ユリーフとフリバスとハルナール|池袋スカイクリニック

ユリーフとフリバスとハルナール

池袋スカイクリニック

ユリーフとフリバスとハルナール

2025年8月27日

Table of Contents

ユリーフ(シロドシン)

前立腺肥大症治療薬のアルファ遮断薬に分類される各薬剤の違い

「ユリーフ」。(キッセイ-第一三共)
前立腺肥大症の内服治療薬。シロドシンSilodosinを成分とする、α遮断薬に分類される前立腺肥大治療薬です。 特にユリーフは、α1A選択性が高く、選択的α1A遮断薬と言えます。

ユリーフは、尿路平滑筋に作用し、尿路を弛緩させることにより、前立腺肥大症の排尿困難を改善いたします。

半減期が短いため、1日2回の服用になります。

副作用

 主な副作用は、立ちくらみ(起立性低血圧)ですが、その他のα遮断薬に分類される前立腺肥大治療薬と比較し軽微なことがほとんどです。

ユリーフの作用するα受容体は、尿路以外にも、血管平滑筋に作用し、これを拡張する作用があるためです。

そのほかにも、副作用として射精障害をきたすことがあります(頻度不明)。もし、ユリーフの服用後に、射精障害を自覚した場合は、主治医と相談してみてください。 (その他副作用は割愛致します)

射精障害の機序ですが、ユリーフにより精嚢腺にあるα1A受容体を阻害することにより、精嚢・精管の収縮障害により射精障害が生じると考えられております。 逆行性射精となる場合もございます。

ED治療薬との併用

 気になるバイアグラ、レビトラ、 シアリスとの併用ですが、併用注意とされております(禁忌ではありません)。

勃起薬とユリーフの併用に注意する理由ですが、副作用として立ちくらみ(起立性低血圧)が増悪する可能性があるからです。

これは、ED治療薬にも血管拡張作用があり、相互作用で、より血管を拡張させるためです。

しかし、これを気をつけていただければ、併用可能ですので、是非、ご相談ください。

前立腺肥大症治療はEDを改善する

 また、前立腺肥大症は、EDのリスクファクターの一つに数えられております。 これを治療することにより、EDが改善する可能性がございます。

現在では、ジェネリック医薬品のシロドシンが中心的に使用されています。

シロドシンの抗早漏症効果

最近では、ユリーフに早漏症の治療効果が指摘されていることから、一部の国の早漏症治療ガイドラインに、ユリーフの有効性が記載されています。

 ユリーフは、α遮断薬に分類されますが、他のα遮断薬に属する薬剤に比較し、特にユリーフに顕著に抗早漏症効果が認められています。

ユリーフ4mgを性行為セックスの2時間前に服用することにより、平均射精時間が3.4分から10.1分に延長したとする報告があります。

副作用は、無射精症、精液量の減少、オーガズム時の違和感です。全身性の大きな副作用は認められていません。副作用は有りますが、被験者によれば早漏症に対する効果に比べれば、十分に許容範囲だったとのことです。

他にも、プリリジー(ダポキセチン)で効果が得られなかった早漏症にユリーフが効果があったとする報告などもございます。

ユリーフ(シロドシン)は尿道および膀胱三角部のα1受容体を遮断し、 射精反射 のうち、脊髄射精反射を抑制いたします。
これにって、早漏改善効果を示します。


フリバス(ナフトピジル)

「フリバス」。(旭化成ファーマ株式会社
フリバスもユリーフ同様で、α遮断薬に属する前立腺肥大症治療薬です。成分はナフトピジルNaftopidil。
ユリーフとの違いは、α1D選択性が高く、選択的α1D遮断薬と言えます(ユリーフはα1A選択)。

基本的には、ユリーフとフリバスは、同様の薬剤ですが、フリバスがα1D選択性が高いため、ユリーフと使い分ける場合があります。

ユリーフが排尿障害中心に症状を改善するのに対し、フリバスは、膀胱過敏性が認められる患者に処方いたします。

もう少し具体的に言うと、急に尿意を催す場合や夜間の頻尿が多い場合などです。

副作用等もほぼ同様です。

フリバスでも副作用として射精障害を認めることがございますが、その頻度は、ユリーフの1/10以下との報告もあります。ただ、その代わりに、射精遅延効果も期待できません。

ED治療薬との併用は可能ですが、やはり副作用の起立性低血圧の注意が必要です。

フリバスは、半減期が長いため、1日1回の服用でよく、1回25mgから、症状に応じ75mgまで増量可能です。

口腔内崩壊錠であるフリバスODも市販されております。

現在では、ジェネリック医薬品(ナフトピジル)が中心となっています。


ハルナール(タムスロシン)

「ハルナール」。(アステラス製薬

ハルナールは、ユリーフ、フリバス同様で、α遮断薬に属する前立腺肥大症治療薬です。成分はタムスロシンTamusulosinです。ユリーフ、フリバスの中間的な薬剤と考えてください。これら3剤で最も早く市販されており、効果も良好なため、定番中の定番薬です。

α1Aとα1Dともに作用いたします。

半減期が長いため、ユリーフが1日2回の服用が必要なのに対し、ハルナールは、1日1回の服用となっています。

口腔内崩壊錠であるハルナールDも市販されております。

適応外となりますが、ハルナールは、神経因性膀胱や、尿管結石排出促進に用いられることもあります。

副作用は、ユリーフ、フリバスと同様です。射精障害の副作用報告は、フリバス同様低率です。射精障害が少ないことは、射精遅延効果も乏しいとも言えます。

現在、多数のジェネリック医薬品のタムスロシンが市販されています。

ED薬との併用も可能ですが、やはり、前2者と同様に、副作用の起立性低血圧、立ちくらみに注意が必要です。


各α遮断薬の使い分け

上述したように、前立腺肥大症に使用されるα遮断薬は、主に3種類あり、その効果には、若干の差があります。 使い分けとしては、

  • 急な尿意や夜間頻尿などの膀胱過敏症状がある場合はナフトピジル
  • 排尿障害が主症状の場合はシロドシン(ユリーフ)
  • その中間の場合はタムスロシン(ハルナール)

と言った具合になります。

とりあえず、無難にタムスロシンと言った選択も良くされます。

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