滋養強壮として摂取するニンニクはEDにも有効

精力をつけるため、疲労回復のために、『ニンニクを食べよう』、と考える方もいるかと思います。
古くから、ニンニクは、スパイスとして用いられ、好んで摂取する方もいます。
精力増強作用が古くから指摘されるニンニクですが、実際に、EDに、どの程度、効果的なのか調べた、ユニークな内容の研究報告があったので、ご紹介します。
ニンニクに含まれるアリシンが硫化水素を供給
勃起には一酸化窒素NOが大切な役割を担います。それを利用したのがバイアグラなどのPDE5阻害剤に属する、いわゆるED治療薬です。
最近、一酸化窒素NOとは独立した経路で、硫化水素(H2S)が勃起に重要であることも分かってきています。
ニンニクに含まれる豊富に含まれるアリシンは、体内で分解され、この硫化水素H2Sを生じさせることが知られています。
そこで、ニンニク(硫化水素H2S供与体)がEDに有効ではないかという、推論が立てられ、その立証のために臨床研究が行われています。
生のニンニクをプレスしジュースに混ぜて摂取
参加者は、陰茎のドップラー検査で血流に異常のないED患者で、タダラフィル単独使用で持続的な改善が得られなかった人々で、A群19名:ニンニク5gを1日2回、B群16名:プラセボ群に分け、IIEF-EFドメインのスコアによって、評価されています。
タダラフィル5mgを定期摂取とし、ニンニク群は、ニンニク片(5g:一般的な大きさのニンニク1片)をプレスしたものを混ぜたジュースで摂取、プラセボ群は、ニンニクを含まないジュースを摂取させています。
ニンニクの匂いにより判断がついてしまうため二重盲検にはなっていません。
EDの重症度は、IIEF-EF(6項目)のスコアを重症(6~10点)、中等度(11~16点)、軽度~中等度(17~21点)、軽度(22~25点)、EDなし(26~30点)に基づいて評価されており、臨床的に有意な改善として、軽度EDの参加者における少なくとも2ポイントの改善、中等度のED(軽度から中等度および中等度のカテゴリーを含む)の参加者における5ポイントの改善、およびIIEF-EF-6項目スコア、勃起機能ドメインにおける重度のEDを有する参加者における7点の改善が、定義されています。
ニンニクはIIEF-EFスコアを改善
この報告では、研究開始4週間後では、ニンニク摂取群では、IIEF-EFスコアが、12.3±2.5から18.9±2.3と有意に改善(プラセボ群は11.6±2.4から12.9±1.9)しています。
さらに、定義された臨床的に有意な改善は、中等度EDで14人中7人(プラセボ群は10人中0人)、重度EDで5人中5人(プラセボ群は6人中1人)が達成したとしています。軽度ED例は0人のため評価されていません。
ED重症例ほど効果的
この研究報告は、EDの改善幅が大きく、さらに、重度が高いほど、効果が高くなるとの結果も、非常に興味深いです。
ニンニクジュースが硫化水素H2S経路を介して作用し、タダラフィルが一酸化窒素NO経路を介して作用し、陰茎血管に相互に有益な作用を生み出したのではないかと考察されています。
ニンニクの弊害
有害事象(副作用)は、軽度の頭痛と筋肉痛が上げられているが、試験を中断するほどでもなかったとのことです。動悸を訴えるものもいたようですが、やはり、中断するほどのものではなかったとのことです。
ニンニクといえば、その香りが問題になることがあります。
口臭はハーブを用いたマウスウォッシュで対応可能、アリシンは汗腺から排泄されるため、独特の体臭を生じる可能性がありますが、それによる脱落者はいなかったとのことです。
ニンニクの調理法は、生のニンニクをプレスしたものを使用しており、ニンニク油、揚げニンニク、ゆでニンニクなどの他の製剤は、安定したアリシンがないため、内皮機能に影響を与える可能性は低いともしています。
最後に
この研究報告は、規模が小さいものですので、これを持って、直ぐ、ニンニクの摂取を推奨しているものではありません。
ただ、ニンニクは、古くから食物として摂取されているものですので、極端な摂取を行わなければ、体に大きな害は生じない可能性が高く、安全であるとも言えます。
日頃の食事のメニューに、ニンニクを加えていただくのも、良いかもしれません。
Prospective, randomized, placebo-controlled, two-arm study to evaluate the efficacy of coadministration of garlic as a hydrogen sulfide donor and tadalafil in patients with erectile dysfunction not responding to tadalafil alone – A pilot study
Indian J Pharmacol. 2024 Sep 10;56(4):242–247.





