受動喫煙がEDに及ぼす影響|池袋スカイクリニック

受動喫煙がEDに及ぼす影響

池袋スカイクリニック

受動喫煙がEDに及ぼす影響

2026年9月1日

Table of Contents

受動喫煙はEDの原因となるのか?

受動喫煙はEDの原因と成ります
タバコはEDの原因としてあげられますが、受動喫煙も同様です。

以前の投稿で、喫煙はEDの原因となることを解説していると思います。 その研究報告では、タバコの1日あたりの本数と喫煙年数から、喫煙パック・イヤーを計算し、定量化が試みられていました。 また、受動喫煙の影響についても評価されていましたが、こちらは定量化されておらず、あくまで、自己申告に因るものでした。

EDと受動喫煙に絞った研究報告は限られております。 今回は、受動喫煙を定量化しようと試みた研究報告を、ご紹介いたします。

2001–2002 National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)

NHANESは、アメリカ人口の健康状態および栄養状態を把握することを目的とした国民健康栄養調査です。

2001〜2002年において、20歳以上の非喫煙男性1318人を対象に、ED、自己申告による受動喫煙曝露歴、および受動喫煙のバイオマーカーとして、ニコチンの代謝産物である血清コチニンを測定し、これらの関連について、解析されています。

受動喫煙におけるEDのリスクは1.29倍

本研究では、非喫煙男性のED有病率は12.0%であり、受動喫煙に暴露されていると答えた男性のED有病率は、14.3%と増加を認めています。

血清コチニン濃度に注目すると、血清コチニン濃度0.03ng/mL未満の受動喫煙レベルでは、ED有病率は10.4%であり、血清コチニン濃度0.60ng/mL未満までは、概ね変化を認めていません。これに対し、血清コチニン濃度0.60ng/mLでは、ED有病率は15.1%へ上昇し、血清コチニン濃度1.6ng/mLを超える受動喫煙レベルでは、ED有病率は22.9%にまで上昇しています。

血清コチニン濃度0.60ng/mL以降では、血清コチニン濃度(対数変換)とED有病率は、相関関係が認められています。

血清コチニン濃度が0.60ng/mLを超える場合は、0.60ng/mL以下であった場合と比較して、EDを有するオッズが1.29倍 (95%CI: 0.52–3.22)であったとしています。

血清コチニン0.60ng/mLが意味するところ

CDC/NHANESでは、非喫煙者の血清コチニン濃度は約0.02〜0.05ng/mL、非喫煙者の受動喫煙曝露を、血清コチニン濃度0.05〜10.00ng/mLとしています。このことから、血清コチニン濃度0.60ng/mLは、非喫煙者と比較した場合、およそ10倍の濃度ということに成り、
「非喫煙者でも、タバコの煙を、軽度ながらも、ある程度吸い込んでいる状態」
と考えられます。

ちなみに、喫煙者では血清コチニンが10ng/mLを超えることが多いとされています。

受動喫煙の環境イメージ

血清コチニン0.60 ng/mLは、受動喫煙の無い非喫煙者と比較すると高い値であり、日常的な受動喫煙曝露を示唆されます。 家庭内に喫煙者がいる場合には、これに近い値がみられることがあります。


① 家庭(軽い受動喫煙)
家族が別の部屋で時々吸う 換気あり
⇨0.05〜0.3 ng/mLくらい


② 家庭(同室で喫煙)
リビングで一緒に過ごす
1日数本レベル
⇨0.3〜1 ng/mLくらい
(0.60 ng/mLはこのあたり=日常的に煙を吸っている状態)


③ 居酒屋・喫煙可飲食店(短時間)
1〜2時間滞在
周囲に複数喫煙者
⇨0.5〜2 ng/mLくらい


④ 職場(喫煙環境あり) 喫煙者が近くにいる 長時間(数時間〜毎日) ⇨1〜3 ng/mL以上


NHANESのデータでは、
家庭内曝露のみ
… 平均 0.803 ng/mL
職場曝露のみ
… 平均 0.083 ng/mL
と、なっています。

喫煙可能な環境は減っているが

日本の喫煙率は、ここ数十年で大きく減少しています。特に男性では、1960年代には約8割が喫煙していたとされますが、現在では約4人に1人程度まで低下しています。一方で、加熱式たばこの普及や、家庭・職場での受動喫煙など、新たな課題も残されています。

男性にとって、ご自身の男性機能の衰えは、生活の質に直結する場合がございます。 ご本人の男性機能を保つためにも、禁煙することを、お勧めいたします。 分煙が進んでおりますが、それでも、タバコの匂いや受動喫煙を気にする方も大勢いらっしゃいます。喫煙するにあたっても、周囲の男性の男性機能維持のためにも、喫煙環境には、注意を払いましょう。

Secondhand Smoke And Erectile Dysfunction Among Non-Smoking Men, NHANES 2001–2002

Epidemiology 19(6):p S231, November 2008.

DOI: 10.1097/01.ede.0000340187.59254.d2


Exposure to second hand smoke at home and work among nonsmokers

Chemosphere Volume 135, September 2015, Pages 225-232

https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2015.04.057

【ED】に関する最近の記事

prp注射は多血小板血漿を用いたED治療ですが、未だ研究段階で実臨床に応用するには時期尚早です。
PRP注射:ED治療における多血小板血漿の効果

PRPとは多血小板血漿の略であり、その注射は、自己血由来の成長因子を利用して陰茎の血管や組織の修復を促すEDの治療法です。しかし、現在のところ、PRP注射は研究段階にあり、標準的なED治療法としては推奨されていません。軽症〜中等症の血管性EDに有効である可能性はありますが、臨床試験は小規模なものしか無く、治療方法も統一されていないため、慎重な判断が求められます。ED治療におけるPRP注射の可能性と限界について、詳しく見ていきましょう。

Read More »
抗精神病薬の副作用として体重増加が知られているが、その治療・予防にマンジャロが有効である
マンジャロは抗精神病薬誘発性体重増加を改善

抗精神病薬による体重増加は、精神的な健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。最近の研究では、GLP-1受容体作動薬であるマンジャロやオゼンピックが、抗精神病薬誘発性の体重増加を改善する効果が示されています。66,574人を対象にした後ろ向きコホート研究では、体重減少の幅が薬剤のリスクによって異なることが明らかになりました。精神と肥満の悩みを抱える患者にとって、これらの新しい治療法がどのように役立つのか、詳しく見ていきましょう。

Read More »
ボトックス注射によるED治療は、研究段階の治療法であり、一般診療として行うことは推奨されていない
ボトックス注射によるED治療について

ボトックス注射をED治療に応用しようとする試みがあります。シルデナフィルなどのPDE5阻害剤が一般的な治療法として広まる中、ボトックス注射は、ED治療薬の無効例に対して新たな選択肢として研究されています。しかし、現時点では標準治療ではなく、効果や安全性についてはまだ十分な科学的根拠がありません。この記事では、ボトックス注射のメカニズムや臨床研究の結果、ガイドラインでの位置づけについて詳しく解説します。興味のある方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
レノーヴァRENOVAなどの体外衝撃波療法はED治療に有用なのでしょうか?
ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

最近、体外衝撃波療法によるED治療が話題を集めていますが、その実際の効果はどうなのでしょうか?患者満足度は高いとする報告もありますが、勃起機能の改善幅は小さく、結果に乖離が認められる場合もあります。さらに、アメリカでは未承認であり、治療法としての位置づけも各国で異なります。そのため、池袋スカイクリニックでは、体外衝撃波療法には慎重な立場をとっています。ED治療薬が効かない方のための特効薬ではないことを理解する必要があります。詳しくは、本文をご覧ください。

Read More »
慢性副鼻腔炎を有す男性は、EDのリスクが1.5倍あります
慢性副鼻腔炎とEDの関係

慢性副鼻腔炎とED(勃起不全)の関係についての研究が進んでいます。慢性副鼻腔炎を抱える患者は、EDのリスクが1.51倍高いことが示されています。これらの疾患は一見無関係に思えますが、慢性炎症が全身に影響を及ぼし、EDの原因となる可能性があるのです。鼻づまりによる低酸素状態や生活の質の低下も、性欲に影響を与える要因として考えられています。興味のある方は、ぜひ詳細を読み進めてみてください。

Read More »
亜鉛サプリメントの摂取がEDや精力増強につながるとする科学的根拠(エビデンス)は限定的
亜鉛はED勃起機能を改善する?

亜鉛は男性機能や勃起力の改善に効果が期待されていますが、一方で、実際の医学的根拠は乏しいとされています。亜鉛欠乏のある男性には改善の可能性があるものの、十分な亜鉛を摂取している人に対しては効果が証明されていません。さらに、亜鉛サプリメントがEDや性欲の向上に寄与するかどうかは、まだ明確な結論が出ていません。亜鉛の役割やその効果について、詳しく知りたい方はぜひ続きをご覧ください。

Read More »