GLP-1受容体作動薬に関連するEDなど男性性機能障害|池袋スカイクリニック

GLP-1受容体作動薬に関連するEDなど男性性機能障害

池袋スカイクリニック

GLP-1受容体作動薬に関連するEDなど男性性機能障害

2025年8月27日

Table of Contents

GLP-1受容体作動薬に関連する男性性機能障害:FAERSデータの横断的分析

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬は、2型糖尿病やダイエット治療に広く処方されています。

本邦でも、画期的な糖尿病治療効果により、広く使用されています。また、体重の管理にも有用であり、現代人のニーズにマッチした薬剤です。

しかし、比較的、新しい機序の薬剤であるため、認識されていない副作用がある可能性があります。

添付文書では

ちなみにリベルサスのインタビューフォーム(医師向けの詳細な説明書)ではedの発現頻度は0.1%未満、オゼンピックでは0.1%、マンジャロでは15mg(かなりの高用量)で0.2%(5mgおよび10mgでは0%)となっています。この程度の頻度の場合は、因果関係をみつけることは難しいと言えます。

しかし、市販ご調査にて、初めてわかることもあります。

有害事象報告システム(FAERS)による副作用報告

この報告は、アメリカの食品医薬品局FDAによる有害事象報告システム(FAERS)のデータを用いて、GLP-1受容体作動薬と男性性機能障害との関連性を調査しています。医師または患者自身が登録する副作用報告のデーターベースです。市販後調査の一つとお考え下さい。

2003年第4四半期から2024年第1四半期までの報告をOpenVigil 2.1プラットフォームを用いて分析。GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド、セマグルチド、デュラグルチド、エキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド)に関連するオルガスム機能障害、勃起障害、または性欲減退を経験した男性患者を検索し、182例の副作用報告が特定(年齢層は40~60歳が大部分を占めています)されています。

GLP-1ダイエットとEDの因果関係は乏しい

エキセナチドが報告数の24.2%を占め、次いでセマグルチド(21.4%:リベルサスまたはオゼンピック)でした。

使用用途としては、糖尿病治療が最多(43.9%)でした。統計的に有意なカイ二乗値(P< 0.0001)を示したものの、ROR(0.41、95%信頼区間(CI):0.36~0.48)、PRR(0.41、95% CI:0.36~0.48)、RRR(0.42、95% CI:0.36~0.48)が低いことから、関連性は弱いことが示唆されます。これらの知見は、GLP-1の使用が拡大するにつれてモニタリングの必要性はありますが、全体的な患者リスクは非常に低いと考えられます。

その他の要素がEDに影響している

先にも示しましたが、GLP-1ダイエットによるEDの発症は、関連性に乏しいと言えます。

GLP-1ダイエットとEDの因果関係は置いておくとして、肥満症とEDの関連は証明されています。

肥満症は、俗に言うメタボは、医学的にはインスリン抵抗性を病態としています。このインスリン抵抗性が、陰茎の血管の拡張性を損ね、EDを発症しえます。器質性EDの原因となります。

また、肥満症は、心因性EDの原因ともされています。肥満症の中には、ご本人の体型にコンプレックスを抱いている方がいます。裸になることへの抵抗感がある場合、これが性欲を減退させ、EDにつながることも指摘されています。

Male sexual dysfunction associated with GLP-1 receptor agonists: a cross-sectional analysis of FAERS data

Int J Impot Res.2025 Apr 16.

DOI: 10.1038/s41443-025-01061-2

抑うつはEDのリスクであり、逆に、EDは抑うつのリスクでもある
うつ病とED勃起不全の相互関係

うつ病と勃起不全(ED)の関係は、私たちのメンタルヘルスに深い影響を与える重要なテーマです。研究によると、うつ病があるとEDのリスクが約39%高まり、逆にEDもまた抑うつのリスクを高めることが示されています。この相互関係のメカニズムはまだ解明されていませんが、行動モデルや生物学的モデルが提案されています。ED治療薬がメンタルな問題の解決に寄与する可能性もあります。

Read More »
心因性EDには、初期に十分量を使用するシアリス漸減療法が有効です。
心因性EDに対するシアリスの漸減療法

シアリスの漸減療法が心因性EDに対して有意な改善をもたらすことが示されています。特に、治療初期に十分な量を服用することが、セックスの成功が自信回復に繋がります。心因性EDは、器質性EDとは異なり、ED治療薬が非常に有効であることが多いです。

Read More »
メトホルミンはシルデナフィル無効のメタボEDを改善する
メタボED例に対するメトホルミンの追加効果

メトホルミンは、インスリン抵抗性を伴う非糖尿病の男性において、シルデナフィルの効果を高める可能性があることが示されています。最近の研究では、メトホルミンを追加することで勃起機能が有意に改善され、IIEF-5スコアが5ポイント以上向上したとの報告があります。副作用も軽度で、治療中断に至ることはありませんでした。メトホルミンの新たな効果に興味がある方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。

Read More »
葉酸を補い欠乏症を改善することはEDの改善につながる
葉酸と勃起不全ED

最近の研究で、葉酸が勃起不全(ED)に与える影響が注目されています。血清葉酸値とEDの重症度との関係や、葉酸補充による改善効果が明らかになりつつあります。特に、葉酸が一酸化窒素の生成を助け、EDのリスクを低下させる可能性が示唆されています。葉酸の摂取がED改善にどのように寄与するのか、最新の研究結果を基に詳しく解説します。あなたの性機能をサポートするための新たなアプローチを見つけてみませんか?

Read More »
偽造オゼンピックに対して、国際保健機関WHOより注意警報が発せられている。
オゼンピックの偽造医薬品についての注意喚起

オゼンピックの偽造医薬品に関する警告がWHOから発令されています。近年、世界中で偽造品の流通が増加しており、特にダイエット目的での需要がターゲットにされています。本邦では、オンライン薬局での購入や、無診察での処方はできません。正しい情報を持つことが重要です。あなた自身を守るために、偽造品に騙されないための知識を身につけて下さい。

Read More »
リチウム製剤はさまざまな機序からEDを発症させる
リチウムとED(勃起不全)

リチウムは双極性障害の治療に広く用いられていますが、性機能障害や勃起不全を引き起こす可能性があることをご存知ですか?研究によると、リチウムを服用している患者の約3分の1が性機能に問題を抱えていると報告されています。さらに、アスピリンやED治療薬がその改善に寄与する可能性も示唆されています。リチウムとEDの関係について、詳しく知りたい方はぜひ続きをご覧ください。

Read More »