EDに対する低強度の体外衝撃波療法|池袋スカイクリニック

EDに対する低強度の体外衝撃波療法

池袋スカイクリニック

EDに対する低強度の体外衝撃波療法

2025年12月9日

Table of Contents

勃起不全(ED)に対する低強度体外衝撃波療法(LI-ESWT)治療の臨床的有効性

低強度体外衝撃波治療は血管原性EDを改善する可能で位があるが神経原性EDには無効
体外衝撃波治療ESWTのED改善効果は、軽度に限られる可能性が高い

しばしば、ネット広告などで、”15分で簡単ED治療”、”薬に頼らないED治療”などといった表現を見かけますが、その一部治療法が、ここで挙げる、低強度の体外衝撃波を用いた治療法です。

ED治療薬で効果が得られなかった方や、根本的にEDを改善したい方には、うってつけの治療法の様に思えますが、その効果は、いかほどなのでしょうか?

そのED改善効果を評価した論文を、ご紹介いたします。

PubMedおよびWeb of Scienceを用い、2010年1月~2020年12月のデータから、106本の論文を抽出。 11件のランダム化比較試験(RCT)をレビュー対象として、合計920名の男性が対象となっています。 対象患者の内訳は、年齢18~80歳、EDの原因は81%が血管性(vasculogenic)、19%が神経性(neurogenic)であったとしています。

結果は、920例中348例にED改善効果

920名中、348名が統計的に有意な勃起機能の改善を示した一方で、572名は有意な改善を得られなかったとしています。

こうした違いは、治療プロトコル(エネルギー量や衝撃回数)、対象者の背景(血管性vs神経性、糖尿病の有無など)、フォローアップ期間、評価方法など多様な要因によるものです。

このように、現在の知見では、ED治療に対する低強度体外衝撃波治療には一定の可能性が示されているが、臨床的に一貫した有効性を裏付ける十分な証拠とは言えません。

他の研究やメタ解析では、IIEFスコアの改善が平均+3程度といった報告もあり、さらに、治療3か月時点では有意な改善得られるものの、12か月以上では効果が持続しないケースも多いとされています。

低強度体外衝撃波治療は、現時点では、EDに対して著効する治療法ではない印象です。

血管性(vasculogenic)EDには効果ある可能性

レビューで対象となった患者の大部分(約8割)は血管性 ED でしたが、この群では IIEFスコアが改善した例が比較的多いと報告されています。

体外衝撃波治療そのものが、血流改善を狙う治療法なので、血管性の人に効果が出やすいと考えられます。

神経性(neurogenic)EDには効果が無い

対照的に、前立腺摘出手術後などに発症した神経因性ED例では、効果がほとんど見られなかったとしています。

これは衝撃波による血管新生が主作用であるため、神経損傷が原因のEDでは十分な改善が得られにくいと考えられます。

軽症〜中等度ED例が効果が得られやすい

重症ED例に比べて、軽症〜中等症の患者で効果が出やすい傾向が示されています。

特に、バイアグラなどのED治療薬(PDE5阻害薬)で部分的な反応がある人が対象になると、低強度体外衝撃波治療の追加効果が期待できるケースがあったともされています。

ED治療薬に十分な効果がない患者群でも、低強度体外衝撃波治療後に薬の反応性が改善した例が報告されています。

つまり、治療抵抗性の改善補助としての役割が示唆されています。しかし、基本的には、II­EFスコアが低い重症例では効果が限定的であると考えられます。

ED治療薬に代わる治療では無い

このように、低強度体外衝撃波治療は、プロトコルによって治療効果が変化する可能性があるため、その治療効果を否定するものではありません。しかし、現時点では、明確にED改善効果を期待できる治療法ではありません。

ED治療薬に取って代わる治療法では無いため、もし、治療を希望するのであれば、過度の期待はしない方が良いかもしれません。

ちなみに、池袋スカイクリニックでは、低強度体外衝撃波によるED治療は行なっておりません。

低強度体外衝撃波治療を推奨する医療機関があれば、担当医師に、その理由を説明してもらうようにして下さい。

高額な費用を請求される場合もあるため、よく考えて治療法を選択して下さい。

Low-intensity extracorporeal shockwave therapy for erectile dysfunction

Arab J Urol. 2021 Jul 5;19(3):340–345.

doi: 10.1080/2090598X.2021.1948158

低用量タダラフィル毎日服用することは頓用と同程度のED改善効果がある
毎日タダラフィルを服用することはEDに有効?

毎日タダラフィルを服用することがED治療についてのお問い合わせがあります。低用量タダラフィルの連日服用療法と頓服療法の比較を通じて、どちらがより効果的なのか、コストパフォーマンスや治療法の選択について詳しく解説します。性行為の頻度や下部尿路症状との関連性も考慮し、あなたに最適な治療法を見つける手助けをします。

Read More »
リベルサスやオゼンピックによる急激なダイエットは、休止期脱毛症を誘発する可能性がある
脱毛症とセマグルチド(オゼンピックとリベルサス)

セマグルチド(オゼンピックやリベルサス)は、2型糖尿病患者にとって有用な治療薬ですが、最近の研究では脱毛症のリスクが懸念されています。急激な体重減少が栄養バランスやホルモンバランスに影響を与え、脱毛を引き起こす可能性があることが示唆されています。ダイエットと脱毛症の関連性や、心の健康への影響について知ることは、治療を考える上で重要です。無理のないダイエット計画が、健康と美容の両方を守る鍵となります。

Read More »
マンジャロは、他のGLP-1ダイエット用薬剤と比較し新規ED発症抑制に優れるため男性メタボ例に有効と思われる
マンジャロとEDとの関連|2型糖尿病患者における

2型糖尿病患者におけるマンジャロと勃起不全(ED)の関連についての新たな研究が注目を集めています。マンジャロ(ティルゼパチド)は、従来のGLP-1受容体作動薬とは異なり、EDのリスクを有意に低下させる可能性が示されています。特に、他の治療薬と比較して、EDの発症を抑制する効果が期待されています。男性のダイエット用治療薬として、現時点で最有力候補となります。

Read More »
オゼンピックによる過度のダイエットがEDを引き起こしている可能性が高い
ダイエットにオゼンピックを使用することはEDのリスク?

ダイエットにオゼンピックを使用することが、ED(勃起不全)のリスクを高める可能性が報告されています。詳細なメカニズムは不明です。急激なダイエットが原因となる場合もありますが、添付文書上でも、その副作用としてEDが報告されています。セマグルチドは、肥満治療において注目されている薬剤ですが、急激なダイエットではなく、健康的な体重管理が重要と考えます。

Read More »
世界的には3大ED治療薬以外にアバナフィル、ロデナフィル、ウデナフィル、ミロデナフィルが存在する
どのED治療薬が有効?

ED治療薬の選択肢は多岐にわたりますが、どの薬が本当に効果的なのでしょうか?バイアグラ、レビトラ、シアリスといった3大ED治療薬に加え、アバナフィルやロデナフィルなどの別の選択肢も存在します。実際に、これらは、既存のED治療薬を、効果で上回るのでしょうか?この記事では、各ED治療薬の効果を検証しています。ご参考にして下さい。

Read More »
リベルサスやオゼンピックを使用したダイエットを内容とする動画は、広告のことも多く信憑性に注意が必要
リベルサスとオゼンピックに関するYouTube動画の信憑性

YouTubeでのリベルサスやオゼンピックに関する情報は本当に信頼できるのでしょうか?最近、医療情報を得るためにYouTubeやSNSを利用する人が増えていますが、商業的な動画が多く、正確な情報が得られないケースも増加しています。ここでは、YouTubeに投稿された内容を検証した論文をご紹介します。

Read More »