EDは左心室拡張期機能障害と関連している|池袋スカイクリニック

EDは左心室拡張期機能障害と関連している

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EDは左心室拡張期機能障害と関連している

2026年2月13日

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収縮機能が保たれた心不全

心不全というと、心臓のポンプ機能、つまり、収縮力が低下していることは、想像しやすいと思います。

しかし、収縮機能が維持された心不全例が存在することが知られるようになっています。

最近、増加したのではなく、心臓超音波などの検査技術の進歩によるところが大きく、収縮不全以外の病態として知られるようになっています。

簡単に説明すると、拡張不全は、十分に心臓に血液が充満することができないため、心臓の拍出量が低下するものです。

EDは、心疾患と同様の危険因子を持つため、しばしば合併することが知られています。さらに、ED自体が心疾患の危険因子とする報告もあります。

検討対象

この報告では、EDと心臓の拡張機能の関係を、体系的レビュー(まとめ)し、解析されています。

16件の研究報告が調査され、最終的には10件763例(平均年齢55.6歳)が対象となりED群と非ED群に分けられています。

EDグループの平均年齢は55.6歳で、平均IIEF-5スコアは12.2でした。対照群は358人の男性で構成され、平均年齢は54.4歳、平均IIEF-5スコアは23.3でした。

この2群に対し、心臓超音波検査によって、心機能が評価されています。

拡張機能|心機能検査

心臓機能として、左心室駆出率(LVEF)、僧帽弁流入血流の拡張早期波(E波)最大速度と拡張早期僧帽弁輪最大移動速度(e’)の比(E/e’)、等容弛緩時間(isovolumic relaxation time)、左室流入血流比(E/A)、左室心筋重量係数 が検討されています。

各検査項目に関しては、専門的過ぎるところもあり、ここでは、説明は割愛いたします。いろいろと専門的な考察がされていると、お考え頂ければ結構です。

EDと拡張不全の指標と一部相関

結果は、僧帽弁流入血流の拡張早期波(E波)最大速度と拡張早期僧帽弁輪最大移動速度(e’)の比(E/e’)とEDに、有意な相関が認められています。その他の指標は、左心室駆出率(LVEF)、等容弛緩時間(isovolumic relaxation time)、左室流入血流比(E/A)、左室心筋重量係数には有意差は認められなかったとのことです。

EDと心疾患には、相関があることは、広く知られていますが、その理由に関しは、未だ、不明な点もあります。陰茎は血管の集合体ともいえる臓器であるため、血管やその内皮障害の影響を受けることは容易に想像できます。そのため、冠動脈疾患である狭心症や心筋梗塞などとの関連も容易に想像できます。

心臓の拡張能障害は、心臓の平滑筋の弛緩の障害です。陰茎の勃起には、血流の増加(血管平滑筋の弛緩)が必要です。そういた意味では、共通の、メカニズムが存在するのかもしれません。

弛緩障害の心不全例では、ニトログリセリンが有効であることも、EDとの関連を考える上で、興味深い事柄です。

Erectile Dysfunction Is Associated with Left Ventricular Diastolic Dysfunction: A Systematic Review and Meta-analysis

Eur Urol Focus. 2023 Nov;9(6):903-912.

DOI: 10.1016/j.euf.2023.06.001

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