高血圧とED|池袋スカイクリニック

高血圧とED

池袋スカイクリニック

高血圧とED

2026年2月13日

Table of Contents

高血圧によるED発症リスク

高血圧はEDと密接に関与しており、治療により発症を予防する可能性がある
高血圧はEDの危険因子であり、クラシカルな降圧薬はEDを誘発する可能性がある

日本の成人における高血圧の有病率は約3人に1人、およそ4,300万人と推計されています。

年齢層によって有病率は異なり、40代から増加し始め、60代では約半数、70代以上では3分の2を超える人が高血圧と診断されています。

国民病とも言われる高血圧ですが、池袋スカイクリニックに、EDのご相談で来院される患者様の中にも、高血圧を指摘または、治療されている方が多くいらっしゃいます。

未治療で放置されている方がいた場合は、EDのリスクなどを説明させていただき、高血圧治療をお薦めさせていただいております。

では、高血圧は、どの程度EDに影響を与えるのでしょうか?

ギリシャからの、よくまとめられた研究報告があるので、ご紹介いたします。

35.2%(高血圧)vs 14.1%(正常血圧)|ED有病率

対象は通院中の若年および中年男性(31~65 歳)634名。

このうち、358名が高血圧で、276名が正常血圧。

勃起障害は国際勃起機能スコア(IIEF)を用いて評価されています。

その結果は、本態性高血圧患者の35.2%にEDが認められたのに対し、正常血圧者では14.1%と、統計学的に有意差を持って、高血圧例に多くEDが認められています。

高血圧例ほどEDが重症化しやすい

重度の勃起不全EDは本態性高血圧患者358人中33人 (9.2%)、正常血圧者276人中4人(1.5%)に認められています。

中等度の勃起不全EDは高血圧患者358人中50人(14%)、正常血圧者276人中15人(5.4%)に認められ ています。

軽度の勃起不全EDは高血圧患者 358 人中 43 人 (12%)、正常血圧者 276 人中 20 人 (7.2%) に認められています 。

 EDの重症度が上昇するほど、高血圧例の割合が増加します。高血圧例ほど、重症化しやすいとも言えます。

高血圧はEDの発症につながり、重症化にも寄与している
高血圧の存在は、EDに繋がり、重症化させる

加齢によるED増加を高血圧が拍車をかける

EDは、年齢とともに増加傾向を示し、50歳以上の高血圧患者236名中102名(43.2%)にEDが認められたのに対し、50歳未満の高血圧患者122名中24名(19.7%)に認められた。

正常血圧者でも同様の傾向があり、50歳以上の181名中31名(17.1%)、50歳未満の95名中8名(8.4%)にEDが認められています。

やはり、高血圧例の方が、ED有病率が高く、この差は統計的に有意であったとしています。

高血圧は年齢に因る自然増加以上にEDの有病率を高める
高血圧によって年齢以上にED発症が促進される

高血圧罹病期間がED有病率と相関する

本態性高血圧の罹病期間は、勃起機能と関連性があります。

罹病期間が3年未満の患者81名中11名(14%)がEDを呈したのに対し、罹病期間が3~6年の患者161名中45名(28%)、6年を超える患者116名中70名(60%)にEDが認められています。

やはり、罹病期間が長くなるとともに、有病率が上昇する傾向があります。

高血圧の罹病期間が長くなるとともにEDの有病率も上昇する
高血圧の治療が長期に及ぶほどにEDの有病率が上昇する

EDの重症度と高血圧の重症度

高血圧の重症度が影響を与えることも示されています。

JNC VIIの高血圧ステージ分類(やや古いですが)によれば、ステージ2の高血圧患者193名中86名(44.6%)にEDが認められたのに対し、ステージ1の高血圧患者165名中40名(24%)にEDが認められています。

ESH-ESCによれば、グレード1、グレード2、グレード3の高血圧患者における勃起不全の割合はそれぞれ24%、37.5%、70%。

さらに、高血圧前症または正常高血圧(JNC VIIおよびESH-ESCガイドラインによる)の被験者は、正常血圧の被験者よりも勃起不全を示す頻度が高かった

降圧薬によるEDへの影響と違い

降圧薬による治療は、EDの発症に影響します。

治療を受けた患者267名のうち、108名(40.4%)にEDが認められましたが、治療を受けなかった患者91名のうち、わずか18名(19.8%)にのみEDが認められています。

治療を受けていた267名のうち、160名が単剤療法、107名が併用療法を受けていました。

単剤療法を受けている患者のうち、44名がβ遮断薬、5名が利尿薬、44名がACE阻害薬、19名がアンジオテンシンII受容体遮断薬、48名がカルシウム拮抗薬を服用していました。

併用療法を受けている患者のうち、77名が利尿薬を服用していました。

併用療法を受けた患者では、単独療法を受けた患者(36.3%)よりもEDの発現率が高く(46.7%)、その差は統計的に有意であったとしています。

注意しないといけないのは、治療しなかった場合、経過とともにEDが増加するということです。

血圧のコントロール状況が悪ければ、よりEDが重症化しやすくなります。

降圧利尿薬やβ遮断薬は勃起機能に影響を与える可能性がある
Factors Affecting the Increased Prevalence of Erectile Dysfunction in Greek Hypertensive Compared With Normotensive Subjectsより改変

まとめ|高血圧とED

本態性高血圧患者は、

  1. 正常血圧者と比較して勃起不全の有病率が高い
  2. 高血圧患者は正常血圧者よりもEDの重症度が高い
  3. EDは高血圧の重症度に依存する
  4. 高血圧の罹病期間が長いほどEDの有病率が高い
  5. 降圧薬の投与はEDと関連しており、クラシカルなタイプの降圧薬ほど影響が強い可能性が高い
  6. 年齢とともにEDの有病率は上昇するが、高血圧例の方が顕著である

極端な高血圧でなければ、ED治療薬の服用は可能です。

池袋スカイクリニックでは、将来の勃起機能のことを考え、高血圧の治療をオススメさせていただいております。

Factors affecting the increased prevalence of erectile dysfunction in Greek hypertensive compared with normotensive subjects

J Androl. 2006 May-Jun;27(3):469-77.

DOI: 10.2164/jandrol.04191

【ED】に関する最近の記事

シルデナフィルなどのED治療薬は糖尿病患者の全死亡率を改善する
糖尿病患者におけるED治療薬と全死亡率低下の関係

糖尿病患者におけるED治療薬の使用が全死亡率を低下させる可能性があることをご存知ですか?2型糖尿病の男性を対象にした追跡調査では、ED治療薬使用者の死亡率が非使用者に比べてハザードリスクが約46%低下したとの結果が得られています。ED治療薬の使用歴は、心筋梗塞のリスクの減少、全体的な健康状態の改善との関連が示唆されています。

Read More »
前立腺肥大症におけるタダラフィルの使用は、2型糖尿病の新規発症を予防する
前立腺肥大症に対するタダラフィルは糖尿病の新規発症を抑制

タダラフィル5mgの常用が糖尿病発症を抑制する可能性があることが、前立腺肥大症患者を対象にした研究で明らかになりました。タダラフィルは、従来のα遮断薬と比較して、新規2型糖尿病の発症率を約53%減少させることが示されています。この研究は、日本の大規模な保険請求データベースを基にしており、タダラフィルの血管内皮機能改善作用が好影響を与えた可能性が指摘されていますが、現時点では、明らかになっておりません。

Read More »
セマグルチドはダイエット用に使用されることが多いですが、ニコチン依存症のリスクを回避させる可能性がある
タバコ使用障害のリスク低下の可能性|セマグルチド

セマグルチドは、糖尿病や肥満治療に用いられるGLP-1受容体作動薬ですが、最近の研究でタバコ使用障害のリスクを低下させる可能性が示されています。セマグルチド製剤であるリベルサスやオゼンピックを使用した患者では、喫煙欲求が減少したとの報告があります。さらに禁煙後の体重増加を抑制する可能性もあります。タバコ使用障害の診断基準など、詳しくは本文をご覧ください。

Read More »
全身性炎症反応指数を用い、前もってED治療薬タダラフィルの効果を予測しようとする研究報告
全身性炎症反応指数で見るタダラフィルの効果予測

全身性炎症反応指数(SIRI)が、ED治療薬タダラフィルの効果を予測する可能性についての研究があります。SIRIは血液中の免疫細胞のバランスから炎症状態を数値化した指標で、がんの予後や動脈硬化や心血管疾患との関連が示されています。この研究では、タダラフィルが無効だった患者の特徴を明らかにし、ED治療における新たなアプローチを提案しています。

Read More »
マンジャロなどの、いわゆるGLP-1ダイエットで使用される薬剤は、アルコール依存症を改善させる可能性が有る
アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

アルコール依存症の治療に新たな可能性が見えてきました。最近の研究では、ダイエット薬として知られるGLP-1受容体作動薬、特にマンジャロやオゼンピックが、飲酒欲求の低下や飲酒量の減少に寄与する可能性が示唆されています。ここで紹介するSNSを利用した調査や153名への聞き取り調査から得られた研究報告は、これらの薬剤がアルコール依存症に対する新たなアプローチとなるかもしれないことを示しています。

Read More »
ED治療薬であるシルデナフィルの使用者はアルツハイマー病のリスクが低下する
シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低い

シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低いという興味深い研究結果が報告されています。ED治療薬として知られるシルデナフィルは、認知機能に対する効果が注目されており、特にその使用者は、アルツハイマー病のリスクを54%も低下していたとする報告があります。しかし、直接的な因果関係は明らかではなく、生活習慣や他の要因も影響を及ぼすことが考えられています。詳細な研究結果や今後の展望について、ぜひご覧ください。

Read More »