うつ病とED勃起不全の相互関係|池袋スカイクリニック

うつ病とED勃起不全の相互関係

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うつ病とED勃起不全の相互関係

2025年9月5日

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抑うつとEDの相互リスクを検証

まずはじめに、抑うつとは、一般の方の言うところの”うつ病”とお考え下さい。

うつ病を持っていると、EDのリスクが高まると報告している研究がある一方で、うつ病の症状と EDの発生率には関連がないとする研究もあります。

逆に、EDを有していると、うつ病のリスクが高まると報告している研究もあります。

この関係をメタ解析したレビューをご紹介します。

メタ解析の対象

対象となる研究報告は、Medline、Ovid Embase、Cochrane Libraryを用いて体系的な検索を実施。検索ワードは「depression(抑うつ)」と「erectile dysfunction(ED:勃起不全)」。

2名の査読者により、題名と抄録をチェックし、本研究に適合すると思われる研究報告については全文査読。2名の査読者の意見が別れた場合は、3番目の査読者の意見を取り入れ、採用するか判断しています。

重複する研究報告は削除されています。

その他基準が設けられており、最終的には、

『うつ病はEDの危険因子ですか?』 に対して、研究 (N = 48) 参加者(N = 169,927)

ED はうつ病の危険因子ですか? に対して、研究 (N = 6) 参加者(N = 22,527)

が、解析対象となっています。

うつ病はEDの危険因子ですか?

うつ病によるEDのリスク オッズ比は 1.39(95% CI: 1.35–1.42)。つまり、抑うつがあるとEDリスクが約39%高いことが、解析結果として算出されています。

しかし、不均一性が高い結果となっています(I2検定= 93.6%)。

研究デザイン・併存疾患・評価基準・効果量の出所などの違いが影響している可能性が考えられる結果となっています。

ED はうつ病の危険因子ですか?

オッズ比は 2.92(95% CI: 2.37–3.60)。すなわち、EDがあると抑うつのリスクが約3倍高いと算出されています。

こちらは、報告によるバラツキが少ない結果が得られています(I2検定= 23.5%)。

EDとうつ病の関連に注目すべき

本研究は、抑うつとEDの間に関連があることを示しています。

EDとうつ病の関連のメカニズムはまだ解明されていませんが、この関連には注目すべきです。

うつ病患者のEDリスク増加を説明するために、行動モデルと生物学的モデルの両方が提案されています。

抑うつとEDの行動モデル

行動モデルでは、うつ病患者は否定的な思考に陥り、自信が低くなる傾向があり、その結果としてパフォーマンス不安が生じ、それがさらに勃起機能を低下させると仮定されています。

抑うつとEDの生物学的モデル

生物学的モデルでは、抑うつが視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系に影響を与え、カテコールアミン(アドレナリンなど)の過剰分泌を引き起こし、それが陰茎海綿体平滑筋の弛緩不良を招き、EDにつながると考えられています。

さらに、多くの抗うつ薬は勃起機能に悪影響を与えることが知られています。

また、低テストステロンもEDによる抑うつの悪化を説明し得る要因と考えられています。

過去の研究では、テストステロンがEDの発症に重要な役割を果たし、低テストステロン血症がEDと関連していることが示されています。

さらに、抑うつ患者のテストステロン値は、抑うつでない患者よりも低いことが多く、テストステロン補充療法が抑うつ症状を改善することも報告されています。

LOH症候群(男性更年期障害)の、一見不定愁訴と思える症状にも、テストステロン補充療法が有効なのと共通です。

メンタルに問題を抱えるならばED治療を考慮

抑うつとEDの関係は、古くから指摘されていました。

この研究では、EDが抑うつの原因となることが示されています。

実際に、外来診療を行っていると、経験的にも納得の行くものです。

逆も又、同様です。

抑うつの原因の中心がEDであるのか、抑うつの症状の一つとしてのEDなのかの違いのような印象を持っています。

抑うつは、薬物療法で解決できない場合も、多くありますが、EDは、ED治療薬を服用するだけで、比較的、簡単に治療できます。

ED治療薬を使用するだけで、メンタルな問題の一つが解決できる可能性があります。

シアリスなどのED治療薬の処方は、比較的、敷居の低いものであり、悩んでいるくらいなら、治療をお勧めいたします。

Erectile Dysfunction and Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis

J Sex Med. 2018 Aug;15(8):1073-1082.

DOI: 10.1016/j.jsxm.2018.05.016

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