論文はInternational braz j urol : official journal of the Brazilian Society of Urology. ブラジルの泌尿器科学会誌に掲載されたものです。
前立腺がん手術など、骨盤内の手術を行った場合、神経を傷害する可能性があり、それにより勃起不全を来たす可能性があります。
PDE5阻害剤であるタダラフィル(シアリス錠)を術後に服用した場合、この勃起不全の発症を抑制できるかどうか、を調べた論文です。
両側神経温存根治的恥骨式前立腺摘除術を受けた患者65人を対象として、タダラフィル(シアリス)によるリハビリテーションを受けた群と、
リハビリテーションを受けなかった群に分け、1年間にわたり、観察しています。
3カ月後、6ヶ月後、12カ月後に、非勃起時の弛緩したペニスのサイズ、周囲径、勃起時の最大のペニスのサイズ、周囲径など、が測定されております。
タダラフィル(シアリス)によりリハビリテーションを受けなかった群は、観察3カ月後より、すでに、術前と比較し、ペニスのサイズの減少を認めています。
さらに、観察6ヶ月後では、よりいっそうのペニスサイズの減少が認められ、特に勃起時のペニスの長さの減少が著しかった、と報告されています。
観察12カ月では、これらの測定項目は、観察6カ月時点と比較し、著明な変化はありませんでした。
これと比較し、タダラフィル(シアリス)により、術後のリハビリテーションを行った群は、観察3カ月後には、ペニスサイズは減少傾向にありましたが、
それ以後のペニスサイズの減少は認められませんでした。
つまり、タダラフィルの服用は、両側神経温存根治的恥骨式前立腺摘除術後のペニスサイズの減少を、ある程度抑制すると判断できます。
術後早期からタダラフィルの服用の有効性が示された論文です。
当然日本人にも有効と考えられ、日本においても、同様の報告がちらほら見受けられるようになっております。
この論文では、前立腺手術後のリハビリとして、タダラフィルだけが言及されております。
その他のPDE5阻害剤である、シルデナフィルやバルデナフィルにも、同様の効果があるのでしょうか?
現在のところは、タダラフィルによる報告が多くを占めております。
International braz j urol : official journal of the Brazilian Society of Urology. 2011 May-Jun;37(3);336-44; discussion 344-6.
タダラフィルは池袋スカイクリニック