アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性|池袋スカイクリニック

アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

池袋スカイクリニック

アルコール依存性にマンジャロやオゼンピックが有効である可能性

2026年2月13日

Table of Contents

アルコール使用障害(依存症)にGLP-1ダイエット治療薬が有効である可能性

アルコール使用障害(日本ではアルコール依存症の方が病名として普及)は、慢性再発性の脳障害として捉えられています。

本邦でも、アイドルグループのメンバーが飲酒運転事故からアルコール依存症であると診断され、話題になったりもしています。

単に禁欲的に飲酒の欲求を抑制しようとした場合、多くは再発するとされていますが、飲酒欲をコントロールすることが、治療の成否に関わってもいます。

アルコール依存症の治療薬はあるものの、決め手となるような薬剤ではなく、リハビリテーションを含め、根気強く治療を行う必要があります。

そこで、最近注目されているのが、ダイエット/糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬です。

ここでは、マンジャロとオゼンピックが、アルコール依存症に有効である可能性を示唆する研究報告をご紹介します。

今どきではありますがSNSの掲示板(Reddit)を利用した調査と、153名の聞き取り調査の2本立てとなっています。

SNSの掲示板(Reddit)を利用したアルコールとGLP-1受容体作動薬の調査

最近、SNSを利用した研究報告が散見されます。

詳細は割愛しますが、簡単に申しますと、SNSに記載されているテキストの単語を解析し、内容であったり傾向を解析しています。テキストマイニングと言った方が伝わりやすいかもしれません。

本研究では、掲示板型のSNSであるRedditにおいて、GLP-1受容体作動薬またはGLP-1/GIP受容体作動薬に関連する約68,250件の投稿を機械学習ベースで記録し、調査しています。

そこでは、アルコール・飲酒が主題となることはありませんが、話の流れの中で、GLP-1受容体作動薬による飲酒量の減少や飲酒欲求の低下が取り上げられていたとしています。

アルコール関連の投稿は962人1580件、その投稿の70%には、GLP-1受容体作動薬による飲酒欲求の低下や実際の飲酒量の減少、あるいは、飲酒によって生じる体への影響など、負の影響が記載されていたとしています。

時系列で見た場合、感謝や肯定的な感情が正の相関を示し、増加傾向であったとしています。

さらに、時間経過とともに、その効果ではなく、実際に使用する用量であったり、入手方法や保険での薬剤処方に話題が遷移していったとしています。

簡単にまとめると、アルコール欲求の低下や飲酒量の減少を実感できたため、その次の段階、より効果を出すための用量であったり、継続するための手段に話題が移ったと言えます。

アルコールとGLP-1受容体作動薬に関する153名の聞き取り調査

SNSで募り、参加した153名が対象となっております。 GLP-1受容体作動薬の使用量の平均は、チルゼパチド(マンジャロ)7.5mg、セマグルチド(オゼンピックまたはウゴービ)1mg、セマグルチド内服(リベルサス7mgまたは14mg:各1名)。 BMI35程度の40歳未満の白人女性の参加者が多数を占めています。

この研究では、チルゼパチドやセマグルチドといった薬物群では、対照群と比較して、平均飲酒量と大量飲酒の確率が著しく低かったとしています。 アルコール使用障害(依存症)同定テストの結果も改善(スコア低下)を示しています。 さらに、アルコールの刺激作用および鎮静作用ともに、GLP-1受容体作動薬により、減弱していたとしています。 簡単に言うと、アルコールによる酔い(酩酊作用)が減弱する可能性を示しています。

中枢性の作用と胃排出抑制作用が関与?

現時点では、GLP-1受容体作動薬のアルコール摂取抑制に対するメカニズムは不明です。

脳に対する直接的な作用を指摘する研究もありますし、胃の排泄を遅延させることが満腹感に繋がり、飲酒量の抑制に繋がると考える研究者もいます。

まだまだ課題は多い

本研究報告は、基本的には自己報告の形式をとっているため、その点、バイアスが生じている可能性は否定できません。また、聞き取り調査の対象が、白人女性に偏っていたため、人種差の評価ができていません。 さらには、肥満例が対象であったため、正常体重例では、どのような結果になったのかもわかりません。

重度のアルコール依存症例では、栄養バランスの悪化等により低体重をきたしている場合もあります。この場合、GLP-1受容体作動薬のダイエット作用・体重への影響も無視できません。

飲酒が過体重の原因となっている例に適している可能性

現時点では、飲酒量の減少は、副次的な効果と考えるに止めた方が良いと思われます。

しかし、例えばですが、飲酒と、それに伴う食事が肥満の原因と考えるのであれば、GLP-1ダイエットは、非常に有力な治療手段となります。

多くの患者様から、マンジャロやリベルサスを使用することで、食事摂取量が減ったことはもちろん、飲酒量が減った、飲酒の欲求が減ったと言った、ご意見を頂いております。

今までの経験から、GLP-1受容体作動薬は、食事と飲酒含めて、トータルのカロリーとしての飲食が減ることは間違いないと感じております。

Semaglutide and Tirzepatide reduce alcohol consumption in individuals with obesity

Sci Rep. 2023 Nov 28;13:20998.

doi: 10.1038/s41598-023-48267-2

【GLP-1ダイエット】に関する最近の記事

糖尿病治療薬であるピオグリタゾンはシルデナフィルが無効のEDの勃起機能を改善する
シルデナフィル無効ED例におけるピオグリタゾンの効果

シルデナフィルが無効な勃起不全(ED)に対して、ピオグリタゾンがどのように効果を示すのか、興味深い研究結果が報告されています。ED治療薬が無効だった場合、治療の選択肢が限られます。この研究では、ピオグリタゾンが勃起機能を改善する可能性が示唆されています。

Read More »
オゼンピックによるGLP-1ダイエット中に円形脱毛症が発症としたとするケースレポート
ダイエットのためのオゼンピック治療後の円形脱毛症

オゼンピックによるダイエット治療中に、円形脱毛症が合併したとするケースレポートが報告されました。23歳の女性が、GLP-1ダイエット開始から3ヶ月後に円形脱毛症を発症しています。急速な体重減少が髪の健康に与える影響や、オゼンピックとの関連性についての考察がされています。

Read More »
日本人男性とCOVID-19後遺症としてのEDの経過

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として、勃起不全(ED)の発症が注目されています。日本人男性を対象にした調査では、感染後の精神的な要因が大きく影響していること推察されています。EDの改善が見られない患者も多く、精神的ケアや生活の質の向上が重要とされています。

Read More »
EDは新機能の指標の一つである拡張不全と関連する
EDは左心室拡張期機能障害と関連している

勃起不全(ED)は、心臓の拡張機能障害との関連が指摘されています。心不全は通常、収縮力の低下を想像させますが、実際には収縮機能が保たれた拡張不全を病態とする心不全も存在します。ここでは、EDと拡張不全の関係が研究報告されています。

Read More »
新型コロナウイルス後遺症としてEDが生じることが全世界から報告されている
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とED

新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの健康にさまざまな影響を及ぼしましたが、その中でも特に注目されているのが勃起不全(ED)です。男性ホルモンの減少や血管内皮細胞の障害、さらには心理的ストレスがEDの発症に関与していることが明らかになっています。

Read More »
マンジャロのダイエットの使用は、本当に危険なのでしょうか?
マンジャロはニュースになるほど危険な薬なのか?

マンジャロは、糖尿病治療薬として注目される一方で、ダイエット目的での使用に対して批判的な意見も多く存在します。特に、膵臓疾患や胆道疾患のリスクについての懸念が報じられていますが、実際の研究結果はどうなのでしょうか?本記事では、マンジャロの副作用やリスクについての最新の調査結果を詳しく解説し、ダイエット治療におけるその位置づけを考察します。あなたの健康管理に役立てて下さい。

Read More »