妊孕性はGLP-1ダイエットで向上しうる|池袋スカイクリニック

妊孕性はGLP-1ダイエットで向上しうる

池袋スカイクリニック

妊孕性はGLP-1ダイエットで向上しうる

2026年2月13日

Table of Contents

生殖可能な女性の肥満の改善は妊孕性を向上させる

肥満は、体脂肪の過剰や脂肪組織の機能異常を通じて、代謝障害や心理社会的な問題などを引き起こす慢性疾患と位置づけられております。

さらに、肥満女性は、そうでない女性と比較し、妊孕性(妊娠する能力)が低いことが知られています。

肥満は、卵子の質の低下、排卵異常、胚着床不良、流産や妊娠合併症など、妊娠・出産に関するリスクを高めます。

現在では、ダイエット治療に非常に有効であるマンジャロ等のGLP-1受容体作動薬の使用が可能なため、不妊治療の一環として、GLP-1受容体作動薬によるダイエット治療を推奨する場合もございます。

ここでは、肥満の解消が妊孕性に与える影響や、その手段についてのレビューをご紹介します。

肥満の解消と不妊治療

不妊治療における減量の重要性は、様々な研究報告によって明らかになっています。

肥満の程度によりますが、特に、やや大きめの減量(7%前後)により、自然妊娠率や排卵誘発への反応、体外受精/生殖医療の成績改善が報告されています。

つまり、適正体重を維持することに努めることは、妊孕性の向上(不妊症治療)に繋がるとも言えます。

GLP-1受容体作動薬とそれ以外のダイエット治療薬

レビューで取り上げられている「体重管理・減量を目的とした医薬品」は次の通り。

  • リラグルチド(サクセンダ:GLP-1受容体作動薬)
  • セマグルチド(オゼンピックあるいはウゴービまたはリベルサス:GLP-1受容体作動薬)
  • チルゼパチド(マンジャロまたはゼップバウンド:GLP-1 + GIP 作動薬)
  • コントレイブContrave(ナルトレキソン/ブプロピオン併用:本邦未認可)
  • キューシミアQsymia(フェンテルミン/トピラマート併用:本邦未認可)
  • オルリスタットOrlistat(アライ:脂肪吸収阻害薬)
  • かつての標準とされた手術的減量(肥満手術)

についても言及されています。

GLP-1受容体作動薬とそれ以外の従来のダイエット治療と、捉えていただいて結構です。

GLP-1受容体作動薬の妊孕性に対する優位性

ダイエットは不妊治療の一環となりますが、選択する薬剤により、効果が異なってきます。

GLP-1受容体作動薬が持つ可能性として、単なる体重減少以外に「生殖器や子宮・卵巣の炎症/線維化改善作用」「ホルモンバランスの改善」「多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の形態改善や高アンドロゲン状態の是正」という、生殖機能に対する直接的プラス効果も報告されつつあります。

それに対して、従来のダイエット治療薬は、効果が限定的です。

ダイエット効果が弱いことや、ダイエットに成功した場合でも、妊娠に好影響を得られなかったとする報告もあります。

ダイエットのために外科的手術療法を行った場合は、栄養状態が安定化するまで、およそ1〜2年の間は、妊娠を避けることが推奨されています。

栄養バランスの不安定な妊娠は、母体の健康状態を悪化させ、子宮内胎児発育不全や胎児の先天異常に繋がる可能性が示唆されています。そのため、待機期間が必要となるため、時間的制約のため、挙児希望の女性のニーズに合わない可能性があります。

このことから、妊孕性の向上を考えた場合、GLP-1ダイエットが、第一選択薬となります。

ダイエット治療薬と催奇形成

妊娠時、お薬の妊娠への影響、胎児への影響を考慮する必要があります。

GLP-1受容体作動薬は、その製薬メーカーから、妊娠の計画が有る場合は、その2ヶ月前に中断するように、推奨されています。

実際には、GLP-1受容体作動薬(特にセマグルチド:オゼンピックあるいはリベルサス)の使用中に妊娠が発覚した場合でも、妊娠による死亡や催奇形性が確認されていない健康な子どもを出産したとしています。(SUSTAIN 1–6およびSTEP 1–5およびSTEP 8)

2023年には、最も権威の有る医学誌の一つであるアメリカ医師会誌(the Journal of the American Medical Association:JAMA)に、妊娠初期に461人がGLP-1受容体作動薬の処方を受けたが、奇形のリスクが統計的に有意に増加することはなかったことが掲載されています。

つまり、胎児に対する影響は少ない、安全な肥満治療薬と言えるため、不妊治療中のダイエットに適した薬剤と言えます。

注:とは言え、GLP-1受容体作動薬は、妊娠の計画のある2ヶ月前に中断することをお勧めいたします。

妊娠とダイエットの計画

挙児希望の場合に限りませんが、急激なダイエットは推奨しません。

例えば、女性の場合は、急激なダイエットの結果、ホルモンバランスの乱れをきたし、月経不順などをきたす場合があります。これは、妊孕性の低下に繋がります。

また、ダイエット治療薬を中断した場合に、リバウンドとして体重が増加する可能性があります。

妊娠中の過度な体重増加は、様々なリスクを生じます。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、巨大児や胎児の先天奇形の増加、帝王切開や正常分娩率の低下に繋がります。

無理のない妊娠とダイエット計画を立てて下さい。

参照:

Medical therapy to treat obesity and optimize fertility in women of reproductive age: a narrative review

Reprod Biol Endocrinol. 2025 Jan 6;23:2.

doi: 10.1186/s12958-024-01339-y

【GLP-1ダイエット】に関する最近の記事

レノーヴァRENOVAなどの体外衝撃波療法はED治療に有用なのでしょうか?
ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

最近、体外衝撃波療法によるED治療が話題を集めていますが、その実際の効果はどうなのでしょうか?患者満足度は高いとする報告もありますが、勃起機能の改善幅は小さく、結果に乖離が認められる場合もあります。さらに、アメリカでは未承認であり、治療法としての位置づけも各国で異なります。そのため、池袋スカイクリニックでは、体外衝撃波療法には慎重な立場をとっています。ED治療薬が効かない方のための特効薬ではないことを理解する必要があります。詳しくは、本文をご覧ください。

Read More »
慢性副鼻腔炎を有す男性は、EDのリスクが1.5倍あります
慢性副鼻腔炎とEDの関係

慢性副鼻腔炎とED(勃起不全)の関係についての研究が進んでいます。慢性副鼻腔炎を抱える患者は、EDのリスクが1.51倍高いことが示されています。これらの疾患は一見無関係に思えますが、慢性炎症が全身に影響を及ぼし、EDの原因となる可能性があるのです。鼻づまりによる低酸素状態や生活の質の低下も、性欲に影響を与える要因として考えられています。興味のある方は、ぜひ詳細を読み進めてみてください。

Read More »
亜鉛サプリメントの摂取がEDや精力増強につながるとする科学的根拠(エビデンス)は限定的
亜鉛はED勃起機能を改善する?

亜鉛は男性機能や勃起力の改善に効果が期待されていますが、一方で、実際の医学的根拠は乏しいとされています。亜鉛欠乏のある男性には改善の可能性があるものの、十分な亜鉛を摂取している人に対しては効果が証明されていません。さらに、亜鉛サプリメントがEDや性欲の向上に寄与するかどうかは、まだ明確な結論が出ていません。亜鉛の役割やその効果について、詳しく知りたい方はぜひ続きをご覧ください。

Read More »
ED治療薬は因果関係は不明であるものの、心血管イベントと死亡リスクを低下させる
ED治療薬は心臓病と死亡リスクを低下させる

ED治療薬が心臓病や死亡リスクを低下させるという研究報告があります。約125万人のデータを解析したメタ解析では、ED治療薬の使用群は、因果関係不明ながらも、重大な心血管イベントのリスクが22%、全死亡リスクが30%も減少することが示されています。ここでは、ED治療薬(PDE5阻害剤)が、心臓に負担をかける危険な薬剤などといった、風評被害とも言えるイメージを払拭する一助になると思い解説しています。ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
肥満はEDの原因の一つであり、特に中等度以上のEDと関与している。BMIを確認しましょう。
肥満は中等度以上のEDと関与

肥満と勃起不全(ED)の関係についての研究は、多数報告されております。しかし、その多くが欧米人を対象としております。欧米人とアジア人では、肥満の程度と有病率が異なります。そのため、その結果を、アジア人に、そのまま当て嵌めてよいものか、疑問が生じます。ここでは、男性性機能外来を受診したアジア人(若年中国人)男性において、肥満とEDの関係を調査した研究報告をご紹介いたします。果たして、どのようなBMIが男性機能に影響を及ぼすのか?詳細をぜひご覧ください。

Read More »
タダラフィルは慢性炎症を改善し、アンチエイジング効果を発揮する可能性が有る
低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する

タダラフィルは、ED治療薬として知られるだけでなく、炎症マーカーを改善する可能性があることが注目されています。慢性炎症は老化を促進させる要因の一つであり、タダラフィルの服用がアンチエイジングに繋がるかもしれません。最近の研究では、タダラフィルが炎症マーカーを改善することが示され、シルデナフィルとの比較も行われました。この興味深い結果が、今後のアンチエイジング医療にどのような影響を与えるのか、ぜひご覧ください。

Read More »