脱毛症とセマグルチド(オゼンピックとリベルサス)|池袋スカイクリニック

脱毛症とセマグルチド(オゼンピックとリベルサス)

池袋スカイクリニック

脱毛症とセマグルチド(オゼンピックとリベルサス)

2026年2月13日

Table of Contents

セマグルチドによる脱毛症のリスク

GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(

リベルサス

あるいはオゼンピック)は、2型糖尿病患者の血糖コントロールに有用であり、加えて、大幅な体重減少を期待できるため、臨床の現場では、非常に有用な薬剤であると認識されています。さらに、心血管疾患の発症を抑制するなど、このグループの薬剤の重要性は増しています。

比較的、新しいタイプの薬剤になりますが、徐々ににはなりますが、内科的な副作用報告の蓄積が進んできています。

しかし、新たな知見として、その潜在的な皮膚学的な副作用、特に脱毛または脱毛症について懸念されています。

最近の研究報告では、この潜在的な脱毛症のリスクなど、見過ごされている副作用に脚光が当たり始めています。

FAERSによる脱毛症の副作用報告

アメリカ食品医薬品局FDAの有害事象報告システム(FAERS)

には、因果関係は定かではありませんが、オゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬による、脱毛症の副作用報告が上がってきています。それによると、2022年から2023年の間に、セマグルチドおよびその他のGLP-1およびGIP/GLP-1アゴニストに関連する脱毛症の199件の報告があったとしています。

特に、GLP-1受容体作動薬の中でも、より効果の高い、セマグルチド(オゼンピックやリベルサス)とチルゼパチド(マンジャロなど)の使用に伴う脱毛症の頻度が高い傾向にあることが示されています。

しかし、報告があるというだけでは、因果関係は、この報告だけでは特定できません。

急激なダイエットが休止期脱毛症を誘発している?

現時点では、GLP-1受容体作動薬が、なぜ脱毛症を引き起こすか、詳細なメカニズムはわかっていません。

推測としては、体重が急激に落ちると、鉄、亜鉛、ビタミンD、ビオチンなどの微量栄養素やタンパク質が不足しやすくなります。これらの不足は、休止期脱毛症(telogen effluvium)を引き起こすことが知られています。つまり、薬剤が原因ではなく、急激なダイエットが原因とする考え方です。

さらに、内分泌(ホルモン)バランスの乱れ、特にGLP-1受容体アゴニストによる

甲状腺ホルモン

への影響は、ヘアサイクルに悪影響を及ぼす可能性があるとされています。健康な毛包機能を維持する上、微妙なホルモンの不均衡でさえ、脱毛に有意に寄与する可能性があります。

ダイエットに関係なく、

女性の脱毛症

の一部には、食事のバランスが悪いことを原因とする、休止期脱毛症例が含まれている印象があります。

ダイエットと脱毛症のメンタルへの影響

GLP-1ダイエットを開始する上で、肉体的な健康の問題だけでなく、美容上、もう少し言うならば、心理社会的要因が、治療開始のきっかけになることがあると思います。そうであるならば、脱毛症のリスクは考慮すべき事柄になります。

脱毛は、しばしば重大な精神的苦痛を伴い、自尊心、精神的健康、そして全体的な生活の質に悪影響を及ぼします。

このような影響を考慮に入れた、ダイエット計画が大切になります。

無理のない継続可能なダイエットを心がける

まとめるならば、現時点では、GLP-1ダイエットと脱毛症の関連はありそうだが、因果関係は定まっていないとなります。

脱毛症の原因が、急激なダイエットによる栄養バランスやホルモンバランスの乱れにあることは、想像に難くないです。

男性であればEDであったり、女性であれば生理不順の原因にもなります。

仮に、ダイエット中であったとしても、過度なカロリー制限は行わず、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

特に、GLP-1ダイエットを行っている場合は、食欲が抑制できるので、食事のバランスが乱れがちです。

池袋スカイクリニックでは、極端なダイエットはオススメしておりません。マイナス2~3kg/月が良いところではないでしょうか?

Alopecia and Semaglutide: Connecting the Dots for Patient Safety

J Cosmet Dermatol. 2025 Mar;24(3)

DOI: 10.1111/jocd.70125

【GLP-1ダイエット】に関する最近の記事

抗精神病薬の副作用として体重増加がありますが、ガイドラインにてメトホルミンによる予防が推奨
抗精神病薬による体重増加予防にメトホルミン

現代人は、ストレスにさらされる中で、うつ病や双極性障害、不安障害などの精神疾患が増加しています。抗精神病薬による治療が進む一方で、体重増加や健康障害のリスクも高まっています。特に、オランザピンやクロザピンなどの高リスク薬では、体重増加が顕著です。そこで、メトホルミンが抗精神病薬誘発性体重増加の予防に有効であることが、最新のガイドラインで推奨されています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
タダラフィルの血管拡張作用は脳小血管病を改善しうるのか?
脳小血管病に対するタダラフィルの治療効果について

脳小血管病は、脳血管性認知症の一因とされ、その予防と治療法に関心が高まっています。皮質下の脳梗塞または虚血であり、隠れ脳梗塞のげんいんでもあります。ED治療薬であるタダラフィルは、血管を拡張し血流を増加させます。このような作用を持つことから、脳血流を改善し、脳小血管病に効果があるのかを検討した研究があります。この研究の結果や、今後の可能性についてご紹介します。

Read More »
タバコはEDの原因の一つであり、その喫煙の累積によりEDの程度は悪化する
タバコ本数と喫煙年数とEDの関係

タバコがED(勃起不全)の原因となる可能性があることをご存知ですか?日本人男性の4人に1人が喫煙者であり、タバコの健康への影響は広く知られていますが、EDの原因にも成りえます。ボストン市で行われた疫学調査では、喫煙量がEDのリスクを68%も増加させることが示されています。喫煙の累積量とEDの間に、興味深い知見が得られています。タバコの影響を理解し、健康的な未来を考えてみませんか?

Read More »
冷え性のある男性はEDのリスクが1.4倍高いとする報告があります。
冷え性の人はED勃起不全が多い?!

冷え性とED(勃起不全)の関係についての興味深い研究が台湾から報告されました。手調査結果によれば、冷え性の男性はEDのリスクが約1.4倍高いことが示されています。足の冷え性は、自律神経や血管内皮機能の低下と関連しており、EDもまた自律神経や血管内皮障害と関係しています。冷え性とEDには、因果関係はあるのでしょうか?

Read More »
大腸憩室症を有す方はEDの有病率が上昇するとの報告があります。
大腸憩室とED勃起不全の関係

大腸憩室症とED(勃起不全)の関係についての研究報告があります。大腸憩室を持つ例は、EDのリスクが56%も増加することが示されています。その因果関係の断定には至っておりませんが、背景として共通の危険因子が潜んでいる可能性があります。また、最近ではEDと慢性炎症の関係が注目されており、大腸憩室例がEDを発症するメカニズムとして、腸管の慢性炎症も、可能性として挙げられています。

Read More »
ED治療薬であるタダラフィルは、脳血流を改善し、軽度認知機能障害を改善する可能性が指摘されている
認知障害におけるED薬タダラフィルの可能性

低用量タダラフィル5mgが認知機能を改善する可能性を指摘する研究報告があります。ED治療薬として知られるタダラフィルは、そのユニークな作用機序から、勃起改善作用以外の治療効果にも注目されています。タダラフィルは、アンチエイジングのために利用されることもありますが、認知機能障害に対する効果は、その一つとも言えます。50〜75歳の男性を対象にした研究では、8週間の服用で認知機能や脳血流の改善が示されています。

Read More »