慢性副鼻腔炎とEDの関係|池袋スカイクリニック

慢性副鼻腔炎とEDの関係

池袋スカイクリニック

慢性副鼻腔炎とEDの関係

2026年8月1日

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慢性副鼻腔炎の患者はEDのリスクが上昇する

慢性副鼻腔炎を有す場合、EDのリスクが上昇するという研究報告があります。

本邦には、慢性副鼻腔炎の患者は、100万〜200万人程度存在するとされます。100人に1人くらいの有病率となります。もし、EDと関連するのであれば、その有病率の高さから、EDへの影響は小さくはありません。

一見すると、全く関係の無いように思われる両疾患ですが、因果関係はあるのでしょうか?

興味のある方は、読み進めて下さい。

慢性副鼻腔炎とは

慢性副鼻腔炎とは、鼻の奥にある「副鼻腔(ふくびくう)」という空洞に炎症が続く病気です。
一般的には「ちくのう症」と呼ばれています。

風邪やアレルギーなどをきっかけに、副鼻腔の中に炎症が起こり、膿(うみ)がたまることで発症します。
炎症が3か月以上続くと「慢性副鼻腔炎」と呼ばれます。

主な症状

  • 鼻づまり
  • 黄色や緑色の鼻水
  • 後鼻漏(鼻水がのどに流れる)
  • においがわかりにくい(嗅覚低下)
  • 頭が重い・顔の違和感

慢性副鼻腔炎とEDに関する台湾からの研究報告

台湾の国立衛生研究所(NHRI)が研究目的で管理する保険金請求データベースである台湾の国民健康保険研究データベース(NHIRD)から収集したデータを使用、解析されています。

1996〜2007年の間に、新たに診断された慢性副鼻腔炎、およそ14,000人と、対照として、性別と年齢を一致させたおよそ140,000人を抽出、約3年間フォローされています。

両群で比較すると、慢性副鼻腔炎群において、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、冠動脈疾患、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、不整脈、虚血性脳卒中、脳内出血が多く合併しています。

さらに、慢性副鼻腔炎群において、降圧薬のACE阻害剤、ベータ遮断薬、脂質異常症治療薬のスタチン、ステロイドの使用率が高かったとしています。

慢性副鼻腔炎群ではEDのハザードリスクが1.51倍

対象となったおよそ154,000のうち、新たにEDと診断されたのは、慢性副鼻腔炎群で294人(2.1%)、対照群で1,661人(1.2%)。

性別、年齢、保険料、居住地、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、冠状動脈性心疾患、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、不整脈、虚血性脳卒中、脳内出血、および薬剤を考慮した、cox回帰モデルによる解析では、慢性副鼻腔炎群で、ハザードリスクが1.51倍高い事が示されています。 (HR = 1.51; 95% CI = 1.33–1.73; P < 0.0001)

さらに、慢性副鼻腔炎に鼻ポリープ(鼻茸)を合併した群では、統計学的に有意差は無いとしつつも、ハザードリスクが1.78と、より高いことも示されています。

年齢別では、36–50歳の患者でハザードリスク1.71と高くなっています。

慢性副鼻腔炎とEDの因果関係

本研究は、疫学研究であり、直接の因果関係を明らかにするものではありません。しかし、その傾向は見て取ることができます。

慢性副鼻腔炎群では、併存疾患が多いことを、上述しています。 例えば、虚血性心疾患や脳卒中、慢性腎臓病などです。 これらは、動脈硬化を原因とすることが多く、また、動脈硬化はEDの原因でもあります。つまり、慢性副鼻腔炎例は、EDの危険因子を有する例が多いこと推測されます。 実際に、EDの危険因子である動脈硬化性疾患、高血圧や脂質異常症、糖尿病の併存も多いことが明らかになっています。

慢性炎症がEDの原因となるという考え方

慢性副鼻腔炎は、読んで字のごとく、慢性的な副鼻腔の炎症です。

何度かご紹介させていただいているのですが、慢性的な炎症は、血管内皮障害を惹起し、動脈硬化の原因となります。

また、慢性炎症は、糖尿病や脂質異常症の原因にもなりえます。糖尿病で通院中の方であれば、歯周病のチェックを促されたことがあるかもしれません。歯周の炎症が血糖コントロールに影響を及ぼします。

つまり、副鼻腔の局所的な慢性炎症が、全身に影響を及ぼし、EDの原因となりうると考えられます。このように、一見、因果関係の少なそうな慢性副鼻腔炎とEDですが、慢性炎症がEDの原因になりうるという考え方をすると、関連がありそうだということがわかると思います。

鼻閉による低酸素やQOL低下による性欲減退

鼻づまりによる低酸素状態が、交感神経を活性化し、血管収縮、一酸化窒素NOの産生低下からEDを生じるとする機序も考察されています。

さらに、頭重感や頭痛、鼻閉や嗅覚異常などからQOL(生活の質)が低下し、性欲が湧きづらくなるといった機序も考察されています。

Chronic Rhinosinusitis Associated with Erectile Dysfunction: A Population-Based Study

Sci Rep. 2016 Aug 31;6:32195.

doi: 10.1038/srep32195

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