ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置|池袋スカイクリニック

ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

池袋スカイクリニック

ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

2026年9月8日

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ショックウェーブによるED治療の実際

最近、『薬を飲まないED治療』などの謳い文句で、体外衝撃波によるED治療の広告を見かけます。 医学論文に、その有効性が示されているとする広告や、高い顧客満足度であったとする広告も見受けられますが、実際のEDの改善効果は、どうなのでしょうか?

池袋スカイクリニックのコラム上でも、何度か、ED治療における衝撃波療法の有効性について取り上げています。

ここでは、その効果と、世界的な位置づけについて、説明したいと思います。

治療法としては古くからある

ED治療に対する体外衝撃波療法は、最新の治療法の様に取り上げらることもございますが、実際のところ、その歴史は古く、池袋スカイクリニックが開院した2009年当時から存在しました。代表的には『ED1000』などで、メーカーの営業が当院にも来たりしたこともありました。 その当時の体外衝撃波療法の評価は、正直に申せば、『ぱっとしない』ものであり、『プラセボ(偽薬)と大差ない効果』という印象でした。医学論文には、ED改善効果があったとするものもございましたが、試験デザインに不備があったり、その規模が小さかったりと、科学的根拠(エビデンス)としては不十分なものもございました。勃起機能改善効果が得られなくとも、衝撃波の出力や照射時間など、プロトコールを変更することで効果が期待できる可能性を含ませていたものもございました。

レノーヴァRENOVA

ネット上の広告で、しばしば見受けられるレノーヴァRENOVAは、このプロトコールを変更したものとなります。

『ED1000』は狭い焦点を多数回に分けて照射し、『レノーヴァRENOVA』は線状の広い焦点を利用して1回の照射数を増やし、通院回数を減らしたプロトコールとなっていることが多いです(施設によって異なるため、詳細は実施している医療機関にお尋ねください)。

一般の方が最も知りたいことは、EDの改善効果があるか否かということかと思います。

患者満足度は高いが勃起機能スコアの改善幅は小さい

研究報告によって差はありますが、衝撃波療法のED改善効果は、小さいと考えられています。 レノーヴァRENOVAに関しても同様です。

しばしば、ネット広告で引用されている医学論文を見ると、患者満足度は70%超えるとしていますが、詳細を見ると、男性用性健康調査票Sexual Health Inventory for Men (SHIM:国際勃起機能スコアIIEF-5と、ほぼ同様とお考えいただいて構いません)の改善は、+1.5点に留まっています。改善幅は、とても小さいものです。さらに、盲検査試験ではないため、プラセボ(偽薬)にあたる比較対照がありません。高い患者満足度と実際の勃起機能の改善幅に乖離がある印象は拭えず、これをもって有効と判断するには慎重にならざるを得ません。

参考程度ですが、SHIMスコアの改善幅における「臨床的に意味のある最小変化量(MCID)」の明確な基準はありませんが、SHIMが4点以上の改善が、臨床的に意味のある改善の目安とされています。レノーヴァRENOVAによるSHIMスコア+1.5点の改善が、効果として実感できるかは不明です。

他の医学論文では、より大きい勃起改善効果が示されている場合もございます。ただ、規模が小さかったり、ED治療薬の併用が許可されていたり、併用の有無が記載なかったりと、医学的根拠エビデンスとしては不十分なものも多くあります。なかには、単にED治療薬の服用法を正しく改善できただけなのでは?と思えるような報告もあります。

アメリカではRENOVAレノーヴァは未承認

現在、レノーヴァRENOVAが医療機器として認可されているのは、ヨーロッパになります。 アメリカや日本では、認可されておりません。 ここで間違えないでいただきたいのは、あくまで医療機器として認可されているのであって、効果を保証するものではないということです。

レノーヴァRENOVAも、アメリカで承認を得るための動きはあったようです。

アメリカで実施された第二相臨床試験では、レノーヴァRENOVAを実施することで、IIEF-EFスコアはプラス2.7点の改善、EHSスコアは0.5〜0.6点の改善となっております。ちなみにED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)は、IIEF-EFスコアを7〜10点程度改善するとの報告が多く、対照となるプラセボ(偽薬)でも1〜3点程度改善しています。 レノーヴァRENOVAの勃起改善効果はプラセボ(偽薬)効果といった印象さえあります。プラセボ効果、つまり、『実際の治療によらない』ED改善効果です。心因的な要素も含まれますし、治療効果に期待することによって生じた、心身の反応によるED改善効果です。ただプラセボ効果は、治療法そのものによる効果ではありません。

IIEF-EFスコアには、臨床的に意味のある最小変化量(MCID)が検証されています。具体的には、軽症EDで2点、中等症EDで5点、重症EDで7点の改善が必要とされています。これを基準に考えると、レノーヴァRENOVAは、中等症以上のEDには、効果が乏しい可能性が高くなります。

詳細は不明ですが、この治験以降の申請に対する働きは無くなってしまった模様です。

旧来の『ED1000』も、効能(ED改善効果)についての承認は得られていません。

治療コストの問題

また、ED治療薬が有効な場合は、体外衝撃波療法も有効であるとする論文があります。そうなると、両治療法を比較した場合の治療コストが問題になります。広告を拝見するに、体外衝撃波治療を完遂するためには〇〇万円必要となるようです。もちろん、ED治療薬の服用に頼らない治療を希望する場合は、選択肢に入ってくるかもしれません。

体外衝撃波療法が有効とする報告もあるが、、、

池袋スカイクリニックでは、本記事を執筆している2026年8月時点では、EDに対する体外衝撃波治療は、慎重な立場をとっています。 その理由は、やはり勃起改善効果に疑問があることです。 もちろん、勃起改善効果があったとする論文もあります。ただ、その臨床試験の方法(例えば盲検試験ができていななど)であったり、規模が小さいため、有効であると断定するには時期尚早と感じています。

本邦における体外衝撃波治療の研究報告によれば、ED1000でSHIMスコアが10.4から12.2へ、レノーヴァRENOVAで10.2から11.7へ改善したとしていますが、改善幅は非常に小さいです。臨床上、効果を実感できるか不明です。

プラセボ(偽薬)と同レベルのED改善効果しか得られない治療を、さも、絶大な効果が得られるとする広告には、違和感を覚えます。

各国のED治療ガイドラインによって異なる評価

ガイドライン・学会 低強度体外衝撃波療法(Li-ESWT)の評価
日本性機能学会・日本泌尿器科学会
男性性機能障害診療ガイドライン2025年版
血管性EDに対して推奨 推奨グレードB エビデンスレベルⅡ
欧州泌尿器科学会(EAU)2026 軽症の血管性EDなどに 弱く推奨
米国泌尿器科学会(AUA) 研究段階の治療
北米性医学会(SMSNA) 原則として臨床研究として実施すべき
アジア太平洋性医学会 有望だが、標準治療とするにはエビデンス不足

上記のように、各ガイドラインによって、体外衝撃波療法の取り扱いは若干異なります。

アメリカでは、先に述べたように、臨床効果が得られず、未承認であるため、積極的な立ち位置にはありません。 欧州は、血管性EDに対して、実施を考慮しても良いといった立ち位置です。

2025年に発表された本邦のED治療ガイドラインが、最も積極的な立ち位置を取っている印象がありますが、対象を血管性EDに限定していることは注意してください。

あくまで血管の異常を原因とするEDに対しての治療法

『レノーヴァRENOVA』や『ED1000』は、血管性EDに対する治療法であって、闇雲に行う治療ではありません。 比較的、積極的な姿勢を取っている本邦のED治療ガイドラインでさえ、その対象を血管性EDに限っています。心因性EDや飲酒によるEDを改善する効果はありません。

血管性EDとは、高血圧や糖尿病、喫煙などによる動脈硬化を原因とすることが代表例としてあげられます。

また、ED軽症例において有効であるとする研究報告が多く、ED治療薬の効果が乏しい重症例では、やはり効果が乏しいとする報告が多いことも、注意する必要があります。 つまり、ED治療薬が有効である例では、コストを考慮に入れた治療を選択する必要があり、ED治療薬の効果が乏しい例では、体外衝撃波療法の効果も乏しい可能性があることを理解する必要があります。 ED治療薬で効果が得られない方のための、特効薬的な治療法ではありません。

参照


Phase II Randomized, Clinical Trial Evaluating 2 Schedules of Low-Intensity Shockwave Therapy for the Treatment of Erectile Dysfunction

Sex Med. 2020 Mar 14;8(2):214–222.

doi: 10.1016/j.esxm.2020.01.010


Efficacy and patient satisfaction of low-intensity shockwave treatment for erectile dysfunction in a retrospective real-world study in Japan

Int J Urol. 2023 Apr;30(4):375-380.

doi: 10.1111/iju.15135.


日本性機能学会・日本泌尿器科学会編集

『男性性機能障害診療ガイドライン2025年版』


欧州泌尿器科学会(EAU)

EAU Guidelines:Management of Erectile Dysfunction


米国泌尿器科学会(AUA)

Erectile Dysfunction: AUA Guideline


北米性医学会(SMSNA)

Restorative Therapies for Erectile Dysfunction:SMSNA Position Statement


アジア太平洋性医学会(APSSM)

Li-ESWT・LIPUSによるED治療:APSSM Position Statement


Minimal clinically important differences in the erectile function domain of the International Index of Erectile Function scale

Eur Urol. 2011 Nov;60(5):1010-6.

doi: 10.1016/j.eururo.2011.07.053

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