アレルギー性鼻炎の鼻症状は性機能障害に繋がる可能性|池袋スカイクリニック

アレルギー性鼻炎の鼻症状は性機能障害に繋がる可能性

池袋スカイクリニック

アレルギー性鼻炎の鼻症状は性機能障害に繋がる可能性

2026年5月1日

Table of Contents

花粉症などのアレルギー性鼻炎と性機能障害の関係

アレルギー性鼻炎は、生活の質に大きな影響を与える、様々な症状を惹起します。

環境省のデータでは、アレルギー性鼻炎の有病率は、最近の20年で、およそ2倍に増加してるとし、2019年のデータでは、42.5%がアレルギー性鼻炎に罹患しているとしています。 民間のデータでは、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)は、2人に1人に認められるとする報告もあります。

症状は、鼻や眼だけにとどまらず、頭がぼーっとする、集中力の低下、倦怠感、睡眠の質の低下などを来す場合もあります。

全身性に影響を及ぼすアレルギー性鼻炎ですが、男女問わず、性機能に影響を及ぼすことが分かってきています。

ここでは、アレルギー性鼻炎の鼻症状と性機能障害の関係を検討した報告をご紹介します。

鼻症状と性機能を評価

男女含むアレルギー性鼻炎1,034人と、対照とし健常者422人を比較検討。

鼻症状はVisual Analog Scale(VAS)で、男性例はIIEFスコア、女性例はFSFIスコアで性機能を評価しています。

ここでは、対象は、花粉症ではなく、なんらかのアレルゲンに対する鼻炎としています。

アレルギー性鼻炎例で性機能障害が増加

男性例では、性機能障害の指標であるIIEFスコアが、アレルギー性鼻炎群が44.0であったのに対し、対照群(正常群)では49.0と有意差を持って低くなっています。

他にも、IIEFスコアの各ドメインに注目すると、勃起機能(18.0vs20.0)、性欲(5.0vs7.0)、全体満足度(6.0vs8.0)と、3項目で有意に低下しています。

残りの『性交満足度』と『オーガズム機能』の2項目には、有意差は認められていません。

鼻閉と嗅覚障害と男性機能障害の強い負の相関

鼻閉と勃起機能は、特に強い負の相関を認めています。鼻閉が強いほどEDを生じやすくなることになります。

鼻閉とオーガズム(アレルギー性鼻炎vs健常者では、全体としてはオーガズムの差は認められていませんが、鼻閉の程度を考慮した場合、負の相関が生まれています)、性欲も、強い負の相関を認めています。

鼻漏やくしゃみは、中等度の相関を認めています。

女性のアレルギー性鼻炎も性機能を抑制する

アレルギー性鼻炎(花粉症等)は、男性だけでなく、女性の性機能障害も惹起します。

この報告では、アレルギー性鼻炎群では、対照ぐんと比較し、Female Sexual Function Index(FSFI)が低いと報告されています。 男性同様、特に、鼻閉と嗅覚障害と性機能障害との相関が強いとされています。

女性の場合は、性的興奮、オーガズム、満足度と強い負の相関があったとしています。

アレルギー性鼻炎による性機能障害のメカニズム

本研究は、アレルギー性鼻炎と性機能障害の相関を調べるものであり、性機能障害発症のメカニズムは考察のみに留まっています。

性機能障害と最も負の相関が強い鼻閉は、睡眠障害を引き起こし、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が低下させることが、一因ではないかと考察されています。

嗅覚障害は、フェロモンなどの性的魅力の認知を障害し、性的興奮を低下させる可能性も指摘しています。

症状が強ければ、集中力低下や社会活動制限、抑うつ傾向を生じることがあり、これもまた、性機能障害を誘発すると考えられます。

また、アレルギー性鼻炎は、ヒスタミンや様々なサイトカインが関与する慢性炎症状態であり、それが、陰茎の血管内皮機能障害をきたし、勃起不全EDを生じる可能性が考察されています。

以上は、あくまで考察です。アレルギー性鼻炎が性機能障害を引き起こすメカニズムにつきましては、今後の研究報告を待つ必要があります。

抗アレルギー薬と性機能障害の関係は、別の機会にご紹介しようと思います。

Nasal Symptoms Among Allergic Rhinitis Patients Could Contribute to Sexual Dysfunction

J Asthma Allergy. 2025 Feb 17;18:219–227.

doi:
バルデナフィルには、適応症はないものの、前立腺肥大症による下部尿路症状を改善する効果がある
バルデナフィルの下部尿路症状LUTSに対する効果

バルデナフィルの前立腺に対する効果についての研究結果をご紹介します。タダラフィルのネット広告などでは、前立腺肥大症に伴う下部尿路症状の改善効果が宣伝されている場合もございますが、それはタダラフィル固有の作用ではなく、バルデナフィルも同様の効果があることが示されています。共に、前立腺肥大症そのものを改善・予防するものではなく、それによって生じる症状を改善させます。ED治療薬は、やはり勃起改善効果を第一に考えましょう。タダラフィルとの比較も含め、詳細をぜひご覧ください。

Read More »
prp注射は多血小板血漿を用いたED治療ですが、未だ研究段階で実臨床に応用するには時期尚早です。
PRP注射:ED治療における多血小板血漿の効果

PRPとは多血小板血漿の略であり、その注射は、自己血由来の成長因子を利用して陰茎の血管や組織の修復を促すEDの治療法です。しかし、現在のところ、PRP注射は研究段階にあり、標準的なED治療法としては推奨されていません。軽症〜中等症の血管性EDに有効である可能性はありますが、臨床試験は小規模なものしか無く、治療方法も統一されていないため、慎重な判断が求められます。ED治療におけるPRP注射の可能性と限界について、詳しく見ていきましょう。

Read More »
抗精神病薬の副作用として体重増加が知られているが、その治療・予防にマンジャロが有効である
マンジャロは抗精神病薬誘発性体重増加を改善

抗精神病薬による体重増加は、精神的な健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。最近の研究では、GLP-1受容体作動薬であるマンジャロやオゼンピックが、抗精神病薬誘発性の体重増加を改善する効果が示されています。66,574人を対象にした後ろ向きコホート研究では、体重減少の幅が薬剤のリスクによって異なることが明らかになりました。精神と肥満の悩みを抱える患者にとって、これらの新しい治療法がどのように役立つのか、詳しく見ていきましょう。

Read More »
ボトックス注射によるED治療は、研究段階の治療法であり、一般診療として行うことは推奨されていない
ボトックス注射によるED治療について

ボトックス注射をED治療に応用しようとする試みがあります。シルデナフィルなどのPDE5阻害剤が一般的な治療法として広まる中、ボトックス注射は、ED治療薬の無効例に対して新たな選択肢として研究されています。しかし、現時点では標準治療ではなく、効果や安全性についてはまだ十分な科学的根拠がありません。この記事では、ボトックス注射のメカニズムや臨床研究の結果、ガイドラインでの位置づけについて詳しく解説します。興味のある方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
レノーヴァRENOVAなどの体外衝撃波療法はED治療に有用なのでしょうか?
ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

最近、体外衝撃波療法によるED治療が話題を集めていますが、その実際の効果はどうなのでしょうか?患者満足度は高いとする報告もありますが、勃起機能の改善幅は小さく、結果に乖離が認められる場合もあります。さらに、アメリカでは未承認であり、治療法としての位置づけも各国で異なります。そのため、池袋スカイクリニックでは、体外衝撃波療法には慎重な立場をとっています。ED治療薬が効かない方のための特効薬ではないことを理解する必要があります。詳しくは、本文をご覧ください。

Read More »
慢性副鼻腔炎を有す男性は、EDのリスクが1.5倍あります
慢性副鼻腔炎とEDの関係

慢性副鼻腔炎とED(勃起不全)の関係についての研究が進んでいます。慢性副鼻腔炎を抱える患者は、EDのリスクが1.51倍高いことが示されています。これらの疾患は一見無関係に思えますが、慢性炎症が全身に影響を及ぼし、EDの原因となる可能性があるのです。鼻づまりによる低酸素状態や生活の質の低下も、性欲に影響を与える要因として考えられています。興味のある方は、ぜひ詳細を読み進めてみてください。

Read More »