葉酸と勃起不全ED|池袋スカイクリニック

葉酸と勃起不全ED

池袋スカイクリニック

葉酸と勃起不全ED

2026年2月13日

Table of Contents

血清葉酸および勃起不全:系統的レビューとメタ分析

葉酸を補い欠乏症を改善することはEDの改善につながる

ED早漏などの性機能障害と葉酸の関係に対する、様々な研究報告があります。 最近の研究では、葉酸が勃起機能EDにも関係している可能性があることがわかってきました。

ここでは、EDと葉酸の関係について報告された研究報告のレビューをご紹介します。

ここで紹介する報告では、EDの重症度(IIEF-5スコアなど)と血清葉酸値との関係や、葉酸を補充することのED改善効果、ED治療薬を使用した場合の、上乗せされる勃起改善効果が検証されています。

葉酸とは

葉酸(ようさん)は、ビタミンB群のひとつで、特に血液や細胞をつくるのに大切な栄養素です。例えばですが、葉酸が欠乏すると貧血が生じたり、細胞の分裂や成長に影響が出ます。特に、妊娠時に葉酸が欠乏することで、胎児の神経発達に影響が出ることが広く知られています。

また、血管を健康に保つサポート、つまり、動脈硬化や心臓病のリスクを下げる効果が期待されています。

葉酸濃度とEDの関係

この報告では、ED患者と健康群との間で、葉酸レベルに、比較的大きな有意な差が認められており、標準化平均差(SMD)は約 −0.94(95% CI: −1.59 〜 −0.30, P = .004)で、ED患者で低値としています。 具体的な葉酸濃度では、健康群が11.85ng/mLであったのに対し、軽度ED患者9.50ng/mL、 中等度ED6.60ng/mL、重度ED5.62ng/mLと、重症度が進むほど葉酸値は低下傾向を示しています。

低下した葉酸に対し、補充療法の成績は、2件の臨床試験でIIEF-5スコアを用いて検討されています。そこでは、IIEF-5スコアが12±5であったものが葉酸0.4mgの投与で20±3、0.5mgの投与で6±0.74が14±4.44と大幅に改善していることが示されています。

また、葉酸5mg+タダラフィル10mg併用群では、プラセボ+タダラフィル10mg群と比較してIIEFスコアが、標準化平均差(Standardized Mean Difference, SMD)約0.90ポイント向上させ、向上させています。これも改善幅としては大きなものになります(標準化平均差が1に近ずくほど大きな差になります)。

なぜ、EDを改善するのか?

陰茎が勃起をするには、一酸化窒素NOの働きを高めることが大切です。

最近、高ホモシステイン血症がEDのリスクファクターであることが指摘されています。ホモシステインは、内皮由来の一酸化窒素NO産生を抑制するため、EDを誘発するとされます。葉酸欠乏は、このホモシステインの代謝を遅延させ、高ホモシステイン血症を惹起するため、ED発症につながります。

また、葉酸欠乏はテトラヒドロビオプテリンの欠乏に繋がり、血管内皮型一酸化窒素合成酵素を低下させ、一酸化窒素NOの合成を低下させます。これも、EDの原因となります。

葉酸の低下はEDのリスクファクター

このように、葉酸の低下はEDの危険因子であることが推測されます。しかし、例えば、葉酸を補充するにあたっての用量など、不明な点もあります。研究規模が小さいこともあり、今後の研究報告が望まれると、結ばれています。

葉酸の補充は、サプリメントで比較的容易に行うことができ、ED改善効果も大きいことから、有望な治療法の一つになり得ると考えられます。

葉酸の摂取を行うのであれば、現時点では、日本人の食事摂取基準を参考にしていただくのが良いと思われます。過剰な葉酸の摂取は、悪性疾患のリスクを高める可能性もあり、安易な葉酸の摂取はお控え下さい。

参照:

Serum Folic Acid and Erectile Dysfunction: A Systematic Review and Meta-Analysis

Sex Med. 2021 May 26;9(3):100356.

doi: 10.1016/j.esxm.2021.100356

【ED】に関する最近の記事

降圧薬により高血圧治療中であってもタダラフィルによるED治療は安全である
高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

高血圧治療中の患者において、ED治療薬タダラフィルは安全に服薬できることが論文として報告されています。日本人の食生活は塩分が多く、高血圧患者が多い中、タダラフィルは安全に使用できる可能性があります。また、心血管イベントのリスクも増加せず、降圧薬との併用もほとんど問題ないとされています。高血圧をしっかり治療した上で、ED治療を行うことが推奨されております。

Read More »
シルデナフィルなどのED治療薬は糖尿病患者の全死亡率を改善する
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係

糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象にした追跡調査では、ED治療薬使用者の死亡率が非使用者に比べてハザードリスクが約46%低下したとの結果が得られています。ED治療薬の使用歴は、心筋梗塞のリスクの減少、全体的な健康状態の改善との関連が示唆されています。

Read More »
前立腺肥大症におけるタダラフィルの使用は、2型糖尿病の新規発症を予防する
前立腺肥大症に対するタダラフィルは糖尿病の新規発症を抑制

タダラフィル5mgの常用が糖尿病発症を抑制する可能性があることが、前立腺肥大症患者を対象にした研究で明らかになりました。タダラフィルは、従来のα遮断薬と比較して、新規2型糖尿病の発症率を約53%減少させることが示されています。この研究は、日本の大規模な保険請求データベースを基にしており、タダラフィルの血管内皮機能改善作用が好影響を与えた可能性が指摘されていますが、現時点では、明らかになっておりません。

Read More »
セマグルチドはダイエット用に使用されることが多いですが、ニコチン依存症のリスクを回避させる可能性がある
タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

セマグルチドは、糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬ですが、最近の研究でタバコ使用障害のリスクを低下させる可能性が示されています。セマグルチド製剤であるリベルサスやオゼンピックを使用した患者では、喫煙欲求が減少したとの報告があります。さらに禁煙後の体重増加を抑制する可能性もあります。タバコ使用障害の診断基準など、詳しくは本文をご覧ください。

Read More »
全身性炎症反応指数を用い、前もってED治療薬タダラフィルの効果を予測しようとする研究報告
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測

全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIRIは血液中の免疫細胞のバランスから炎症状態を数値化した指標で、がんの予後や動脈硬化や心血管疾患との関連が示されています。この研究では、タダラフィルが無効だった患者の特徴を明らかにし、ED治療における新たなアプローチを提案しています。

Read More »
マンジャロなどの、いわゆるGLP-1ダイエットで使用される薬剤は、アルコール依存症を改善させる可能性が有る
アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

アルコール依存症の治療に新たな可能性が見えてきました。最近の研究では、ダイエット薬として知られるGLP-1受容体作動薬、特にマンジャロやオゼンピックが、飲酒欲求の低下や飲酒量の減少に寄与する可能性が示唆されています。ここで紹介するSNSを利用した調査や153名への聞き取り調査から得られた研究報告は、これらの薬剤がアルコール依存症に対する新たなアプローチとなるかもしれないことを示しています。

Read More »