ED薬を服用する男性は性感染症有病が高率



Sexually Transmitted Diseases Among Users of Erectile Dysfunction Drugs: Analysis of Claims Data

勃起薬を使用する男性の性感染症有病率

 論文はAnn Intern Med誌2010年7月6日号に掲載されたものです。

アメリカでも当然勃起不全治療を希望される方が多数いらっしゃるのですが、ED治療薬の使用者は、非使用者と比較し、 性行為感染症有病率が2.5倍を超え、特にHIV感染が多いことが明らかになったそうです。
性行為数が増えれば、性感染症に感染する機会も増えるわけで、当然と言えば当然と考えがちですが、この論文の趣旨は違います。

企業医療保険請求データベースに97~06年に登録された40歳超の男性141万806人を、 勃起薬使用者と非使用者に分けて、性感染率を調査した報告です。

性感染症として、クラミジア、淋病、性器ヘルペス、HIV/AIDS、梅毒、軟性下疳、尖圭コンジローマ、鼠径リンパ肉芽腫を対象とし、 勃起薬初回処方前12カ月と処方後12カ月に分けて感染率が調べられました。
勃起薬使用群の性病感染率は、勃起薬の使用を開始する前後ともに、勃起薬非使用群より高率で、どのくらい高率かというと、 勃起薬使用前1年が非使用者の2.8倍、使用開始後は2.65倍。
使用の前後で統計学的な有意差はありません。

勃起薬使用群の性感染症有病率が、勃起薬の使用前後で変化を認めないということは、 勃起薬の処方をきっかけに男性の性行動が大きく変化していない事を意味しています。

ここで注意すべきは、勃起薬使用群はHIV感染が多く、HIV感染は使用前年が3.32倍、使用開始後は3.19倍。
こちらも、前後で有意差がありません。
アメリカでは、年齢上昇と共にコンドームの使用率が低下し、HIV検査を受ける人の割合も少なくなるとの報告もあります。

この論文が意味している事は、性活動が活発な方は、勃起薬の使用に関わらず、性病有病率が高く、とりわけHIV感染率が高かった。
よって、性活動が活発な方は、性感染症の予防に努める必要があります、ということです。

このデータを、すべて日本人にあてはめることはできませんが、ここまで、明らかな差になるとは思いませんが、やはり同様の傾向になる気がします。
注意して頂きたいのですが、勃起薬には、性病の感染予防効果はありません。何らかの性病予防対策を行ってください。宜しくお願いいたします。

Ann Intern Med July 6, 2010 153:49-50;


勃起薬は池袋スカイクリニック