睡眠時無呼吸症候群とED|池袋スカイクリニック

睡眠時無呼吸症候群とED

池袋スカイクリニック

睡眠時無呼吸症候群とED

2026年10月25日

Table of Contents

睡眠時無呼吸症候群とEDは合併することが多い

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まったり、浅くなったりする病気です。血液中の酸素が低下し、睡眠が何度も中断されることで、日中の眠気だけでなく、血管や自律神経にも負担がかかります。

EDにはさまざまな原因がありますが、睡眠時無呼吸も原因の一つです。いびきや眠気を伴う方は、勃起機能と睡眠の両方に目を向ける必要が有るかもしれません。

ここでは、睡眠時無呼吸症候群(主に閉塞性)とEDの関係について説明したいと思います。

睡眠時無呼吸症候群の有病率

日本呼吸器学会によると、本邦の睡眠時無呼吸症候群の有病率は、成人男性で約3〜7%、成人女性の約2〜5%とされています。ただし、睡眠検査で症状の乏しい人まで調べると、さらに高い割合が報告されています。 日本の地域住民を対象とした研究では、中等症以上の睡眠呼吸障害が、男性の23.7%、閉経後女性の9.5%に認められています(注:睡眠時無呼吸症候群の診断機銃とは異なる夜間の酸素飽和度の低下を指標とした調査です)。

睡眠中の呼吸の異常は、決して珍しいものではありません。自覚症状に乏しい場合は、単純に、気がついていなだけの場合もあります。

睡眠時無呼吸症候群が有るとEDは1.8倍に増加

2015年に発表されたメタ解析(9研究、合計1,275人を解析)では、各研究間のバラつきが多いものの、睡眠時無呼吸症候群の男性では、そうでない男性と比較し、EDが1.8倍多かったとしています。

睡眠時無呼吸症候群の男性患者124人を調べた中国からの研究では、対象の64.5%にEDが認められたとしています。軽症〜中等症の睡眠時無呼吸症候群で55.7%、重症例では73.0%がEDであったとしています。 睡眠時無呼吸の重症度には、「無呼吸・低呼吸指数(AHI)」という指標を用います。睡眠1時間あたりに、無呼吸や低呼吸が何回起きたかを示す数値です。 弱い相関ではありますが、この無呼吸・低呼吸指数(AHI)が高いほど、国際勃起機能スコアIIEF-5の点数が低い、つまり、睡眠時無呼吸症候群の重症度が高いほど、EDの重症度も高いことが確認されています。

睡眠障害と様々な共通因子

睡眠障害は、いわゆる不眠症だけでなく、過眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、睡眠呼吸障害など、様々な病態が含まれています。睡眠障害自体がEDだけではなく、様々な性機能障害の原因となることが知られています。その中でも、睡眠時無呼吸症候群と性機能障害は、関連が強いことがわかっています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群例は、肥満例が多く、肥満はEDの原因となります。さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、慢性腎臓病やうつ病などの精神疾患を合併することが多いとされますが、これらもまた、EDの危険因子です。

つまり、睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害と、共通する危険因子や合併疾患からも、EDの原因となり、合併しやすいと言えます。

睡眠時無呼吸の治療がEDの治療につながる可能性

睡眠時無呼吸症候群の治療後に、勃起機能が改善したという研究があります。ただし、改善の程度には個人差があるともしています。治療によって、明確な差が出なかったと報告する研究もあります。

このような治療効果の差が生じる理由の一つとして、睡眠障害とEDの関連の度合いが考えられます。関連が強い場合は、睡眠時無呼吸症候群を治療することは、ED治療に繋がる程度が大きく、合併する肥満や生活習慣病、うつ病などが原因であった場合は、治療によって得られるED改善幅は、小さくなると考えます。

睡眠時無呼吸症候群の治療は、睡眠中の呼吸や眠気などを改善するために行って下さい。もちろん、EDの改善を期待しても良いと思います。ただ、睡眠時無呼吸症候群の治療は、その改善が目的です。EDが残る場合は、別の原因の確認やED治療を並行して検討して下さい。

合併する様々な疾患の治療がED改善に繋がる可能性

閉塞性睡眠時無呼吸症候群例は、肥満例が多く、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、慢性腎臓病やうつ病などの精神疾患を合併することが多いと上述いたしましたが、これらは、EDの危険因子であるため、この治療は、ED治療に繋がります。 もちろん、睡眠時無呼吸症候群自体の治療を併せて行って下さい。例えばですが、睡眠時無呼吸症候群には難治性の高血圧が合併することがありますが、これは、睡眠時無呼吸症候群の改善とともに改善することが知られています。

日常生活で取り組めること

睡眠時無呼吸とEDには、生活習慣に関係する共通の要因があります。取り組みやすいことから、治療と合わせて見直してみてはいかがでしょうか?

まず、体重の管理を心がけましょう。肥満がある場合は、無理のない食事改善や運動で減量を目指して下さい。

寝る前の飲酒は、のどの筋肉を緩め、気道を塞がりやすくすることがあります。睡眠時無呼吸を悪化させます。過度な飲酒はEDの原因にもなります。

喫煙は気道や陰茎の血管に悪影響を与えるため、禁煙することが推奨されています。

定期的な運動習慣は、体重管理や血管の健康に役立ちます。

夜更かしや不規則な睡眠を見直し、睡眠の時間とリズムを整えて下さい。

参照


Sexual Dysfunction in Patients with Obstructive Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-Analysis

J Sex Med. 2015 Oct;12(10):1992-2003.

doi: 10.1111/jsm.12983.


Prevalence and Characteristics of Erectile Dysfunction in Obstructive Sleep Apnea Patients

Front Endocrinol (Lausanne). 2022 Feb 18:13:812974.

doi: 10.3389/fendo.2022.812974.


Impact of sleep characteristics and obesity on diabetes and hypertension across genders and menopausal status: the Nagahama study

Sleep.2018 Jul 1;41(7).

doi: 10.1093/sleep/zsy071.


【ED】に関する最近の記事

レノーヴァRENOVAなどの体外衝撃波療法はED治療に有用なのでしょうか?
ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

最近、体外衝撃波療法によるED治療が話題を集めていますが、その実際の効果はどうなのでしょうか?患者満足度は高いとする報告もありますが、勃起機能の改善幅は小さく、結果に乖離が認められる場合もあります。さらに、アメリカでは未承認であり、治療法としての位置づけも各国で異なります。そのため、池袋スカイクリニックでは、体外衝撃波療法には慎重な立場をとっています。ED治療薬が効かない方のための特効薬ではないことを理解する必要があります。詳しくは、本文をご覧ください。

Read More »
慢性副鼻腔炎を有す男性は、EDのリスクが1.5倍あります
慢性副鼻腔炎とEDの関係

慢性副鼻腔炎とED(勃起不全)の関係についての研究が進んでいます。慢性副鼻腔炎を抱える患者は、EDのリスクが1.51倍高いことが示されています。これらの疾患は一見無関係に思えますが、慢性炎症が全身に影響を及ぼし、EDの原因となる可能性があるのです。鼻づまりによる低酸素状態や生活の質の低下も、性欲に影響を与える要因として考えられています。興味のある方は、ぜひ詳細を読み進めてみてください。

Read More »
亜鉛サプリメントの摂取がEDや精力増強につながるとする科学的根拠(エビデンス)は限定的
亜鉛はED勃起機能を改善する?

亜鉛は男性機能や勃起力の改善に効果が期待されていますが、一方で、実際の医学的根拠は乏しいとされています。亜鉛欠乏のある男性には改善の可能性があるものの、十分な亜鉛を摂取している人に対しては効果が証明されていません。さらに、亜鉛サプリメントがEDや性欲の向上に寄与するかどうかは、まだ明確な結論が出ていません。亜鉛の役割やその効果について、詳しく知りたい方はぜひ続きをご覧ください。

Read More »
ED治療薬は因果関係は不明であるものの、心血管イベントと死亡リスクを低下させる
ED治療薬は心臓病と死亡リスクを低下させる

ED治療薬が心臓病や死亡リスクを低下させるという研究報告があります。約125万人のデータを解析したメタ解析では、ED治療薬の使用群は、因果関係不明ながらも、重大な心血管イベントのリスクが22%、全死亡リスクが30%も減少することが示されています。ここでは、ED治療薬(PDE5阻害剤)が、心臓に負担をかける危険な薬剤などといった、風評被害とも言えるイメージを払拭する一助になると思い解説しています。ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
肥満はEDの原因の一つであり、特に中等度以上のEDと関与している。BMIを確認しましょう。
肥満は中等度以上のEDと関与

肥満と勃起不全(ED)の関係についての研究は、多数報告されております。しかし、その多くが欧米人を対象としております。欧米人とアジア人では、肥満の程度と有病率が異なります。そのため、その結果を、アジア人に、そのまま当て嵌めてよいものか、疑問が生じます。ここでは、男性性機能外来を受診したアジア人(若年中国人)男性において、肥満とEDの関係を調査した研究報告をご紹介いたします。果たして、どのようなBMIが男性機能に影響を及ぼすのか?詳細をぜひご覧ください。

Read More »
タダラフィルは慢性炎症を改善し、アンチエイジング効果を発揮する可能性が有る
低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する

タダラフィルは、ED治療薬として知られるだけでなく、炎症マーカーを改善する可能性があることが注目されています。慢性炎症は老化を促進させる要因の一つであり、タダラフィルの服用がアンチエイジングに繋がるかもしれません。最近の研究では、タダラフィルが炎症マーカーを改善することが示され、シルデナフィルとの比較も行われました。この興味深い結果が、今後のアンチエイジング医療にどのような影響を与えるのか、ぜひご覧ください。

Read More »