バルデナフィルの下部尿路症状LUTSに対する効果|池袋スカイクリニック

バルデナフィルの下部尿路症状LUTSに対する効果

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バルデナフィルの下部尿路症状LUTSに対する効果

2026年9月1日

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バルデナフィルの前立腺に対する効果

インターネット上には、様々な情報が溢れています。間違った情報も多く、私達には、その情報が信用できるものなのかを判断する能力が求められています。 多くの医療情報も同様です。SNSでは様々な医療広告にふれることも多く、youtubeでは、広告目的と思しき動画も多く存在します。

最近では、ED治療薬の分野では、タダラフィルを毎日低容量で服薬する治療法の広告が、よく目に止まります。デイリータダラフィルなどと呼ばれることもあります。 タダラフィルの副次的効果として、アンチエイジングであったり、前立腺に対する効果が特徴的な効能として宣伝されていたりもします。 池袋スカイクリニックにも、電話でのお問い合わせや、通院中の患者様からのご質問を頂くことも増えてきています。

では、シルデナフィルやバルデナフィルなど、タダラフィル以外のED治療薬では、このような前立腺肥大症による下部尿路症状の改善効果は無いのでしょうか?

ここでは、バルデナフィルの前立腺への効果についての報告をご紹介いたします。

バルデナフィルは前立腺肥大症に伴う下部尿路症状(LUTS)を改善

代表的な臨床試験は、2008年に『European Urology』に掲載されたランダム化二重盲検プラセボ対照試験が挙げられます。

45~64歳の国際前立腺症状スコア(IPSS)12点以上の前立腺肥大症/下部尿路症状(LUTS)を有する男性患者221名を対照とし、バルデナフィル10mgを1日2回投与されています。 この報告では、国際前立腺症状スコア(IPSS)の変化は、バルデナフィル群:−5.9点vsプラセボ群:−3.6点(群間差:約−2.3点)でり、バルデナフィル群で統計学的に有意な改善が認められています。

また、

  • 蓄尿症状:頻尿、尿意切迫、夜間頻尿など
  • 排尿症状:尿勢低下、排尿中断、腹圧排尿など
  • 生活の質QOL
  • 勃起機能

の改善を認めております。

一方、客観的な排尿指標である、

  • 最大尿流率(Qmax)
  • 排尿後残尿量(PVR)

については、プラセボと比較して有意な改善は認められておりません。したがって、自覚症状は改善したものの、尿道閉塞や尿流そのものが、明確に改善したとは証明されていないという結果です(後述しますがタダラフィルにおいても同様です)。

その他にも、タムスロシン(ハルナール)との比較および併用を検討した試験などもあります。バルデナフィル単剤でも改善はみられたものの、タムスロシン単剤より効果が弱く、併用療法が最も良好という結果になっています(タダラフィルにおいても同様です)。

大規模な臨床試験はありませんが、バルデナフィルにも、前立腺肥大症による下部尿路症状の改善効果が指摘されています。

タダラフィルと比較した場合

前立腺肥大症および下部尿路症状(LUTS)において、タダラフィルとバルデナフィルの直接比較した研究報告はございません。 しかし、各々の研究報告を間接的に比較することは可能です。

タダラフィル5mgの方が圧倒的に医学的根拠エビデンスが多いものの、前立腺肥大症による下部尿路症状に対する症状改善効果は、タダラフィル5mg/日とバルデナフィル10mg×2回/日で大きな差は無さそうです。

比較項目 タダラフィル5mg/日 バルデナフィル
主な投与方法 5mg、1日1回 10mg、1日2回
IPSSの実測低下 約−5~−6点 −5.9点
プラセボのIPSS低下 約−3~−4点 −3.6点
プラセボとの差 約−1.8~−2.3点 −2.3点
蓄尿症状 有意に改善 有意に改善
排尿症状 有意に改善 有意に改善
最大尿流率(Qmax) 多くの試験で有意差なし 有意差なし
排尿後残尿量 明確な改善なし 有意差なし

バルデナフィルとタダラフィルは同程度の下部尿路症状の改善効果

バルデナフィル10mgを1日2回投与した場合、下部尿路症状(LUTS)に対してタダラフィル5mg/日と同程度の症状改善が得られる可能性があります。 しかし、タダラフィルにおいても、バルデナフィル同様に、最大尿流率(Qmax)と残尿量の改善は、認められていません。

「タダラフィルを毎日服用すると前立腺肥大症が治るの?前立腺肥大症になりにくくなるの?」といったご質問を受けることがございますが、「前立腺肥大症の症状が改善するが、前立腺肥大症そのもの改善したり予防できるものではない」が正しい答えになります。 その理由は、PDE5阻害薬(ED治療薬)が前立腺肥大症そのものを改善し、物理的な尿道閉塞を取り除く薬ではないからです。 つまり、前立腺肥大症を根本的に改善することはありません。 タダラフィルとバルデナフィルは「尿の通り道を大きく広げる作用」というより、「膀胱・前立腺・尿道の緊張、血流、知覚を調整して症状を軽くする作用」を有すると捉えられます。

タダラフィルに限った効果ではない

何をお伝えしたいかと申しますと、「尿のキレ」などの下部尿路症状を改善するのはタダラフィルに限ったことではなく、バルデナフィルも、同じ様に改善する可能性があるということです。 ネット広告などでは、さもタダラフィルに限った効能と宣伝するものもありますが、それは間違いです。バルデナフィルには、適応症は無いものの、研究報告や理論的にも、下部尿路症状を改善すると考えられます(前立腺肥大症そのものを改善する効果はありません)。

では、シルデナフィルには、このような作用は無いの?と疑問を抱く方もいらっしゃると思います。シルデナフィルにも、前立腺肥大症による下部尿路症状を改善するとする研究報告はあります。

つまり、同じPDE5阻害剤に属するED治療薬なわけですので、同様の効果を持っていても不思議ではありません。

バルデナフィルには前立腺肥大症および下部尿路症状(LUTS)に対する適応は無い

タダラフィルは、適応症として「前立腺肥大症に伴う排尿障害」が承認されています。 しかし、バルデナフィルには適応がありません。 これは、先に示したように、バルデナフィルが前立腺肥大症や下部尿路症状に効果がないという事ではなく、別の理由が推測されます。 タダラフィルの場合は2.5mg錠または5mg錠を1日1回服用すればよいのに対し、バルデナフィルは10mg錠を1日2回服用する必要です。服薬の手間が増えることは、薬剤としての競争力を考えた場合、マイナスになります。

あくまで推測ですが、製薬メーカーは、競争力が足りないと判断したのかもしれません。あるいは、ED治療薬に転用されることを恐れていたのかもしれません。

ED治療薬は勃起改善効果で選ぶ

まず、至極当然ですがED治療薬は、「どれだけ勃起能力を改善できるのか」で選択して下さい。アンチエイジング効果は、未だはっきりしないところも多く、ほとんどの場合は、実感できるほどの効果はありません。 前立腺に対する効果に関しても、副次的な効果と捉えた方が良いかもしれません。

肝心の勃起改善効果ですが、デイリータダラフィルについては、やや弱めと感じる方もおり、性行為当日はタダラフィル20mgを服用する方もいらっしゃいます。

以下に各ED治療薬の強度の一覧を示します。

ご参考にして下さい。

治療薬 用量の例 IIEF-EFの治療前からの
改善幅(目安)
プラセボを上回る
改善幅
シルデナフィル 50~100mg頓用 約7~10点 約5~7点
バルデナフィル 10~20mg頓用 約8~10点 約7~9点
タダラフィル 10~20mg頓用 約7~9点 約5~7点
タダラフィル 5mg連日 約6~8点 約4~6点
アバナフィル 100~200mg頓用 約5~8点 約3~6点
プラセボ ― 約1~3点 ―

注:2026.9にChatGPTにデータ収集を依頼・作表しています。

A randomised, placebo-controlled study to assess the efficacy of twice-daily vardenafil in the treatment of lower urinary tract symptoms secondary to benign prostatic hyperplasia

Eur Urol. 2008 Jun;53(6):1236-44.

doi: 10.1016/j.eururo.2008.01.075


A randomized, placebo-controlled study to assess safety and efficacy of vardenafil 10 mg and tamsulosin 0.4 mg vs. tamsulosin 0.4 mg alone in the treatment of lower urinary tract symptoms secondary to benign prostatic hyperplasia

J Sex Med. 2012 Jun;9(6):1624-33.

doi: 10.1111/j.1743-6109.2012.02718.x


The efficacy of vardenafil and tamsulosin in treatment of lower urinary tract symptoms secondary to benign prostatic hyperplasia: A randomised clinical trial

Journal of Clinical Urology, Volume 18, Issue 5, Pages: 355 – 365

doi:10.1177/20514158241227097


European Association of Urology(EAU)

guideline:Non-neurogenic Male LUTS

5. DISEASE MANAGEMENT

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