「ユリーフ」。(キッセイ-第一三共)
前立腺肥大症の内服治療薬。シロドシンSilodosinを成分とする、α遮断薬に分類される前立腺肥大治療薬です。
特にユリーフは、α1A選択性が高く、選択的α1A遮断薬と言えます。
ユリーフは、尿路平滑筋に作用し、尿路を弛緩させることにより、前立腺肥大症の排尿困難を改善いたします。
半減期が短いため、1日2回の服用になります。
主な副作用は、立ちくらみ(起立性低血圧)です。これは、α遮断薬に分類される前立腺肥大治療薬全てに共通な副作用です。
ユリーフの作用するα受容体は、尿路以外にも、血管平滑筋に作用し、これを拡張する作用があるためです。
そのほかにも、副作用として射精障害をきたすことがあります(頻度不明)。もし、ユリーフの服用後に、射精障害を自覚した場合は、主治医と相談してみてください。
(その他副作用は割愛致します)
射精障害の機序ですが、ユリーフにより精嚢腺にあるα1A受容体を阻害することにより、精嚢・精管の収縮障害により射精障害が生じると考えられております。
逆行性射精となる場合もございます。
気になるバイアグラ、レビトラ、
シアリスとの併用ですが、併用注意とされております(禁忌ではありません)。
勃起薬とユリーフの併用に注意する理由ですが、副作用として立ちくらみ(起立性低血圧)が増悪する可能性があるからです。
これは、ED治療薬にも血管拡張作用があり、相互作用で、より血管を拡張させるためです。
しかし、これを気をつけていただければ、併用可能ですので、是非、ご相談ください。
また、前立腺肥大症は、EDのリスクファクターの一つに数えられております。 これを治療することにより、EDが改善する可能性がございます
ジェネリック医薬品は、2016年10月現在市販されておりません。
追加事項です。
ユリーフに早漏症の治療効果が指摘されました。
ユリーフは、α遮断薬に分類されますが、他のα遮断薬に属する薬剤に比較し、特にユリーフに顕著だとのことです。
ユリーフ4mgを性行為セックスの2時間前に服用することにより、平均射精時間が3.4分から10.1分に延長したとのことです。
副作用は、無射精症、精液量の減少、オーガズム時の違和感です。全身性の大きな副作用は認められていません。
副作用は有りますが、被験者によれば早漏症に対する効果に比べれば、十分に許容範囲だったとのことです。
他にも、プリリジー(ダポキセチン)で効果が得られなかった早漏症にユリーフが効果があったとする報告などもございます。
ユリーフ(シロドシン)は尿道および膀胱三角部のα1受容体を遮断し、
射精反射
のうち、脊髄射精反射を抑制いたします。
これにって、早漏改善効果を示します。
「フリバス」。(旭化成ファーマ株式会社)
フリバスもユリーフ同様で、α遮断薬に属する前立腺肥大症治療薬です。成分はナフトピジルNaftopidil。
ユリーフとの違いは、α1D選択性が高く、選択的α1D遮断薬と言えます(ユリーフはα1A選択)。
基本的には、ユリーフとフリバスは、同様の薬剤ですが、フリバスがα1D選択性が高いため、ユリーフと使い分ける場合があります。
ユリーフが排尿障害中心に症状を改善するのに対し、フリバスは、膀胱過敏性が認められる患者に処方いたします。
もう少し具体的に言うと、急に尿意を催す場合や夜間の頻尿が多い場合などです。
副作用等もほぼ同様です。
フリバスでも副作用として射精障害を認めることがございますが、その頻度は、ユリーフの1/10以下との報告もあります。
ED治療薬との併用は可能ですが、やはり副作用の起立性低血圧の注意が必要です。
フリバスは、半減期が長いため、1日1回の服用でよく、1回25mgから、症状に応じ75mgまで増量可能です。
口腔内崩壊錠であるフリバスODも市販されております。
ジェネリック医薬品は、2012年8月現在、市販されておりません。
「ハルナール」。(アステラス製薬)
ハルナールは、ユリーフ、フリバス同様で、α遮断薬に属する前立腺肥大症治療薬です。成分はタムスロシンTamusulosinです。
ユリーフ、フリバスの中間的な薬剤と考えてください。これら3剤で最も早く市販されており、効果も良好なため、定番中の定番薬です。
α1Aとα1Dともに作用いたします。
ED薬との併用も可能ですが、やはり、前2者と同様に、副作用の起立性低血圧、立ちくらみに注意が必要です。
半減期が長いため、ユリーフが1日2回の服用が必要なのに対し、ハルナールは、1日1回の服用となっています。
口腔内崩壊錠であるハルナールDも市販されております。
適応外となりますが、ハルナールは、神経因性膀胱や、尿管結石排出促進に用いられることもあります。
副作用は、ユリーフ、フリバスと同様です。
射精障害の副作用報告は、フリバス同様低率です。
現在、多数のジェネリック医薬品が市販されています。
ウロスロール、塩酸タムスロシン、タムスロシン塩酸塩、タムスロン、ハラナシン、ハルスロー、ハルタム、パルナック、ハルリーブ、ハロネロール、リストリーム等です。
written by レビトラを池袋で.池袋スカイクリニック(東京)