ED治療薬の初回治療後の薬剤の選択

皆さんは、初めてED治療を行った後、他のED薬も使って見たいと考えたことはございますでしょうか?
一般的には、医師の説明を受け、ご本人に適しているであろうED治療薬(服薬タイミングなどのライフスタイル等)を選択します。
初めてED治療薬を使用し、思い描いていたような効果が得られれば、多くは、継続し、以後、同剤が選択されるのかと想像します。
もちろん、他のED治療薬を使ってみたいという考えもあると思います。
ここでは、ED治療薬の切り替え率と他のED治療薬との併用率に関する米国からの報告をご紹介します。
米国の保険請求データベースを用いたレトロスペクティブ解析
MarketScan CommercialとMedicare Supplement Databasesをデーターベースとし、解析されています。
MarketScan Commercialとは、米国における大規模な医療保険請求データベースのひとつで、主に民間保険(雇用主提供型保険)加入者およびその被扶養家族の診療・薬剤・入退院・保険加入情報などが追跡可能となっています。
Medicare Supplement Insuranceは通称Medigap(メディギャップ)と呼ばれます。Medigapは、米国の Original Medicare加入者に対して、自己負担(控除額・コインシュアランス・共払金等)の “ギャップ” を補填する私的な保険です。ED治療薬の請求などのデータを得ることが可能です。
EDと診断された18歳以上の男性、106,206人が対象となっています。平均年齢は、約50.35歳。
併存疾患として、脂質異常症44.17%、高血圧43.09%、糖尿病15.32%、うつ病10.61%を認めています。
調査対象期間は2010年1月1日〜2015年12月31日。
データとしては、やや古いものですが、論文の掲載は2020年3月です。
初回選択したED治療薬(特にシルデナフィル)を継続することが多い
開始薬がシルデナフィル例は51,694人、タダラフィル例は40,193人、バルデナフィル例14,319人です。
割合(パーセンテージ)では、シルデナフィルが48.67%、タダラフィルが37.85%、バルデナフィルが13.48%と、シルデナフィルが最多です。
”切り替え率”は、ED治療薬が処方された中で、初回に処方された薬剤の使用が終わった後の60日以内にED治療薬を変更した場合と、定義されています。
その切り替え率は、シルデナフィルは2.71%、タダラフィルは2.81%、バルデナフィルは3.88%と、いずれの薬剤も低率であるが、特にシルデナフィルが最も低い割合を示しています。
切り替え理由については、残念ながら、対象となったデーターベースには登録されておりません。
切り替えたとう言う事実だけのデータとなります。
しかし、いずれのED治療薬も、切り替え率は低率であると言え、初回使用した薬剤を、継続して使用する方が多いことがわかります。
タダラフィルは、やや重複使用率が高い
異なるED治療薬を重複して使っていた割合(重複率)は、シルデナフィル群は0.35%、タダラフィルは0.75%、バルデナフィルは0.62%であり、タダラフィルが最も高率であり、シルデナフィルが最も低率となっています。
データーベースの性格上、こちらも、その理由については不明です。
とは言え、いずれの薬剤も低率となっています。
長期的には
1年後や3年後は、どのように変化しているか興味深いですが、このような研究報告はありません。
それは、各薬剤のシェアを見れば、その傾向が見れるかもしれません。
2024年のED治療薬の世界的なシェアは、シルデナフィルが、およそ50〜60%、タダラフィルがおよそ30%であったとする市場調査があります。
シルデナフィルのシェアがNo.1となっています。
詳細な患者背景などは不明だが
例えば、まず、患者背景として、EDの重症度の違いが明らかになっていません。
重度の糖尿病例などでは、強力なED治療薬でなければ勃起改善効果を得ることができません。そのような例の場合、それでも無効であり、薬剤の変更を試みる場合もあると思います。
ただし、それを差し引いても、いわゆる3大ED治療薬であるシルデナフィルとバルデナフィル、タダラフィルは、継続率が高いことから、有効なED治療薬であることがわかるかと思います。
シルデナフィルは、やや副作用が強いとされているが継続率は良好
池袋スカイクリニック外来でも、バイアグラ(シルデナフィル)は副作用が強いから、他のED治療薬を使用したいと相談される方がいらっしゃいます。
ほてりや鼻づまりなど、軽微な副作用が、シルデナフィルに多いことは事実です。
しかし、とりわけシルデナフィルに危険な副作用の発現が多いわけでありません。
多くの副作用は許容できることがほとんどです。
今回示された報告において、若干ですが、シルデナフィルの切り替え率が低い(継続率が高い)ことからも、多くのED例で、その副作用が許容できるものであることが、解ると思います。
タダラフィルは状況に応じて他のED治療薬と使い分けられている?
タダラフィルの重複率が高いことから、必要に応じて、シルデナフィルやバルデナフィルを使用していることが推測されます。
ここからは推測の域を脱しませんが、タダラフィルは、勃起改善効果が長時間持続するのが特徴ですが、やはり、これほど長時間持続しなくても十分と考える方もいると思われます。
平日は短時間型ED治療薬であるシルデナフィルやバルデナフィルで十分、週末はタダラフィルを使用するといった使い分けをしているのかもしれません。
また、タダラフィルは、やや即効性に欠ところがあるため、それもまた、使い分けの理由かもしれません。
3剤の特徴を理解して使い分ける|初めこそ各種のED治療薬の比較をする
池袋スカイクリニックでは、初診の方には、各々のED治療薬の特徴を説明させていただき、患者様と薬剤を選ぶようにしています。
3種類のED治療薬から1剤を選択する方もいれば、3剤全て試してみたいという方まで、様々です。
実際に、各種比較していただくのが良いとすら考えています。
当院では、特に決まり事は無いので、好きな薬剤を好きな錠数、選んでいただいてかまいません。
3剤とも良い薬剤です。
特に、これが良いというものではまく、特徴を理解し、使い分けていただければと思います。
Phosphodiesterase Type-5 Inhibitor Prescription Patterns in the United States Among Men with Erectile Dysfunction: An Update
J Sex Med. 2020 Mar 3;17(5):941–948.





