メタボリック症候群と男性ホルモン療法、ED治療とアンチエイジング



アンチエイジングを考える上でのメタボリック症候群における男性ホルモン療法、ED治療の重要性

 第20回日本性機能学会東部総会での報告です。NTT東日本札幌病院泌尿器科、伊藤直樹先生。
多少の解説を加えながらご紹介いたします。

皆様がご存じの、メタボことメタボリックシンドロームは、医学的にはインスリン抵抗性を基礎に、 内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質異常症の2つ以上を合併した状態です。
およそ3年前の2008年4月から特定検診制度が開始され、会社での健診で、メタボを指摘され、生活指導を受けた方も大勢いらっしゃると思います。
特定健診は、40歳から74歳までの中高年保険加入者に対して実施され、メタボリックシンドローム該当者、その予備軍に対して特定保健指導を行うことが義務付けられています。 保健指導は、男性で2人に1人、女性で5人に1人程度と、非常に多くの方が対象になると予想されています。

日本におけるメタボリックシンドロームの定義には異論も多いのですが(たとえば、腹囲ですが、男性が85cmを基準として言いるのに対し、 女性の腹囲が90cmと男性より長く設定されています。男性腹囲<女性腹囲と診断基準が設定されているのは、日本くらいです。)、 しかし、現代人が、運動不足、肥満傾向にあることは事実でしょう。
内臓脂肪蓄積→生活習慣病→動脈硬化性疾患・糖尿病合併症と続くメタボリックドミノ、メタボリック症候群を対策することは、国策としても重要となっています。

近年、メタボリックシンドロームと男性ホルモン低下(血中テストステロン低下)が、密接に関連することが大規模な疫学的研究で、指摘されつつあります。
さらに、男性ホルモン低下(血中テストステロン低下)した男性では全死亡率、がん死亡率、心血管系疾患死亡率が男性ホルモン(血中テストステロン)正常男性と比較し、 有意に高いことも一部で報告されています。
低男性ホルモン(低テストステロン)状態が中高年男性の健康に悪影響を及ぼす可能性があるという事です。
今後は、男性患者におけるメタボリックシンドロームの診断時には、血中テストステロン値の測定も、診察する上で、重要となる可能性があります。

勃起不全は、動脈硬化の部分症状として注目されています。陰茎の動脈は細く、そのため動脈硬化時に早期に症状(勃起不全)が出現しやすいためです。
動脈硬化のスクリーニングとして、メタボの診断時には、勃起不全の有無のチェックも必要かもしれません。 (実際には、ほとんど行われてないでしょう。勃起不全に注目している医師は、ごく少数ですから...)

では、メタボリック症候群に対して男性ホルモン治療をした方が良いのでしょうか?
残念ながら、男性ホルモン補充療法の意義は、”現時点では”未だ確定されておりません。疾患概念自体が比較的新しいもので、これからデータが蓄積されていくでしょう。
小規模ながら男性ホルモン補充療法の有効性を示した研究報告は、多数ございます。 例をあげると、1年間の男性ホルモン補充療法にて、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)が非治療群に比して有意に低下した、 あるいはメタボリック症候群が改善した割合が非治療群に対して有意に増加したという報告もあるそうです。
メタボ解消のキーとして、男性ホルモン療法の可能性、有効性が示唆されているというわけです。


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