リチウムとED(勃起不全)|池袋スカイクリニック

リチウムとED(勃起不全)

池袋スカイクリニック

リチウムとED(勃起不全)

2026年2月13日

Table of Contents

リチウムと勃起不全:概要

リチウム製剤はさまざまな機序からEDを発症させる
炭酸リチウムとED治療薬は併用可能です

リチウムは数十年にわたって双極性障害患者の治療の主力となっている薬剤です。しかし、さまざまな副作用のため、服薬の順守に影響を与える可能性が指摘されています。

気分や精神病の障害に有益な効果があるにもかかわらず、リチウムは、神経、心臓、腎臓、免疫、代謝、内分泌の異常など、さまざまな副作用を引き起こす可能性があります。

他の多くの抗精神病薬や抗うつ薬と同様に、リチウムも性機能障害や勃起不全を引き起こす代表的な薬剤です。性機能障害とED勃起不全は、リチウムを単剤療法として、または、他の心理療法剤と組み合わせて服用した例において、いくつかの研究で報告されています。リチウムを投与された双極性障害または統合失調症患者の約3分の1が性機能障害を報告もあります。

このような副作用の根底にある正確なメカニズムは完全には理解されていません。リチウム関連の性機能障害には、中枢機構と末梢機構の両方が関与していると考えられています。

リチウムによる性機能障害の報告は古くは1970年台に遡る

性機能に対するリチウムの影響の報告は、1970年代の初期の研究にさかのぼります。

双極性障害のために炭酸リチウムで治療された33人のうち5人に性機能障害が発見されました。2人の患者で、リチウムをプラセボに置き換えると、勃起不全は改善したが、炭酸リチウムを再開した後に再発したとしています。

リチウム単剤療法を受けている気分障害のある50人の患者を対象とした大規模な研究では、患者の半数がリチウム治療による性欲の低下を報告もあります。

リチウム単剤療法を受けている35人の双極性障害および統合失調症の男性を対象とした別の研究では、性機能アンケートの少なくとも2つの項目の性機能障害が患者の31.4%で報告され、性的思考の頻度の減少、セックス中の勃起の喪失、勃起の達成と維持の困難のそれぞれ23%、20%、および14%の患者で顕著な結果が報告されています。

このように、多くの研究報告で、炭酸リチウムによる性機能障害、EDの報告が多く存在します。炭酸リチウムによる治療をされている方の3〜5割に、何らかの性機能障害が生じていると推測されます。

さらに、ベンゾジアゼピン系の薬剤を併用している場合は、性機能障害が、より生じやすい可能性指摘されています。

アスピリンが有効である可能性

リチウムによる性機能障害が生じることは、多くの知見から明らかではありますが、これに対する根本的な治療法や対策は、確立されていません。

ある報告では、アスピリンの有効性が指摘されています。

安定した双極性障害の男性患者32人を対象としたこの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験で、国際勃起指数(IIEF)で効果を検討しています。

そこでは、6週間のアスピリン(240mg/日)治療は、プラセボと比較してリチウム関連の勃起不全を有意に改善することが判明しています。

また、バイアグラなどのED治療薬は、やはり有効であることも多くの研究報告されています。

参照:

Lithium and Erectile Dysfunction: An Overview

Cells. 2022 Jan 5;11(1):171.

doi: 10.3390/cells11010171

【ED】に関する最近の記事

テストステロン(男性ホルモン)低下例に対し、それを補充することはEDを改善する?
テストステロン補充療法とED治療

テストステロン補充療法がEDに与える影響について、さまざまな研究が報告されています。テストステロン補充療法は、EDに効果的なのでしょうか?テストステロン値が低下しているからといって、性腺機能低下症と診断されるわけではありません。ここでは、心血管疾患のリスクを有する男性におけるテストステロン補充療法を検討した大規模試験「TRAVERSE」のサブ解析の結果をご紹介いたします。

Read More »
受動喫煙はEDの原因と成ります
受動喫煙がEDに及ぼす影響

受動喫煙がED(勃起不全)に与える影響についての研究があります。タバコを吸わない男性でも、受動喫煙によるリスクが存在することが明らかになっています。2001–2002年の国民健康栄養調査(NHANES)では、受動喫煙に曝露された非喫煙男性のED有病率が増加することが示されています。血清コチニン濃度が0.60ng/mLを超えると、EDのリスクが1.29倍になるという結果も。あなたの健康を守るために、受動喫煙の影響を知ることが重要です。

Read More »
長時間の座位はEDの原因となる可能性があります
長時間の座位はEDの原因になる?

長時間の座位がED(勃起不全)のリスクにどのように影響するのか、興味深い研究結果が報告されています。マレーシアのクリニックで行われたこの研究では、1日8時間以上座っている男性は、中等度〜重度のEDを発症するオッズが約5.84倍高いことが示されています。運動習慣があっても、長時間座っていることがEDのリスク要因となる可能性があるのです。座位時間とEDの関係について、さらに詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

Read More »
マンジャロによってバルデナフィルの吸収が遅延したと考えられる症例の報告
マンジャロによるED治療薬の効果遅延の可能性

高容量のマンジャロがバルデナフィルの吸収を遅延させたと思われる例を経験したため、注意喚起とともに、ご紹介します。マンジャロやリベルサスといったGLP-1受容体作動薬が、肥満症に対する特効薬として注目されていますが、一部の薬剤の吸収が遅延したり、上部消化管内視鏡検査時の食物残渣の原因となることが指摘されています。現在、ED治療薬の吸収遅延の報告はございませんが、その可能性は十分ございます。そのメカニズムの説明と、ED治療薬の効果を最大限に引き出すための対策を探ります。

Read More »
夜間勤務や交代勤務に睡眠障害が加わった場合、EDの有病率が上昇する可能性がある
夜間勤務者はEDが多い?

夜間勤務者とED(勃起不全)のリスクを検証した研究があります。夜勤や交替勤務を行う男性は、日勤の男性に比べて勃起機能が低下していることが示されています。勤務形態によって生じた睡眠不足や生活リズムの乱れが、勃起機能に影響を与えそうです。また、ここでは、テストステロン補充療法の効果についても考察されています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをお読みください。

Read More »
治療法の有効性は、プラセボ効果を排除した二重盲検試験でなされるべきである
プラセボ(偽薬)効果と二重盲検試験

プラセボ効果とは、薬の有効成分ではなく、治療への期待感や安心感によって症状が改善する現象です。特にED治療においては、心理状態が大きな影響を与えることがあります。二重盲検試験では、実薬とプラセボの効果を客観的に比較し、ED治療薬がプラセボを上回る効果を示すことが確認されています。しかし、低強度体外衝撃波療法では、プラセボ効果の影響を排除することが難しく、科学的根拠が不十分な場合もあります。詳しくは本文をご覧ください。

Read More »