低用量タダラフィルの定期服用療法と通常の頓服療法(必要時の服用)

最近、タダラフィル2.5mgあるいは5mgを毎日服用することがED改善に有効とする、といった内容のSNSやYouTube動画があるようです。
また、低用量タダラフィルによるED治療を推奨しているクリニックも存在するようです。
国内未認可の海外製のタダラフィル+亜鉛+アルギニンの配合錠を処方する医療機関まで出現しています。
情報が溢れる現代では、一般の方には、正しい医療情報を得ることもまた、難しいかと思います。
正直、内容としては目新しいものではなく、シアリスの市販当初に、しばしば検討されたED治療法です。
何を今更?といった感じも無くもないですが、、、ここでは、低用量タダラフィルの連日服用療法が、通常の頓服療法と比較した場合、そのED改善効果はどのように評価されているのか?また、その位置付けをご説明したいと思います。
レビュー(複数の研究報告のまとめ)
研究報告は、その目的により、デザインは様々です。
ここで紹介する論文は、無作為抽出試験、システマティック・レビュー、メタアナリシスなどを対象に、さらに解析を加え発表されたものです。
”まとめ”をさらに”まとめ”たものとイメージして下さい。
その他の詳細な条件は割愛いたしますが、前立腺の手術や骨盤の手術例は除外されています。
調査対象となった研究は4件。
この研究報告の結論としては、低用量タダラフィル連日服用療法は、ED改善に有効であるとしています。
以下では、より詳細を見ていきます。
タダラフィル10mgの毎日服用 vs 頓服20mg
1件は、10mgの毎日服用と頓服20mgの比較です。
この比較では、毎日服用群の方が、IIEFスコアや性行為の質問票Sexual Encounter Profileの設問2(陰茎を挿入することができましたか?(挿入成功率))および設問3(勃起を維持して性交を完了できましたか?(性交完遂率))ともに、毎日服用群が有効だったとしています。
この比較では毎日10mgを服用する群のほうが優れることが示されています。
しかし、ここで取り上げられていない、重大な問題があります。
それは、コストの問題です。
いわゆるコストパフォーマンスを考えて、治療法を選択する必要があります。
毎日5mg vs 頓服20mg
2件は、タダラフィルを毎日5mg服用に対し、10mgまたは20mgの頓服療法を評価。
そこでは、両群ともにEDの改善を認めておりますが、頓服群の方が、同等〜やや有効な傾向があるものの、両群間に統計学的に有意差は無かったとしています。
この内の1件では、性行為の質問票Sexual Encounter Profileの設問3(勃起を維持して性交を完了できましたか?(性交完遂率))を評価されていますが、同様に、頓服群の方が、改善の傾向を認めていますが、統計学的な有意差はないとしています。
この場合は、正直、どちらの治療法を選択しても、大きな変化は無いように思えます。
やはりコストを考慮する必要があると思います。
性行為の頻度が多い方や服用に煩わしさを感じる方は、定期服用療法の方が、有益かもしれません。
逆に、性行為の頻度が少ない場合は、いわゆるコストパフォーマンスが低くなります。
毎日5mg vs 20mg頓用 |下部尿路症状(前立腺肥大症)がある場合
もう1件は、下部尿路症状を有す例で、毎日タダラフィル5mg服用群と20mg頓服群が評価されています。ここでは、毎日服用群5mgの方が有効であったとしています。
ただし、治療によるED改善度は、下部尿路症状の改善度に相関するとしています。
下部尿路症状の改善は、EDの改善に有益であることは広く知られた事実です。
下部尿路症状の改善には定期的なタダラフィルの服用が有用であり(実際に保険適応されている)、下部尿路症状の改善がED改善につながるとも捉えることができます。
タダラフィル2.5~5mg毎日服用では、ED改善効果は大きくない
一部の医療機関で推奨している低用量のタダラフィルを連日服用するED治療では、多くの場合、2.5mg~5mgが推奨されています。
上記に示したように、下部尿路症状(前立腺肥大)を合併していない例では、タダラフィル10mgの定期服用をもって、20mgの頓用療法を、効果で上回ります。
2.5mgや5mgを毎日服用したところで、効果は、頓用を上回りません。
仮にタダラフィル10mgを毎日服用すると仮定した場合、先にも触れましたが、ここで考えなければならないことは、コストパフォーマンスです。
毎日、定期にタダラフィルを服用するED治療のメリットは、性行為と服薬のタイミングを諮る必要が無くなることです。
デメリットは、コストです。
正直なところ、毎日タダラフィル10mgを服用することは、コスト負担的に現実的ではな無いような気がします。
服薬タイミングを考える煩わしさが無くなる
低用量タダラフィルの連日服用療法が向いている方は、服薬タイミングを上手に作れない方が、例として考えられます。
食事のタイミングやパートナーとのタイミングを考えつつ、服薬しないといけません。
それが煩わしいと考えるのであれば、連日服用療法は良いかもしれません。
パートナーである女性は、連日服用療法を好むといった報告もあります。
Tadalafil Once a Day for Men with Erectile Dysfunction: Is It Superior than On-Demand Administration?
Acta Med Indones. 2019 Jul;51(3):275-281.
https://www.actamedindones.org/index.php/ijim/article/view/746/pdf





