日本人肥満例に対するマンジャロの安全性|池袋スカイクリニック

日本人肥満例に対するマンジャロの安全性

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日本人肥満例に対するマンジャロの安全性

2026年11月7日

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マンジャロの日本人肥満症のためのエビデンス

日本国内で処方される医薬品は、欧米諸国で開発されたものが多く含まれます。また、欧米諸国で開発された薬剤が実際に日本国内で処方可能となるのは、欧米諸国で認可されてから、数年を要すこともしばしばです。 市販された薬剤の市販後データの多くも、欧米人を対象としたものが中心であり、日本やアジア諸国のデータが蓄積されるのも、また、遅れます。

糖尿病治療薬あるいは肥満症治療薬であるチルゼパチド(マンジャロあるいはゼップバウンド)は、国際試験で大きな減量効果と高い安全性が示されていましたが、日本人の参加者は限られていました。 当初は不足していた日本人やアジア人のためのエビデンス科学的根拠ですが、徐々に、蓄積されつつあります。

ネットニュースなどで取り上げられることも多いマンジャロのダイエット使用ですが、ここでは、日本人肥満症例がマンジャロを使用した場合の、安全性や効果に関する研究報告をご紹介いたします(主に安全性について)。

報告は一般名であるチルゼパチドで記載されていますが、ここでは馴染みの有る「マンジャロ」として記載を勧めます。

日本人の研究データの必要性

人種により、疾患のリスクや薬剤の効果が異なることが知られています。例えばですが、肥満に伴う健康障害は、BMIが同じでも、人種や体脂肪の付き方によってリスクが異なるとされ、日本人では比較的低いBMIでも、内臓脂肪の蓄積や耐糖能異常、脂質異常などが問題になることがあります。 日本肥満学会ではBMI25以上を肥満と定義しし、これに関連する健康障害や内臓脂肪蓄積などを考慮して肥満症と診断するとしています。 これに対し、WHO世界保健機構の基準では、BMI30以上を肥満とし、BMI25以上〜30未満を過体重としており、日本の基準とは異なります。 つまり、日本では、欧米諸国と比較し、肥満症のリスクが異なります。これも人種差の一つであると言えます。 マンジャロの使用容量が異なってくる可能性や、副作用発現が異なってくる可能性も考慮しないとなりません。 そのためにも、日本人におけるマンジャロの様々なデータやエビデンス(科学的根拠)が必要となります。

日本人肥満例を対象としたマンジャロの二重盲検試験

対象は、

  • BMI 27以上で、肥満に関連する健康障害が2つ以上
  • BMI 35以上で、肥満に関連する健康障害が1つ以上

の、糖尿病の無い日本人肥満例225人。平均年齢50.8歳。男女比59:41。平均体重92.0kg(平均BMI33.5)。健康障害として、耐糖能異常例64%、高トリグリセリド血症例56%、肝臓への脂肪蓄積例97%が含まれています。

この対象者を、3群(マンジャロ10mg群、マンジャロ15mg群、プラセボ群)にランダムに振り分け、二重盲検とし、72週間フォローされています。

各群は、食事のカロリーを抑え、身体活動を増やす生活習慣への介入を受けています。したがって、この試験で検証されたのは、生活習慣の改善にマンジャロを追加した場合の効果になります。

マンジャロの投与量は、2.5mgから開始し、4週間ごとに2.5mgずつ増量して、割り付けられた用量に到達させています(一般的な増量スケジュールと同様です)。到達容量であるマンジャロ10mgと15mgは、どちらかというと高用量になります。後述いたしますが、より一般的な用量で使用した場合は、減量効果や副作用発現は低いものとなります。

マンジャロの主な副作用は胃腸障害

主だった副作用を下記に示します(全参加者を合わせた発現割合が5%以上)。

治験薬との関連があると判断された有害事象(副作用)は、マンジャロ10mg群41人(56%)、15mg群49人(64%)、プラセボ群8人(11%)となっています。今までの研究報告と同様、消化器系の副作用が中心となっています。

有害事象 10 mg群 15 mg群 プラセボ群
便秘 12人(16%) 21人(27%) 5人(7%)
吐き気 10人(14%) 18人(23%) 3人(4%)
下痢 9人(12%) 7人(9%) 3人(4%)
嘔吐 5人(7%) 9人(12%) 3人(4%)
食欲低下 9人(12%) 6人(8%) 1人(1%)
腹部不快感 5人(7%) 4人(5%) 0人

ちなみに、マンジャロによる本研究の中断理由として、「吐き気」が最多となっています。高用量であることが、副作用の程度を増悪させている可能性もあります。

その他、COVID-19や発熱、様々な感染症、各種がんなど、マンジャロによる副作用では無いと考えられるものの、経過中に発生した有害事象として報告もされています。

一般的なダイエット診療では、マンジャロ2.5mg〜5mgを使用することが多いため、上記で示した副作用頻度よりも、より低率である印象がございます。

マンジャロによる重篤な副作用

マンジャロとの因果関係を考慮しなかった場合、COVID-19、胃腸炎、脳梗塞、裂孔原性網膜剥離、脳幹梗塞、細菌性肺炎、大腸ポリープ、前立腺がん、子宮がん、急性腎盂腎炎、虫垂炎、急性腎障害、子宮内膜腺がん、食道がん、慢性中耳炎、急性心筋梗塞、前立腺肥大症、体位性めまい、などが重篤な有害事象(すべてが副作用では無い)として、報告されています。

いずれも、独立行政法人医薬品医療機器総合機構PMDAの審査報告書では、いずれの重篤な有害事象も、マンジャロによる副作用とは判断されなかったと記載されています。

過去には、急性膵炎、膵臓がん、甲状腺がんなどとマンジャロの因果関係を指摘する報告もありましたが、最近の報告では、いずれも否定的とする報告が多くなっています。

胆道系疾患は、因果関係が有るとする報告と無いとする報告があり、結論が得られていませんが、因果関係があったとしても、非常に弱い因果関係と推測されます。

本研究では、急性膵炎は0例、胆石は、マンジャロ15mg群で1例報告されています。

死亡例の報告は、ございません。

つまり、マンジャロによる重篤な副作用は、認められなかったことになります。

マンジャロによるダイエット効果

群 72週時の平均体重変化率
チルゼパチド10 mg −17.8%
チルゼパチド15 mg −22.7%
プラセボ −1.7%

対象が平均体重92.0kg(平均BMI33.5)と中等度の肥満例であり、マンジャロの使用量が10mg〜15mgと、比較的、高容量であることには、留意すべきではありますが、良好な減量効果が得られています。

正しく理解した上でダイエット治療を行って下さい

昨今、風当たりの強い肥満治療薬であるマンジャロですが、その矛先の一つが「副作用リスクの有る薬剤を、安易にダイエットに利用してよいのか」というものだと思います。

  • 「肥満例」と、それに脂質異常症などの健康障害が加わった「肥満症例」とで、マンジャロを使用した場合に、副作用の違いを生み出すのか?
  • 正常BMIの「糖尿病例」と、正常BMI例の「非糖尿病例」と比較した場合、糖尿病の有無が副作用の違いに繋がるのか?

これらを研究した報告はありません。

ここで紹介した研究報告も、対象は肥満症あるいはBMI35以上の肥満例です。この報告を持って、マンジャロをダイエットに使用することについて、安全であると言うつもりもありません。

WHO世界保健機関は、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」としています。 つまり、体重や検査結果が正常だからといって、健康であるとは言い切れません。

もし、ご自身の体重に関して悩みを抱えているのであれば、ご相談されても良いと思います。 体重に関して、誤った認識を持っていた場合、それを正すきっかけになる場合もございます。

ただし、知識を持った医師から説明を聞き、正しい使用法と安全性についての理解は必須です。

米国におけるGLP-1受容体作動薬の使用頻度

最後に、アメリカでのマンジャロなどのGLP-1受容体作動薬の使用調査報告を、ご紹介いたします。

KFF調査は、米国の非営利団体「KFF」が実施している、医療や健康に関する世論調査ですが、それによると、2025年のGLP-1関連薬の使用率の報告では、全米成人の約12%が現在使用中であり、約18%が使用経験(現在あるいは過去)があると答えています。

Gallup(ギャラップ)は、米国の民間調査会社です。 世論調査でよく知られており、選挙や政治のほか、健康、生活、働き方などについて調査しています。Gallupによる2026年に行われた米国成人へのインターネット調査では、約11%が減量目的のためにGLP-1関連薬を現在使用中と答えています。

日本とは肥満率の違いが有るとは言え、非常に高い使用率です。自身で責任を持つ意識が高いのも、普及している理由かもしれません。

参照


Efficacy and safety of once-weekly tirzepatide in Japanese patients with obesity disease (SURMOUNT-J): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial

Lancet Diabetes Endocrinol.2025 May;13(5):384-396.

DOI: 10.1016/S2213-8587(24)00377-2


独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)

ゼップバウンド肥満症承認時の審査報告書・日本語版PDF


KFF

Poll: 1 in 8 Adults Say They Are Currently Taking a GLP-1 Drug for Weight Loss, Diabetes or Another Condition, Even as Half Say the Drugs Are Difficult to Afford


GALLUP

In U.S., GLP-1 Usage Reaches New High

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