マンジャロとEDとの関連|2型糖尿病患者における|池袋スカイクリニック

マンジャロとEDとの関連|2型糖尿病患者における

池袋スカイクリニック

マンジャロとEDとの関連|2型糖尿病患者における

2026年2月13日

Table of Contents

マンジャロは既存薬と異なりGLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用する

マンジャロ(チルゼパチド)は、最も新しいGLP-1受容体作動薬の1つで、その血糖降下作用から、糖尿病診療のガイドラインにおいても、上位に位置付けられ、推奨されています。

また、体重減少作用から、ダイエット用としても認可されています。やや適応に制限があるものの、本邦でもゼップバウンドとして認可されています。適応が異なるため、異なる名称で市販されていますが、成分はマンジャロと全く同じです。

マンジャロ含めGLP-1受容体作動薬は、比較的、新しいタイプの薬剤のため、長期に使用した場合の副作用は慎重に見ていく必要があります。また、マンジャロは、既存のGLP-受容体作動薬と異なり、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体を刺激する作用を持つことから、その効果や副作用が異なる可能性もあります。

実際に、ティルゼパチドは代謝や非アルコール性脂肪肝疾患の改善、および腎機能低下の抑制効果を指摘されています。

糖尿病患者のEDをいかに抑制するか

古くからEDの罹病率が、糖尿病患者においては、高いことが知られています。

糖尿病自体が、もともと自覚症状の乏しい疾患であるため、EDが唯一の症状であることも珍しくありません。また、EDはQOLを著しく損ねる可能性もあるため、EDの発症を抑制することは重要です。

そこで、糖尿病の治療薬は、EDに対して、どのような影響を及ぼすのか検討が必要です。

先に市販されているマンジャロ以外のGLP-1受容体作動薬において、多くの報告は、EDを改善する、もしくは、影響がないことが報告されていますが、なかには、セマグルチドの使用がEDの相対リスクを4.5倍に高めるといった報告もあります。

同じGLP-1受容体作動薬であっても、各薬剤で違いが生じることもあるため、丁寧な検証が必要です。

マンジャロの新規ED発症抑制効果

この報告では、シタグリプチン(ジャヌビア)、注射用セマグルチド(オゼンピック)、デュラグルチド(トルリシティ)と比較して、2型糖尿病の男性におけるティルゼパチド(
マンジャロ)と勃起不全(ED)を発症するリスクとの関連が評価されています。

この研究は、2022年5月13日から2025年5月17日までのTriNetXグローバルヘルスリサーチネットワークが使用され、2型糖尿病でED歴のない18〜70歳の男性患者が対象とし、マンジャロとジャヌビア、オゼンピック、またはトルリシティの3剤の比較が行われています。

エンドポイントは、EDの診断またはバイアグラなどのPDE-5阻害剤の処方となっています。

マンジャロ(ティルゼパチド)は、3剤全ての比較でEDのリスクを有意に低下させています。

ED診断またはPDE-5阻害剤使用の複合結果の相対リスク比(RR)は、対ジャヌビア(シタグリプチン)で0.70(95%CI:0.64,0.76)、対オゼンピック(注射用セマグルチド)で0.67(95%CI:0.62,0.72)、対トルリシティ(デュラグルチド)で0.55(95%CI:0.51,0.59)でした。

現時点では男性のGLP-1ダイエットにはマンジャロが最有力候補

この結果を信じるのであれば、男性のメタボ肥満患者には、マンジャロによるダイエットが有効に思えます。

他のGLP-1受容体作動薬も、EDにネガティブな影響は、殆ど無い〜無視できるほど軽微と考えますが、影響は少ないに越したことはありません。

例えば、非糖尿病の肥満例ではどうなのか?、対プラセボで、どの程度の効果があるか気になるところです。

注意すべきは、急激なダイエットは体力の低下につながり、EDの原因にも成り得るということです。

今後の研究報告に期待します。

Association of tirzepatide with erectile dysfunction in people with type 2 diabetes

J Diabetes Complications. 2025 Jun 30;39(10):109116.

DOI: 10.1016/j.jdiacomp.2025.109116

【GLP-1ダイエット】に関する最近の記事

【ED】に関する最近の記事

バルデナフィルには、適応症はないものの、前立腺肥大症による下部尿路症状を改善する効果がある
バルデナフィルの下部尿路症状LUTSに対する効果

バルデナフィルの前立腺に対する効果についての研究結果をご紹介します。タダラフィルのネット広告などでは、前立腺肥大症に伴う下部尿路症状の改善効果が宣伝されている場合もございますが、それはタダラフィル固有の作用ではなく、バルデナフィルも同様の効果があることが示されています。共に、前立腺肥大症そのものを改善・予防するものではなく、それによって生じる症状を改善させます。ED治療薬は、やはり勃起改善効果を第一に考えましょう。タダラフィルとの比較も含め、詳細をぜひご覧ください。

Read More »
prp注射は多血小板血漿を用いたED治療ですが、未だ研究段階で実臨床に応用するには時期尚早です。
PRP注射:ED治療における多血小板血漿の効果

PRPとは多血小板血漿の略であり、その注射は、自己血由来の成長因子を利用して陰茎の血管や組織の修復を促すEDの治療法です。しかし、現在のところ、PRP注射は研究段階にあり、標準的なED治療法としては推奨されていません。軽症〜中等症の血管性EDに有効である可能性はありますが、臨床試験は小規模なものしか無く、治療方法も統一されていないため、慎重な判断が求められます。ED治療におけるPRP注射の可能性と限界について、詳しく見ていきましょう。

Read More »
抗精神病薬の副作用として体重増加が知られているが、その治療・予防にマンジャロが有効である
マンジャロは抗精神病薬誘発性体重増加を改善

抗精神病薬による体重増加は、精神的な健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。最近の研究では、GLP-1受容体作動薬であるマンジャロやオゼンピックが、抗精神病薬誘発性の体重増加を改善する効果が示されています。66,574人を対象にした後ろ向きコホート研究では、体重減少の幅が薬剤のリスクによって異なることが明らかになりました。精神と肥満の悩みを抱える患者にとって、これらの新しい治療法がどのように役立つのか、詳しく見ていきましょう。

Read More »
ボトックス注射によるED治療は、研究段階の治療法であり、一般診療として行うことは推奨されていない
ボトックス注射によるED治療について

ボトックス注射をED治療に応用しようとする試みがあります。シルデナフィルなどのPDE5阻害剤が一般的な治療法として広まる中、ボトックス注射は、ED治療薬の無効例に対して新たな選択肢として研究されています。しかし、現時点では標準治療ではなく、効果や安全性についてはまだ十分な科学的根拠がありません。この記事では、ボトックス注射のメカニズムや臨床研究の結果、ガイドラインでの位置づけについて詳しく解説します。興味のある方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
レノーヴァRENOVAなどの体外衝撃波療法はED治療に有用なのでしょうか?
ED治療における体外衝撃波療法の立ち位置

最近、体外衝撃波療法によるED治療が話題を集めていますが、その実際の効果はどうなのでしょうか?患者満足度は高いとする報告もありますが、勃起機能の改善幅は小さく、結果に乖離が認められる場合もあります。さらに、アメリカでは未承認であり、治療法としての位置づけも各国で異なります。そのため、池袋スカイクリニックでは、体外衝撃波療法には慎重な立場をとっています。ED治療薬が効かない方のための特効薬ではないことを理解する必要があります。詳しくは、本文をご覧ください。

Read More »
慢性副鼻腔炎を有す男性は、EDのリスクが1.5倍あります
慢性副鼻腔炎とEDの関係

慢性副鼻腔炎とED(勃起不全)の関係についての研究が進んでいます。慢性副鼻腔炎を抱える患者は、EDのリスクが1.51倍高いことが示されています。これらの疾患は一見無関係に思えますが、慢性炎症が全身に影響を及ぼし、EDの原因となる可能性があるのです。鼻づまりによる低酸素状態や生活の質の低下も、性欲に影響を与える要因として考えられています。興味のある方は、ぜひ詳細を読み進めてみてください。

Read More »