肝臓です。 肝臓で産生された後、血中を循環し、2/3が腎臓から、また、一部は汗や消化管分泌液などから排泄されます。 アルコールや肉類などのプリン体の多い食品を過剰に摂取すると、血清尿酸値の上昇や痛風発症のリスクが上がることが報告されています。
肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を合併することが多く、 治療の第一歩は食事や飲酒(特にビール)および運動不足などの生活習慣を改善することが最も大切とされています。 ただし、過激な運動は、逆に、増悪する事が有るため、注意が必要です。 食事療法としては、適正なエネルギー摂取、プリン体、果糖やショ糖、カロリーの過剰摂取制限、十分な飲水が勧められます。 飲水は重要で、腎臓より排泄が促されるとともに、脱水による血清尿酸値上昇を防ぐ効果があります。
生活習慣を見直しても改善されず、痛風を患っている人では、薬物療法が適応となります。
痛風関節炎や痛風結節のある人は、血清尿酸値を6.0mg/dl以下に維持することが推奨されています。
特に痛風などの合併症がない人では、8.0mg/dl以上を一応の治療の目安とされています。
治療薬は、作用機序の違いによって排泄促進薬(尿中へ排出させる)と生成抑制薬(産生を減らす)に分類されます。
現在、排泄促進薬には、プロベネシド(商品名ベネシッド)やベンズブロマロン(商品名ユリノーム)などがあります。
生成抑制薬には、アロプリノール(商品名アロシトールやザイロリックなど)、最近では、
フェブリクという薬剤が登場しております。
排泄低下型に対しては排泄促進薬を、産生過剰型に対しては生成抑制薬を適応することが
基本原則とされています。
これらのタイプは、一般的な検査で判断可能です。
ED治療薬と主だった高尿酸血症治療薬(アロシトールやザイロリック、ユリノーム)との併用は可能です。
バイアグラ、レビトラ、シアリスの併用は可能と考えられております。
痛風は,高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した結晶が起こす関節炎です。
痛風の有病率は,男性において30歳以降では1%を超えていると推定され,現在も増加傾向であると考えられています。
痛風関節炎の発症は,以前から高尿酸血症を指摘されている患者において、親指の関節または周囲に発赤、
腫れを伴う、特徴的な急性の関節炎が出現した場合に診断されます。診断は比較的容易です。
ただし、可能なかぎり正確に診断のためには急性関節炎の関節液を顕微鏡で観察し,析出した結晶を証明することが勧められています。
また、発作中の血清尿酸値は必ずしも高値を示さないので、診断の補助にはなりません。
痛風に対する治療ですが、痛風発作の前兆期にはコルヒチンを用いて,発作を頓挫させることができる場合があります。 痛風発作におけるコルヒチンの効果は,その投与が早いほど有効性が高いとされています。
痛風発作の極期には、非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛剤)が有効です。その際には胃潰瘍などの副作用の発現に注意を要します。 消炎鎮痛剤が使用できない場合や消炎鎮痛剤の投与が無効であった場合にはステロイドの投与も有効です。 ステロイドは経口投与,筋肉注射,関節内注入などの状態に合わせた投与ルートが選択できる利点があります。
ここで注意が必要なのですが、痛発作時には、尿酸降下薬の使用を控える必要がございます。
痛風は、高尿酸血症が原因のため、これを改善しようと考えがちですが、
痛風発作時に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いため、発作中に降下薬を開始しないことが推奨されています。
長期的には、治療は必要です。関節炎の鎮静化をもって緩徐に治療していく必要があります。
また、過激な運動は、増悪を来すこともあるので注意してください。
痛風関節炎の発症を防止することができる治療目標値は、体液中での溶解限界と考えられる血清尿酸値6.4mg/dLよりも低い6.0mg/dL以下とし、 3~6ヵ月かけて低下させることが目標です。 推移をみるためと、薬の副作用を早期にみつけるために定期的に血液検査を行うことが大切で、 投与開始6ヵ月間は、毎月検査することが望ましいとされています。
「アロシトール」(田辺三菱)、「ザイロリック」(GSK:グラクソスミスクライン)
ともに成分は「アロプリノール(allopurinol)」で販路が異なるだけで、成分は同一のものです。
アロシトール・ザイロリックは尿酸生成抑制薬にあたります。
アロシトール、ザイロリックは、プリン代謝経路のキサンチンオキシダーゼという酵素を阻害して、
生成量そのものを減少させます。
よって、血清尿酸値の低下とともに尿中への排泄量も減少するため、結石のある患者さんに使いやすい薬剤です。
排泄促進薬と違い、必ずしも尿アルカリ化薬の併用を必ずしも必要としないなど、使いやすい薬剤でもあります。
ただし、アロシトールやザイロリックは、腎臓から排泄される薬剤なので腎機能の悪い患者さんでは、投与量を調整したり、 副作用が起こらないように注意が必要です。
また、アロシトールやザイロリックは、投与開始時に痛風が増悪する場合があるため、少量より開始することが望ましいとされています。
同様の理由から痛風発作が起こっているときに開始するのは避けた方がよいとされます。
アロシトール・ザイロリックは、治療に欠くことのできない薬で、
日本で最も使用されている薬剤の1つです。
ジェネリック薬品は複数にのぼります。
ED治療薬との併用は、支障はございません。
アロシトール・ザイロリックと、バイアグラ、レビトラ、シアリス錠の服用は可能です。
「ユリノーム」(鳥居薬品)
成分は「ベンズブロマロン(benzbromarone)」
ユリノームは尿酸排泄促進薬にあたります。
腎臓の尿細管で再吸収を抑制することにより、排泄を促進します。
日本では、排泄促進薬は、このベンズブロマロン(ユリノーム)以外にもプロベネシドとブコロームが使用可能ですが、
排泄促進作用が最も強力なのユリノームが頻用されています。
尿のpHが酸性傾向である場合、排泄が低下致します。
ユリノームを服用する場合、尿のpHが持続的に6.0未満の酸性を示す場合は、
尿路結石を予防するためにも、尿アルカリ化薬(重曹、ウラリット)を併用し、
pHを6.0~7.0に維持することがすすめられます。
また、ユリノームは、肝障害のある方にはむきません。
頻度は少ないのですが劇症肝炎の報告されたことがあり、ユリノーム服薬開始後半年間は定期的な肝機能検査をするようにすすめられております。
(私が研修医の頃ですが、肝機能障害の注意喚起が、新聞でも取り上げられた事がございました。危険な薬と言っているわけではございません)
痛風発作時に用いる薬は消炎鎮痛剤であり、ユリノームの適応ではありません。
血清尿酸値の変動は痛風発作を増悪させたり、遷延させたりするので、発作中は降下薬を開始したり、中止したりしない方が良いとされています。
ユリノームとED治療薬との併用は、支障はございません。
バイアグラ、レビトラ、シアリス錠の服用は可能です。
written by シルデナフィルは池袋スカイクリニック