高麗人参のEDと早漏症に対する効果|池袋スカイクリニック

高麗人参のEDと早漏症に対する効果

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高麗人参のEDと早漏症に対する効果

2025年11月8日

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高麗人参抽出エキスが男性機能に与える影響を評価

高麗人参は、滋養強壮に有効であるとして、古くから知られておりました。 中には、男性機能を向上させる目的で、摂取している方もいらっしゃると思います。

では、実際に、高麗人参は、男性機能を改善するのでしょうか?

ここでは、ジンセノシドを豊富に含む、高麗人参の実の部分の抽出エキスによる、勃起機能と射精遅延効果に与える影響を評価した研究報告を、ご紹介します。

ジンセノサイド(ジンセノシド)とは?

高麗人参の有効成分として知られているサポニン系化合物の総称です。

一酸化窒素(NO)産生を促進することによる血管拡張作用(血流改善作用)、細胞の酸化ストレスを抑える(抗酸化作用)、炎症性サイトカインの抑制(抗炎症作用)、神経細胞の保護や認知機能改善(神経保護)、体力増強や免疫バランスの調整(疲労回復・免疫調整)など、様々な作用を持つと言われています。

ED男性を対象とした二重盲検試験

軽度〜中等度のEDを有する119名の男性が多施設共同、二重盲検、並行群、プラセボ対照の臨床試験です。

二重盲検試験は、被験者(患者)と、それを実施する観察者(医師)ともに、実薬か偽薬(プラセボ)か伏せておくため、プラセボ効果やバイアス(先入観などの心理的影響など)が除かれるため、信頼性が高い試験法です。

参加者は、1日4錠ずつ、標準化された高麗人参(standardized Korean ginseng berry SKGB;1錠あたり高麗人参抽出物350mg含有)またはプラセボを8週間服用。

効果判定は、国際勃起機能スコア(IIEF‑15)および早漏診断ツール(PEDT)を用いて、4週目と8週目に評価されています。

高麗人参は勃起機能EDと早漏症のスコアを改善

結果は、高麗人参抽出物摂取群は、国際勃起機能スコアIIEF‑15の総スコアを40.95±7.05から8週目に46.19±12.69へ有意に改善しています。

国際勃起機能スコアの勃起機能ドメイン(勃起力)は、17.17±2.57から18.59±5.99に、改善幅が小さいながらも、改善を示しています。

早漏診断ツール(PEDT)は、9.14±4.57から、8週目には7.53±4.26へと有意に改善しています(値が小さいほど改善)。

血中のホルモン値や脂質を含む安全性マーカーは、4週目および8週目終了時点で変化が見られなかったとのことです。

ED治療のサポートとしての高麗人参

データ(数字)だけでは、一般の方には、高麗人参が、どのくらいEDを改善するかイメージが湧かないかと思います。

例えばですが、ED治療薬のシアリスは、国際勃起機能スコアの勃起ドメインを14.1から21.1〜23.3に改善しています(国内プラセボ対照二重盲検比較試験より)。つまり、7〜9程度改善していることになります。それに対して、高麗人参の場合は、1ポイント少々の改善にとどまっています。

単純に、勃起機能だけの改善であれば、やはりED治療薬に分があります。

ただし、高麗人参群の摂取では、性機能全体(IIEF-15スコアの総点数)として改善をしているため、全体的な滋養強壮には良い印象があります。

また、早漏症のスコアが改善していることが興味深いと感じます。

Effects of Korean ginseng berry extract on sexual function in men with erectile dysfunction: a multicenter, placebo-controlled, double-blind clinical study

Int J Impot Res. 2013 Mar-Apr;25(2):45-50.

DOI: 10.1038/ijir.2012.45

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