日本人男性とCOVID-19後遺症としてのEDの経過|池袋スカイクリニック

日本人男性とCOVID-19後遺症としてのEDの経過

池袋スカイクリニック

日本人男性とCOVID-19後遺症としてのEDの経過

2026年2月13日

Table of Contents

日本人を対象としたコロナ感染後遺症の調査

新型コロナウイルス(COVID-19)の後遺症として、世界各国からEDの報告が相次ぎました。

EDは、短期的に回復するとするものから、長期に継続するとする報告もあります。

新型コロナウイルス感染症は、その経過と予後に人種差があるため、後遺症としてのEDが、アジア人(とりわけ日本人)において、どのような経過を辿るのか、知りたいところでした。

この報告は、日本で実施された、長期的かつ包括的な、新型コロナウイルス感染症罹患後の症状についての調査CORES II (COVID-19 Recovery Study II)の二次解析によるものです。

日本人の為のエビデンス(科学的根拠)とも言えます。

勃起不全(ED)の頻度と関連要因

日本におけるCOVID‑19で入院した患者(2021年3~9月初感染)を対象に、感染後1年〜2年にわたる勃起不全(ED)の頻度と関連要因が評価されています。

対象は609名の男性。年齢の中央値は56歳。

ちなみにですが、この調査では、調査開始時のEDの有無については、評価されていません。

609名のうち116名(19.0%)が感染後1年または2年でEDを経験

1年後の調査では、86人の回答者がEDの症状を報告し、2年後の調査では70人の回答者がEDの症状を報告しています。また、40人が1年後および2年後の調査で、継続してEDだったとしています。

79人(68.1%)の被験者がCOVID-19感染から28日以内にEDを発症したと報告し、6人(4.3%)がCOVID-19感染後2〜5か月後にED症状を発症しています。

被験者30人(25.2%)が2年後の調査で、初めてED症状を報告しています。つまり、感染後1年以上経過してからEDを自覚しています。

およそ半数は2年後もEDが改善せず

ED患者116人のうち、25%にあたる29人が2年間の研究期間中にED症状の改善を示しています。

そのうちの約半数(15人)が1ヶ月以内にED症状の改善しています。

しかし、57人の患者(49.1%)は、感染後2年の時点でEDの明らかな改善が認められなかったとしています。

(残り30人は追跡できず)

関連要因と精神面の関連性

EDを認める例では、自己の回復実感が低く、息切れや疲労のスコアが高い傾向を認めています。

さらに、うつ傾向があり、痛み/不快感、および、不安/抑うつ、の項目も悪化していたとしています。

睡眠障害との関連性が示唆されていますが、感染の重症度、再感染、ワクチン接種回数、抗ウイルス治療との関連は観察されなかったとしています。

精神的・生活の質の影響が強い

この調査では、調査開始時のEDの有無については、評価されていません。

しかし、年代別のEDの有病率と比較すると、新型コロナウイルス感染後に、後遺症としてEDが発症することは明らかです。

一般的に考えられている、EDのリスク因子(年齢・喫煙・生活習慣病など)とは関連せず、むしろ精神的・生活の質の側面による影響が顕著であることが特徴的であるとしています。

こういったケースでは、精神的なケアや睡眠マネジメントが重要ではないかとしています。

Prevalence of erectile dysfunction as long-COVID symptom in hospitalized Japanese patients

Sci Rep. 2025 Feb 21;15(1):6279.

DOI: 10.1038/s41598-025-88904-6

【ED】に関する最近の記事

有酸素運動はEDを改善するため、習慣的に運動を行う必要がある
有酸素運動はEDを改善する

有酸素運動を行うことで男性の勃起機能を改善することが、多くの研究で示されています。運動習慣は、国際勃起機能スコア勃起機能ドメインを平均2.8ポイント改善します。特に重症例ほど効果が大きいとされ、その効果はED治療薬に匹敵します。運動によって、陰茎の血流が改善する、男性ホルモンであるテストステロンが増加する、様々なストレスを発散しうることが、主なメカニズムとされます。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
抗精神病薬の副作用として体重増加がありますが、ガイドラインにてメトホルミンによる予防が推奨
抗精神病薬による体重増加予防にメトホルミン

現代人は、ストレスにさらされる中で、うつ病や双極性障害、不安障害などの精神疾患が増加しています。抗精神病薬による治療が進む一方で、体重増加や健康障害のリスクも高まっています。特に、オランザピンやクロザピンなどの高リスク薬では、体重増加が顕著です。そこで、メトホルミンが抗精神病薬誘発性体重増加の予防に有効であることが、最新のガイドラインで推奨されています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
タダラフィルの血管拡張作用は脳小血管病を改善しうるのか?
脳小血管病に対するタダラフィルの治療効果について

脳小血管病は、脳血管性認知症の一因とされ、その予防と治療法に関心が高まっています。皮質下の脳梗塞または虚血であり、隠れ脳梗塞のげんいんでもあります。ED治療薬であるタダラフィルは、血管を拡張し血流を増加させます。このような作用を持つことから、脳血流を改善し、脳小血管病に効果があるのかを検討した研究があります。この研究の結果や、今後の可能性についてご紹介します。

Read More »
タバコはEDの原因の一つであり、その喫煙の累積によりEDの程度は悪化する
タバコ本数と喫煙年数とEDの関係

タバコがED(勃起不全)の原因となる可能性があることをご存知ですか?日本人男性の4人に1人が喫煙者であり、タバコの健康への影響は広く知られていますが、EDの原因にも成りえます。ボストン市で行われた疫学調査では、喫煙量がEDのリスクを68%も増加させることが示されています。喫煙の累積量とEDの間に、興味深い知見が得られています。タバコの影響を理解し、健康的な未来を考えてみませんか?

Read More »
冷え性のある男性はEDのリスクが1.4倍高いとする報告があります。
冷え性の人はED勃起不全が多い?!

冷え性とED(勃起不全)の関係についての興味深い研究が台湾から報告されました。手調査結果によれば、冷え性の男性はEDのリスクが約1.4倍高いことが示されています。足の冷え性は、自律神経や血管内皮機能の低下と関連しており、EDもまた自律神経や血管内皮障害と関係しています。冷え性とEDには、因果関係はあるのでしょうか?

Read More »
大腸憩室症を有す方はEDの有病率が上昇するとの報告があります。
大腸憩室とED勃起不全の関係

大腸憩室症とED(勃起不全)の関係についての研究報告があります。大腸憩室を持つ例は、EDのリスクが56%も増加することが示されています。その因果関係の断定には至っておりませんが、背景として共通の危険因子が潜んでいる可能性があります。また、最近ではEDと慢性炎症の関係が注目されており、大腸憩室例がEDを発症するメカニズムとして、腸管の慢性炎症も、可能性として挙げられています。

Read More »