うつ病とED勃起不全の相互関係|池袋スカイクリニック

うつ病とED勃起不全の相互関係

池袋スカイクリニック

うつ病とED勃起不全の相互関係

2026年2月13日

Table of Contents

抑うつとEDの相互リスクを検証

まずはじめに、抑うつとは、一般の方の言うところの”うつ病”とお考え下さい。

うつ病を持っていると、EDのリスクが高まると報告している研究がある一方で、うつ病の症状と EDの発生率には関連がないとする研究もあります。

逆に、EDを有していると、うつ病のリスクが高まると報告している研究もあります。

この関係をメタ解析したレビューをご紹介します。

メタ解析の対象

対象となる研究報告は、Medline、Ovid Embase、Cochrane Libraryを用いて体系的な検索を実施。検索ワードは「depression(抑うつ)」と「erectile dysfunction(ED:勃起不全)」。

2名の査読者により、題名と抄録をチェックし、本研究に適合すると思われる研究報告については全文査読。2名の査読者の意見が別れた場合は、3番目の査読者の意見を取り入れ、採用するか判断しています。

重複する研究報告は削除されています。

その他基準が設けられており、最終的には、

『うつ病はEDの危険因子ですか?』 に対して、研究 (N = 48) 参加者(N = 169,927)

ED はうつ病の危険因子ですか? に対して、研究 (N = 6) 参加者(N = 22,527)

が、解析対象となっています。

うつ病はEDの危険因子ですか?

うつ病によるEDのリスク オッズ比は 1.39(95% CI: 1.35–1.42)。つまり、抑うつがあるとEDリスクが約39%高いことが、解析結果として算出されています。

しかし、不均一性が高い結果となっています(I2検定= 93.6%)。

研究デザイン・併存疾患・評価基準・効果量の出所などの違いが影響している可能性が考えられる結果となっています。

ED はうつ病の危険因子ですか?

オッズ比は 2.92(95% CI: 2.37–3.60)。すなわち、EDがあると抑うつのリスクが約3倍高いと算出されています。

こちらは、報告によるバラツキが少ない結果が得られています(I2検定= 23.5%)。

EDとうつ病の関連に注目すべき

本研究は、抑うつとEDの間に関連があることを示しています。

EDとうつ病の関連のメカニズムはまだ解明されていませんが、この関連には注目すべきです。

うつ病患者のEDリスク増加を説明するために、行動モデルと生物学的モデルの両方が提案されています。

抑うつとEDの行動モデル

行動モデルでは、うつ病患者は否定的な思考に陥り、自信が低くなる傾向があり、その結果としてパフォーマンス不安が生じ、それがさらに勃起機能を低下させると仮定されています。

抑うつとEDの生物学的モデル

生物学的モデルでは、抑うつが視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系に影響を与え、カテコールアミン(アドレナリンなど)の過剰分泌を引き起こし、それが陰茎海綿体平滑筋の弛緩不良を招き、EDにつながると考えられています。

さらに、多くの抗うつ薬は勃起機能に悪影響を与えることが知られています。

また、低テストステロンもEDによる抑うつの悪化を説明し得る要因と考えられています。

過去の研究では、テストステロンがEDの発症に重要な役割を果たし、低テストステロン血症がEDと関連していることが示されています。

さらに、抑うつ患者のテストステロン値は、抑うつでない患者よりも低いことが多く、テストステロン補充療法が抑うつ症状を改善することも報告されています。

LOH症候群(男性更年期障害)の、一見不定愁訴と思える症状にも、テストステロン補充療法が有効なのと共通です。

メンタルに問題を抱えるならばED治療を考慮

抑うつとEDの関係は、古くから指摘されていました。

この研究では、EDが抑うつの原因となることが示されています。

実際に、外来診療を行っていると、経験的にも納得の行くものです。

逆も又、同様です。

抑うつの原因の中心がEDであるのか、抑うつの症状の一つとしてのEDなのかの違いのような印象を持っています。

抑うつは、薬物療法で解決できない場合も、多くありますが、EDは、ED治療薬を服用するだけで、比較的、簡単に治療できます。

ED治療薬を使用するだけで、メンタルな問題の一つが解決できる可能性があります。

シアリスなどのED治療薬の処方は、比較的、敷居の低いものであり、悩んでいるくらいなら、治療をお勧めいたします。

Erectile Dysfunction and Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis

J Sex Med. 2018 Aug;15(8):1073-1082.

DOI: 10.1016/j.jsxm.2018.05.016

【ED】に関する最近の記事

ed治療薬であるシルデナフィルの普及とともに自殺率が低下しているとの報告
シルデナフィルの普及は自殺数の低下に繋がる

シルデナフィルの普及が自殺数の低下に繋がるという興味深い研究結果があります。性的親密さや性機能の改善がメンタルヘルスに与える影響について、特に50〜59歳の男性に焦点を当てた分析が行われました。スウェーデンのデータを基に、ED治療薬の使用増加が自殺率に与える好影響が明らかにされています。

Read More »
降圧薬により高血圧治療中であってもタダラフィルによるED治療は安全である
高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

高血圧治療中の患者において、ED治療薬タダラフィルは安全に服薬できることが論文として報告されています。日本人の食生活は塩分が多く、高血圧患者が多い中、タダラフィルは安全に使用できる可能性があります。また、心血管イベントのリスクも増加せず、降圧薬との併用もほとんど問題ないとされています。高血圧をしっかり治療した上で、ED治療を行うことが推奨されております。

Read More »
シルデナフィルなどのED治療薬は糖尿病患者の全死亡率を改善する
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係

糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象にした追跡調査では、ED治療薬使用者の死亡率が非使用者に比べてハザードリスクが約46%低下したとの結果が得られています。ED治療薬の使用歴は、心筋梗塞のリスクの減少、全体的な健康状態の改善との関連が示唆されています。

Read More »
前立腺肥大症におけるタダラフィルの使用は、2型糖尿病の新規発症を予防する
前立腺肥大症に対するタダラフィルは糖尿病の新規発症を抑制

タダラフィル5mgの常用が糖尿病発症を抑制する可能性があることが、前立腺肥大症患者を対象にした研究で明らかになりました。タダラフィルは、従来のα遮断薬と比較して、新規2型糖尿病の発症率を約53%減少させることが示されています。この研究は、日本の大規模な保険請求データベースを基にしており、タダラフィルの血管内皮機能改善作用が好影響を与えた可能性が指摘されていますが、現時点では、明らかになっておりません。

Read More »
セマグルチドはダイエット用に使用されることが多いですが、ニコチン依存症のリスクを回避させる可能性がある
タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

セマグルチドは、糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬ですが、最近の研究でタバコ使用障害のリスクを低下させる可能性が示されています。セマグルチド製剤であるリベルサスやオゼンピックを使用した患者では、喫煙欲求が減少したとの報告があります。さらに禁煙後の体重増加を抑制する可能性もあります。タバコ使用障害の診断基準など、詳しくは本文をご覧ください。

Read More »
全身性炎症反応指数を用い、前もってED治療薬タダラフィルの効果を予測しようとする研究報告
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測

全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIRIは血液中の免疫細胞のバランスから炎症状態を数値化した指標で、がんの予後や動脈硬化や心血管疾患との関連が示されています。この研究では、タダラフィルが無効だった患者の特徴を明らかにし、ED治療における新たなアプローチを提案しています。

Read More »