高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性|池袋スカイクリニック

高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

池袋スカイクリニック

高血圧治療中患者におけるタダラフィルの安全性

2026年2月13日

Table of Contents

高血圧治療中であってもED治療薬タダラフィルは安全に使用可能

日本人は、醤油や味噌など、塩分接種が多い食生活習慣を持つとされます。そのため、高血圧患者は多く、もし、高血圧を予防することができるのであれば、年間10万人の死亡を抑制できるとの推計もあります。 過去と比較すると、高血圧患者数は減少傾向にありますが、依然として、生活習慣病の中心となっています。

有病率が高いため、高血圧で治療中の患者さまからの、ご相談も多数ございます。 しっかりと血圧の治療を行っていただければ、ED治療薬の併用は可能なことがほとんどです。

ここでは、経験則では無く、降圧薬とタダラフィルの併用についてまとめられた研究報告をご紹介します。

高血圧や心臓疾患とEDは合併しやすい

心臓疾患は、血管の病気であり、その主な危険因子は、糖尿病や高血圧、脂質異常症、喫煙やメタボリック症候群などが挙げられます。

EDは、様々な原因で生じますが、陰茎の血管の病気という側面も持ち合わせています。

心疾患の存在や、その危険因子を有す場合は、すでにEDを合併していたり、将来のED発症リスクが高いことが知られています。 例えば、高血圧患者では、およそ7割にEDが合併しているとする報告もあります。

そのため、高血圧治療とED治療を、同時に行うケースが生じます。つまり、降圧薬とED治療薬の併用することになります。

タダラフィルによって血圧は上昇しない

多くの患者様が誤解されておりますが、タダラフィルによって血圧が上昇することは、ほとんどございません。

添付文書上においても、副作用として高血圧の記載はございません。

シルデナフィル、バルデナフィルでは、添付文書上、副作用として高血圧が記載されておりますが、薬理作用としては、血圧は低下すると考えられます。

ED治療薬は、血管拡張作用を有し、血管拡張から末梢血管抵抗の低下をきたし血圧を低下させます。

性行為は、性的興奮を伴うため、それにより血圧が上昇する可能性がございますが、基本的には、現在市販されているED治療薬は、血圧は低下する方向に働きます。 オーガズム時は、心拍数や血圧が上昇することが知られています。これも、ED治療薬の使用に関係のない、生理的な反応です。

タダラフィルは心血管イベントを増加させない

72件のフェーズ2〜4の臨床試験で、EDあるいは前立腺肥大症においてタダラフィルを必要時頓服、あるいは、定期服用例において、降圧薬の使用による低血圧関連副作用と重大な心血管イベントを評価しています。

対象者は全試験で22,825人、プラセボ対照試験に限ると15,030人となっています。

この解析では、タダラフィル服用群とプラセボ群(タダラフィルを服用していない群)と比較した場合、心筋梗塞や脳血管イベントなどの主要心血管イベント発生率に差は認めていません。

タダラフィルは、ほぼ血圧に影響しない

さらに、1種以上の降圧薬を服用している場合の低血圧関連副作用の発現に差は認められていません。

低血圧関連副作用は、降圧薬を服用しておらず、かつ、ED治療薬としてタダラフィルを頓服した群では、発生率は数%ではありますが、有意に増加したとしています。 副作用の内容は、めまいや起立性のめまい、軽度の低血圧などで、重篤な失神、ショック、重度の低血圧は生じていません。

タダラフィルの血圧低下幅は、平均でおおよそ1〜3mmHg 程度だったとしています。これによって、何らかの影響が生じるとは考えにくく、臨床的な意義は、ほぼ無視できると考察されています。

ちなみにですが、本解析では、血圧の具体的な測定値の記載がありません。記載されているのは、降圧薬の服薬数のみです。 降圧薬を服用していない群が、正常血圧だったとの記載は無く、また、高血圧無治療であったとの記載もありません。

無治療の高血圧例では、タダラフィルによる血圧の下がり幅が大きくなる

タダラフィルの添付文書を見ると、 『低血圧(血圧<90/50mmHg)又はコントロール不良の高血圧(安静時血圧>170/100mmHg)のある患者』 は、使用禁忌となっています。

これは、タダラフィルの血圧低下作用を懸念したものです。 低血圧患者では、より低血圧になり、副作用が生じやすくなることを危惧しています。

コントロール不良の高血圧例では、タダラフィルの血圧低下幅が大きくなることが知られています。 血圧の値が高ければ高いほど、血圧低下幅が大きくなります。つまり、高血圧コントロール不良例では、血圧低下による副作用が危惧されています。

高血圧例であっても、しっかり治療され、コントロールされた例であれば、問題なく、タダラフィルの使用が可能です。

このことは、シルデナフィルやバルデナフィルにおいても、基本的には共通の考え方になります。

ほとんど全ての降圧薬とタダラフィルは併用可能

タダラフィルと、本邦で使用可能な降圧薬は、一部の例外を除いて、ほぼ全て、併用可能です。

一部の例外は、ハイパジール(ニプラジロール)です。 この薬剤は、一酸化窒素(NO)を含むため、硝酸薬(ニトログリセリン系薬剤)でもあります。 降圧薬としての使用頻度の高い薬剤ではありませんが、注意が必要です。(注:ニプラジロールは緑内障の点眼薬でもあります。点眼薬に付きましては、ED治療薬との併用は問題ありません)

降圧薬の併用については、ご本人で判断せず、専門医師に尋ねていただくのが無難です。

血圧を治療してからED治療を行う

時々、ED治療薬と降圧薬を併用できないと思いこんでしまい、ED治療薬を継続したいがあまり、高血圧治療を受けない方がいらっしゃいます。

池袋スカイクリニックとしては、『高血圧の治療を行った上でED治療を行う』ことを、推奨しております。

先にも記載いたしましたが、降圧薬とタダラフィル含めED治療薬は、安全に併用可能です(例外を除く)。

逆に、高血圧を無治療で放置している場合のほうが、副作用が生じやすくなる場合もあります。

また、高血圧は、EDの原因となるため、やはり、治療していただくのが良いと考えます。

Analysis of integrated clinical safety data of tadalafil in patients receiving concomitant antihypertensive medications

J Clin Hypertens (Greenwich). 2022 Jan 1;24(2):167–178.

doi: 10.1111/jch.14435

【タダラフィル】に関する最近の記事

ED治療薬は因果関係は不明であるものの、心血管イベントと死亡リスクを低下させる
ED治療薬は心臓病と死亡リスクを低下させる

ED治療薬が心臓病や死亡リスクを低下させるという研究報告があります。約125万人のデータを解析したメタ解析では、ED治療薬の使用群は、因果関係不明ながらも、重大な心血管イベントのリスクが22%、全死亡リスクが30%も減少することが示されています。ここでは、ED治療薬(PDE5阻害剤)が、心臓に負担をかける危険な薬剤などといった、風評被害とも言えるイメージを払拭する一助になると思い解説しています。ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
肥満はEDの原因の一つであり、特に中等度以上のEDと関与している。BMIを確認しましょう。
肥満は中等度以上のEDと関与

肥満と勃起不全(ED)の関係についての研究は、多数報告されております。しかし、その多くが欧米人を対象としております。欧米人とアジア人では、肥満の程度と有病率が異なります。そのため、その結果を、アジア人に、そのまま当て嵌めてよいものか、疑問が生じます。ここでは、男性性機能外来を受診したアジア人(若年中国人)男性において、肥満とEDの関係を調査した研究報告をご紹介いたします。果たして、どのようなBMIが男性機能に影響を及ぼすのか?詳細をぜひご覧ください。

Read More »
タダラフィルは慢性炎症を改善し、アンチエイジング効果を発揮する可能性が有る
低用量タダラフィルは炎症マーカーを改善する

タダラフィルは、ED治療薬として知られるだけでなく、炎症マーカーを改善する可能性があることが注目されています。慢性炎症は老化を促進させる要因の一つであり、タダラフィルの服用がアンチエイジングに繋がるかもしれません。最近の研究では、タダラフィルが炎症マーカーを改善することが示され、シルデナフィルとの比較も行われました。この興味深い結果が、今後のアンチエイジング医療にどのような影響を与えるのか、ぜひご覧ください。

Read More »
シルデナフィルなどのED治療薬は大腸がん術後の死亡リスクと遠隔転移リスクを低下させる
大腸がん術後のED治療薬の使用は死亡と転移リスクを減少させる

大腸がん術後のED治療薬の使用が、死亡リスクや転移リスクを減少させる可能性があるという研究結果が報告されています。スウェーデンの全国データベースを基にした解析では、術後にED治療薬を使用した患者は、使用しなかった患者に比べて死亡リスクが18%低下し、転移リスクも15%減少したことが示されています。ED治療薬が術後の免疫力回復に寄与する可能性について言及されています。

Read More »
有酸素運動はEDを改善するため、習慣的に運動を行う必要がある
有酸素運動はEDを改善する

有酸素運動を行うことで男性の勃起機能を改善することが、多くの研究で示されています。運動習慣は、国際勃起機能スコア勃起機能ドメインを平均2.8ポイント改善します。特に重症例ほど効果が大きいとされ、その効果はED治療薬に匹敵します。運動によって、陰茎の血流が改善する、男性ホルモンであるテストステロンが増加する、様々なストレスを発散しうることが、主なメカニズムとされます。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
抗精神病薬の副作用として体重増加がありますが、ガイドラインにてメトホルミンによる予防が推奨
抗精神病薬による体重増加予防にメトホルミン

現代人は、ストレスにさらされる中で、うつ病や双極性障害、不安障害などの精神疾患が増加しています。抗精神病薬による治療が進む一方で、体重増加や健康障害のリスクも高まっています。特に、オランザピンやクロザピンなどの高リスク薬では、体重増加が顕著です。そこで、メトホルミンが抗精神病薬誘発性体重増加の予防に有効であることが、最新のガイドラインで推奨されています。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »