リチウムとED(勃起不全)|池袋スカイクリニック

リチウムとED(勃起不全)

池袋スカイクリニック

リチウムとED(勃起不全)

2025年8月27日

Table of Contents

リチウムと勃起不全:概要

リチウム製剤はさまざまな機序からEDを発症させる
炭酸リチウムとED治療薬は併用可能です

リチウムは数十年にわたって双極性障害患者の治療の主力となっている薬剤です。しかし、さまざまな副作用のため、服薬の順守に影響を与える可能性が指摘されています。

気分や精神病の障害に有益な効果があるにもかかわらず、リチウムは、神経、心臓、腎臓、免疫、代謝、内分泌の異常など、さまざまな副作用を引き起こす可能性があります。

他の多くの抗精神病薬や抗うつ薬と同様に、リチウムも性機能障害や勃起不全を引き起こす代表的な薬剤です。性機能障害とED勃起不全は、リチウムを単剤療法として、または、他の心理療法剤と組み合わせて服用した例において、いくつかの研究で報告されています。リチウムを投与された双極性障害または統合失調症患者の約3分の1が性機能障害を報告もあります。

このような副作用の根底にある正確なメカニズムは完全には理解されていません。リチウム関連の性機能障害には、中枢機構と末梢機構の両方が関与していると考えられています。

リチウムによる性機能障害の報告は古くは1970年台に遡る

性機能に対するリチウムの影響の報告は、1970年代の初期の研究にさかのぼります。

双極性障害のために炭酸リチウムで治療された33人のうち5人に性機能障害が発見されました。2人の患者で、リチウムをプラセボに置き換えると、勃起不全は改善したが、炭酸リチウムを再開した後に再発したとしています。

リチウム単剤療法を受けている気分障害のある50人の患者を対象とした大規模な研究では、患者の半数がリチウム治療による性欲の低下を報告もあります。

リチウム単剤療法を受けている35人の双極性障害および統合失調症の男性を対象とした別の研究では、性機能アンケートの少なくとも2つの項目の性機能障害が患者の31.4%で報告され、性的思考の頻度の減少、セックス中の勃起の喪失、勃起の達成と維持の困難のそれぞれ23%、20%、および14%の患者で顕著な結果が報告されています。

このように、多くの研究報告で、炭酸リチウムによる性機能障害、EDの報告が多く存在します。炭酸リチウムによる治療をされている方の3〜5割に、何らかの性機能障害が生じていると推測されます。

さらに、ベンゾジアゼピン系の薬剤を併用している場合は、性機能障害が、より生じやすい可能性指摘されています。

アスピリンが有効である可能性

リチウムによる性機能障害が生じることは、多くの知見から明らかではありますが、これに対する根本的な治療法や対策は、確立されていません。

ある報告では、アスピリンの有効性が指摘されています。

安定した双極性障害の男性患者32人を対象としたこの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験で、国際勃起指数(IIEF)で効果を検討しています。

そこでは、6週間のアスピリン(240mg/日)治療は、プラセボと比較してリチウム関連の勃起不全を有意に改善することが判明しています。

また、バイアグラなどのED治療薬は、やはり有効であることも多くの研究報告されています。

参照:

Lithium and Erectile Dysfunction: An Overview

Cells. 2022 Jan 5;11(1):171.

doi: 10.3390/cells11010171

硝酸薬はED治療薬と併用禁忌である
ニトログリセリンとその類似薬

ニトログリセリンは狭心症の治療薬として広く知られていますが、その使用には注意が必要です。特に、ED治療薬との併用は禁忌であり、過度な血圧低下を引き起こす可能性があります。さらに、ニトログリセリン系薬剤には様々な種類があり、それぞれの特性や副作用について理解することが重要です。この記事では、ニトログリセリンやその類似薬の効果、使い分け、耐性の問題について詳しく解説します。あなたの健康を守るために、ぜひご一読ください。

Read More »
右脚ブロックであってもED治療薬の服用は可能です。
右脚ブロック|ED治療薬の服用は可能

右脚ブロックは、心電図でしばしば見受けられる変化ですが、実は多くの場合、病的ではなく正常範囲とされています。心臓の電気信号の伝導に関わるこの状態について、詳しく知ることで、運動制限や治療が不要であることが理解できます。また、ED治療薬の服用も可能であるため、安心して性生活を楽しむことができます。しかし、新たに右脚ブロックが指摘された場合は、専門医の診察を受けることが重要です。詳しい情報をぜひご覧ください。

Read More »
健康な男性はレム睡眠中に無意識に勃起している
夜間勃起と朝立ちとEDの関係

夜間勃起現象や朝立ちは、男性の健康において重要な指標です。これらの生理現象は、心因性EDと器質性EDの鑑別に役立ちます。夜間勃起はレム睡眠中に自然に発生し、正常な身体においては性的刺激なしに起こります。朝立ちがある場合、器質性EDの可能性は低く、心因性の問題が考えられます。詳しいメカニズムや検査方法について知りたい方は、ぜひ続きをお読みください。

Read More »
陰核(クリトリス)と陰茎(ペニス)

陰核(クリトリス)と陰茎(ペニス)は、男女の性器において重要な役割を果たしています。特にクリトリスは、女性の性的快感に深く関与しており、勃起することもあります。最近の研究では、Krause小体が性に関連した触覚刺激を高感度に検出するセンサーであることが明らかになりました。バイアグラが女性のクリトリスに与える影響についても興味深い報告があります。性器の構造や機能について、さらに詳しく知りたい方はぜひ続きをお読みください。

Read More »
前立腺肥大症治療薬のアルファ遮断薬に分類される各薬剤の違い
ユリーフとフリバスとハルナール

前立腺肥大症の治療は、α遮断薬が中心となります。各々特徴があるため使い分けが必要です。「ユリーフ」は、特に高いα1A選択性を持つシロドシンを成分とし、早漏症の治療効果も期待されており、性行為の前に服用することで射精時間が延長することが報告されています。詳しい効果や副作用について、ぜひご覧ください。

Read More »
静脈性持続勃起性は緊急を要す疾患で、ペニスにダメージを与える
持続勃起症

持続勃起症は、性欲とは無関係に陰茎が持続的に勃起し、痛みを伴うこともある深刻な状態です。特に静脈性持続勃起症は、陰茎内の血液の流れが悪くなり、組織が虚血に陥る危険性があります。発症から6時間以内に適切な処置を行わないと、陰茎組織が壊死する可能性も。動脈性持続勃起症は痛みを伴わないことが多いですが、どちらのタイプも早期の診断と治療が重要です。詳しい情報を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »