マンジャロは、睡眠時無呼吸症候群の肥満例に有効

「睡眠時無呼吸症候群」、聞いた事がある方も多いかと思います。
特に運輸業に携われている方は、そのチェックを上kたことがある方も多いと思います。
初めに睡眠時無呼吸症候群が注目されたのは、2003年2月に起きた山陽新幹線の岡山駅ホームはみ出し事件です。運転手は100kgを超える肥満例であり、普段から眠りが浅いなど、本症を疑う症状を認めており、事件発症時も、運転席で居眠りをした状態で発見されています。
マンジャロやゼップバウンドなどのチルゼパミドTirzepatide製剤は、体重を落とすことで、睡眠時無呼吸症候群を改善する可能性が指摘されています。
日本国内に睡眠時無呼吸症候群の患者は900万人
睡眠時無呼吸は中枢性と閉塞性と、その混合型に分類され、その殆どが閉塞性タイプとされています。
2019年、中等症以上の成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者数が900万人いると報告されました。
また、そのうちの治療を行っている患者は、わずか50万人であったともしています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状は、「いびきをかく」ことです。
もし、ご家族からいびきを指摘され、日中に眠気を自覚することがあるならば、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高く、精査が必要となります。
肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因
肥満例は、その体型から、気道の閉塞を来しやすくなるため、閉塞性無呼吸症候群を発症しえます。
治療をされている方であれば、医師より減量を指示されている方も、大勢いるかと思います。
しかし、お仕事の都合などで、減量に時間を割くことができない場合もあります。
運動しようにも、いきなりの運動は、体への負担が大きく、実施できない場合もあります。
そこで注目されているのがGLP-1受容体作動薬を用いた、いわゆるGLP-1ダイエットです。
特にダイエット効果の高いマンジャロは、第一選択薬となり得ると期待されています。
マンジャロは肥満と閉塞性睡眠時無呼吸症候群を改善する
マンジャロが肥満を合併した中等度〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を改善したとする報告をご紹介します。
BMI38.7〜39.1 kg/m²の閉塞性無呼吸症候群の成人例を対象に、マンジャロを投与し、52週間後の変化をプラセボと比較検討されています。
睡眠時無呼吸症候群の重症度の指標である無呼吸/低呼吸指数 (AHI:Apnea–Hypopnea Index:1時間に何回無呼吸が記録されたかとお考え下さい)は、非陽圧呼吸治療群で51.5イベント/時間、陽圧換気治療群は49.5イベント/時間。
これが、マンジャロで52週間治療することで、非陽圧呼吸治療群で−25.3イベント/時間(プラセボ群は−5.3イベント/時間)、陽圧換気治療群で−29.3イベント/時間(プラセボ群は−5.5イベント/時間)と、著名な改善を認めています。
体重減少率は、非陽圧呼吸治療群で約17.7%(プラセボ群は約1.6%)、陽圧呼吸治療群で約19.6%(プラセボ群は約2.3%)と、大幅な減量に成功しています。
マンジャロは、いびきと日中の眠気と肥満を同時に解消する可能性
マンジャロは、ダイエット効果に優れるGLP-1受容体作動薬です。
ダイエットが成功すれば、肥満を原因とする閉塞性睡眠時無呼吸症候群を改善できることは、容易に想像できます。
もし、軽度の睡眠時無呼吸症候群を指摘され、その治療がダイエットであった場合、マンジャロは有力な選択肢の一つになる可能性があります。
中等度〜重度の睡眠時無呼吸症候群を指摘された場合は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)などで無呼吸を改善さえ、それと並行してダイエット治療を進める必要があります。
食生活や運動習慣などライフスタイルの改善によってダイエットを図るのが理想ですが、現実的な治療法として、マンジャロなどのGLP-1ダイエット治療薬を使用することは、一つの選択枝と考えます。
Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Obesity
N Engl J Med. 2024 Oct 3;391(13):1193-1205.





