ニトログリセリンとその類似薬|池袋スカイクリニック

ニトログリセリンとその類似薬

池袋スカイクリニック

ニトログリセリンとその類似薬

Table of Contents

ニトロ・ニトログリセリン

硝酸薬はED治療薬と併用禁忌である

ニトログリセリンは、狭心症の治療薬です。硝酸薬ともいわれます。

爆薬の成分としても知らておりますが、現在、医薬品として用いられるニトロ、ニトログリセリンは、添加物が加えてあったり、ニトロ基を有する類似の薬剤が中心であり、もちろん爆発する危険性はありません。

冠動脈を拡張することにより、血流を改善し、抗狭心症作用を発揮する。

ちなみに、ニトログリセリンを扱う工場の従業員が、自宅では狭心症発作が生じるが、工場で勤務中は、発作が生じない」のが発見の契機とも言われています。

ED治療薬との併用は、禁忌です。ニトログリセリン系薬剤を服用されている方、バイアグラ、レビトラ、シアリスとも残念ながら、服用できません。
各ED治療薬とニトログリセリン系薬剤を併用すると、過度な血圧低下が生じるためです。

アイトロール|一硝酸イソソルビド

「アイトロール」。(トーアエイヨー-アステラス)

狭心症の内服治療薬。一硝酸イソソルビドisosorbide mononitrateが成分。
硝酸イソソルビドの活性代謝産物。

硝酸剤、ニトログリセリン系薬剤に分類されます。

他の、硝酸剤と同様、冠動脈を拡張することにより、抗狭心症作用を発揮します。

残念ながら、他の硝酸剤、ニトログリセリン系薬剤と同様に、バイアグラ、レビトラ、シアリスとの併用は禁忌となっております。

アイトロールは、副作用の少ないお薬ですが、頭痛を認める事がございます。

これは、脳内の血管拡張作用によります。

ジェネリック医薬品も多く市販されております。

ニトロール・ニトロールR|硝酸イソソルビド

ニトロール、ニトロールRは、いわゆるニトログリセリンに属する薬剤で、狭心症の治療薬です。エーザイ社製。

成分は、ニトログリセリンではなく、硝酸イソソルビドisosorbide dinitrateです。「ニトロールR」は、徐放製剤です。

その他、スプレー製剤、注射製剤など様々な剤形がございます。

やはり、バイアグラ、レビトラ、シアリスとの併用は禁忌とされています。

同薬剤のジェネリックは、多数発売されております。

シグマート|ニコランジル

「シグマート」。(中外製薬)

急性冠症候群や、狭心症の治療に使用される薬。内服薬、注射薬ともにあり、急性期から慢性期まで幅広く使用可能です。

その成分は、nicorandilで、いわゆる硝酸薬、ニトログリセリン系薬剤に分類されます。冠動脈を拡張することにより、作用いたします。

一般的な硝酸剤やニトログリセリン系薬剤と異なるのは、カリウムチャンネル開口作用を有す事です。(専門的になるので割愛致します)

硝酸剤、ニトログリセリン系薬剤と同様に、バイアグラ、レビトラ、シアリスとの併用は禁忌となっております。

ジェネリック医薬品として、多くの製剤が発売されております。
ニコランジル「製薬会社名」と記載されます。

硝酸薬の使い分けについて

これら薬剤の使い分けですが、厳密にはございません。

いずれの薬剤も硝酸薬に分類され、一酸化窒素NOを供給する薬剤です。一酸化窒素NOは、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化させ、cGMPを増加、冠動脈を拡張させます。

体内での代謝過程(活性化経路)や速さ、臓器特異性には違いがあります。

ニトログリセリンは、肝臓での初回通過効果が強い(代謝される)ため、経口投与での効果が弱くなります。

逆に、イソソルビドは、肝臓での代謝産物が活性作用を有すため、持続時間が長くなります。

また、強いて挙げるとすると、シグマートは、カリウムチャンネル開口作用を有すため、これを期待して、使用するドクターがいます。

また、シグマートは、他の薬剤と比較し、降圧作用が少ない印象です。

そのため、血圧が低い冠動脈疾患患者にも、比較して投与し易い薬剤です。

最も降圧作用が強い薬剤は、ニトログリセリンで、ニトロールは、ニトログリセリンとシグマートの中間のイメージです。

ニトログリセリン、ニトロール、シグマートには、注射剤が有るため、例えばですが、急性心筋梗塞患者が訪れた場合、これらを、血圧が高めの方にはニトログリセリン、低めの方にはシグマート、中間の場合はニトロールといったように、
血圧など、全身状態に応じて使い分ける場合がございます。

因みにですが、一般外来に急性心筋梗塞患者が来た場合、このときは、もちろん、集中治療室のある病院に転送する事になるのですが、注射剤を準備する時間が無い場合もございます。その場合は、ニトログリセリンテープを2枚、前胸部に貼ります。

これにより、おおよそ0.2γのニトログリセリンを注射しているのと同様の効果が得られるとされます。

硝酸剤の耐性の問題

硝酸剤は、しばしば、その耐性が問題にされます。

そのため、同一患者でこれら薬剤をローテーションして使用する医師もいます。(あまり意味がないとの意見もあります)

最近では、急性期の使用に止めることが多くなっております

効果が既に期待できないにも関わらず、漫然と長期間使用している場合もあります。

いずれの硝酸薬もED治療薬との併用はできませんが、このような理由から、漫然と使用している場合は、中止をご提案させていただくこともございます。(ご自身で判断せず、主治医と相談して下さい)

静脈性持続勃起性は緊急を要す疾患で、ペニスにダメージを与える
持続勃起症

持続勃起症は、性欲とは無関係に陰茎が持続的に勃起し、痛みを伴うこともある深刻な状態です。特に静脈性持続勃起症は、陰茎内の血液の流れが悪くなり、組織が虚血に陥る危険性があります。発症から6時間以内に適切な処置を行わないと、陰茎組織が壊死する可能性も。動脈性持続勃起症は痛みを伴わないことが多いですが、どちらのタイプも早期の診断と治療が重要です。詳しい情報を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
逆行性射精は挙児希望でなければ治療対象とならないこともある
逆行性射精

逆行性射精障害は、射精時に精液が体外ではなく膀胱内に逆流してしまう現象です。この状態は男性不妊症の原因となることがありますが、挙児希望でない場合は治療の対象にならないことが多いです。逆行性射精でもオルガズムは変わりません。ペニスからの射精量が減少する点が正常と異なります。

Read More »
βブロッカー|ベータ遮断薬

βブロッカー(ベータ遮断薬)は、高血圧や心不全などの治療に欠かせないお薬ですが、その使用には注意が必要です。特に、喘息やCOPDの患者さんには禁忌とされることもあります。さらに、代謝異常や高齢者への影響も考慮しなければなりません。心機能を改善し、生命予後を向上させる一方で、薬剤性EDの原因ともなり得ます。医師との相談が重要です。

Read More »
アスピリンとED治療薬の併用は可能です。
アスピリン

アスピリンは、解熱鎮痛剤として広く知られていますが、最近では、それ以上に抗血小板剤として広く使用されます。心筋梗塞や脳梗塞の治療に用いられ、血液をサラサラにする効果が期待されています。器質性EDの一つである血管原性EDにも効果がある可能性が指摘されています。腸溶錠の「バイアスピリン」は、胃の負担を軽減しているため、利便性が向上しています。

Read More »
カルシウム拮抗薬は高血圧治療の中心的薬剤
カルシウム拮抗薬とは

カルシウム拮抗薬は、高血圧や狭心症の治療に欠かせない薬剤群です。ジヒドロピリジン系、フェニルアルキルアミン系、ベンゾチアゼピン系といった多様な種類があり、それぞれ異なる作用機序を持っています。EDへの影響は無いと考えられ、ED治療薬との併用も可能です。

Read More »