肥満は中等度以上のEDと関与|池袋スカイクリニック

肥満は中等度以上のEDと関与

池袋スカイクリニック

肥満は中等度以上のEDと関与

2026年7月12日

Table of Contents

肥満はEDの原因

肥満はEDの原因の一つであり、特に中等度以上のEDと関与している
BMI30以上のアジア人の肥満は、中等度以上のEDの原因となりうる

先進国における肥満の有病率は上昇傾向にあり、日本においても例外ではありません。 かねてから、肥満はEDの原因の一つと指摘されていますが、それを示唆するデータは、多くは欧米人を対象としたものでした。

世界保健機構WHOでは、欧米人での肥満をBMI(BMI値=体重(kg)÷(身長m×身長m))30以上と定義しているのに対し、日本肥満学会では、BMI25以上を肥満と定義し、高血圧や脂質異常症などの肥満に伴う11種の疾患のうち、1種以上併発している場合は、肥満症とし、治療の対象となります。

欧米人と比較しアジア人では、BMI30以上の肥満例は、比較的少ないため、欧米人でのデータを、そのまま、アジア人に当てはめることができない場合があります。

では、アジア人においては、どのレベルのBMIが、男性機能に影響を及ぼすのでしょうか? ここでは、中国人を対象とした、肥満とEDの研究報告を、ご紹介いたします。

中国の若年男性を対象としたED有病率の調査報告

2021年5月から2022年7月にかけて、中国科学技術大学第一附属病院の男性性機能外来通院中の878人の既婚男性が対象となっています。 平均年齢は、31.5歳。

国際勃起機能スコアIIEF-5によって評価され、ED群(IIEF-5スコア>21)と非EDグループ(IIEF-5スコア≦21)の2つのグループに分けられています。 ED群は、点数に応じ、重度(5~11)、中等度(12~16)、軽度(17~21)の3つのクラスに分けられています。

肥満は、BMIによって、<18.5(低体重)、18.5~23.9(正常体重)、24.0-28.9(過体重)、≥29(肥満)に分類されています。 本邦では、BMI25以上が肥満(1度)、30以上が肥満(2度)、35以上が高度肥満(肥満3度)となっており、過体重が1度肥満となっておりますが、概ね、同じBMIでクラス分けされています。

EDはBMI29以上の肥満例に多い

この研究報告に因ると、BMI29以上の肥満の男性は、非ED群よりもED群に属する可能性が高かったとしています(15.0%対8.2%、P=0.02)。様々な因子を勘案しても、肥満の場合、EDリスクが1.78倍になります(調整後OR1.78、95%CI=1.10-2.90、P=0.02)。 EDの重症度別に見ると、肥満と中等度以上のEDの関連は、さらに強く、EDリスクは2.51倍になります(調整後OR2.51、95%CI=1.24-5.09、P=0.01)。軽度EDにおいても、EDリスクは1.48倍となっています(調整後OR1.48、95%CI0.89-2.50、P=0.13)。

ちなみに、この研究報告中のEDの有症率は53.1%と高率ですが、男性性機能障害外来通院中の男性を対象にしているためです。 その中でも、肥満の男性のED有病率は67.3%であり、正常体重の有病率が51.1%と比較し、高率であったとしています。

過体重BMI25〜28.9ではEDリスクの増加はない

過体重(BMI24〜28.9)、日本で言うところの、凡そ肥満1度に該当する群では、標準体重群と比較し、統計学的に有意差は認められていません。 EDリスク上昇が明確だったのは、BMIが29以上の肥満群としています。

低体重群でEDリスクが高まる傾向(統計学的有意差なし)

BMIが18.5未満の低体重群では、軽度EDは1.15倍となっておりますが、これは、統計学的に有意差を認めていません。そのため、あくまで参考所見と捉えて下さい(調整後OR1.15、95%CI0.50-2.68、P=0.74)。 「低体重ではEDリスクがない」としているのではなく、低体重者の人数が少なく、統計学的検出力(statistical power)が不足していた可能性が考えられ、その判断は保留されています。

BMIの捉え方について

この研究報告では、BMI29以上でEDリスクの上昇を認めています。BMI30以上の割合は、アメリカでは40%を超えるのに対し、日本では約5%を占めるにとどまります。アジア人は、民族的に欧米人のような肥満には成りにくいとされます。肥満に成りにくいから安心と言うわけではなく、軽度の肥満でも、影響を受けやすいとされています。

世界保健機関WHOでは、BMI30以上を肥満と定義していますが、日本肥満学会では、BMI25以上を肥満と定義しています。これは、小柄で肥満を生じにくい日本人の民族差を考えてのことです。肥満と定義する以上、体重増加にまつわる様々な疾患が増加するなど、理由があります。もしかしたら、今後の研究報告によっては、EDもその一つ数えられるかもしれません。

また、BMIは、筋肉量や内臓脂肪量を正しく反映していない場合もあります。いわゆるメタボ検診で、肥満の評価にBMIではなく、ウエスト周囲径が用いられていることも、同じ理由に成ります。

肥満とEDについて

この報告に従えば、今まであった、欧米からの報告と同様に、概ねBMI30程度を境にして、EDが増加すると考えられます。

ただし、解釈に制限があります。

本研究報告は、男性性機能障害外来の患者が対象となっており、一般例とは、母集団として異質かもしれません。 実際に、この研究報告中のEDの有病率は53.1%と高率です。 肥満の男性のED有病率は67.3%であり、正常体重の有病率が51.1%と比較し、高率になっています。対象が1施設で878人と少数なので、科学的エビデンスでいうと、十分と言えません。

今後の科学的データの蓄積が望まれます。

とは言え、傾向を把握することは可能です。ダイエットを行うことで、EDの改善を認めたとする報告は多数あります。思い当たる方は、減量することも、ED治療の一つとお考え下さい。

肥満指数BMI計算ツール

BMI 判定(日本肥満学会)
18.5未満低体重(やせ)
18.5〜24.9普通体重
25.0〜29.9肥満(1度)
30.0〜34.9肥満(2度)
35.0〜39.9肥満(3度)
40.0以上肥満(4度)

Association of BMI with erectile dysfunction: A cross-sectional study of men from an andrology clinic

Front Endocrinol (Lausanne). 2023 Mar 30;14:1135024.

doi: 10.3389/fendo.2023.1135024

【ED】に関する最近の記事

ED治療薬であるシルデナフィルの使用者はアルツハイマー病のリスクが低下する
シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低い

シルデナフィル使用者はアルツハイマー病のリスクが低いという興味深い研究結果が報告されています。ED治療薬として知られるシルデナフィルは、認知機能に対する効果が注目されており、特にその使用者は、アルツハイマー病のリスクを54%も低下していたとする報告があります。しかし、直接的な因果関係は明らかではなく、生活習慣や他の要因も影響を及ぼすことが考えられています。詳細な研究結果や今後の展望について、ぜひご覧ください。

Read More »
妊孕性(妊娠力)を高めるには、GLP-1ダイエットによる肥満の解消が重要です。
妊孕性はGLP-1ダイエットで向上しうる

GLP-1ダイエットが女性の妊孕性を向上させる可能性があることをご存知ですか?肥満は、妊娠に関するリスクを高める一因とされており、体重管理が不妊治療に重要な役割を果たします。最新の研究では、GLP-1受容体作動薬は、単に妊娠前のダイエットに有効なだけではなく、生殖機能に直接的なプラス効果をもたらすことが報告されています。妊娠を希望する女性にとって、無理のないダイエット治療の最有力候補となりえます。

Read More »
女性の性機能障害の薬物療法についての一般的な解説。本邦未認可の薬剤になります。
女性性機能障害の薬物療法

女性の性機能障害は、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。特に、閉経後の女性においては、ホルモンの変化や心理的な要因が影響を及ぼすことが多いです。フリバンセリンやブレメラノチドなどの薬物療法が注目されていますが、効果や副作用についての理解が重要です。さらに、テストステロン補充療法も選択肢の一つとして考えられています。詳しい情報を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。

Read More »
女性の性機能障害についての一般的な解説。簡易的なチェックシートあり。
女性の性機能障害について|簡易的なチェックシート

女性の性機能障害は、多くの女性が抱える悩みですが、理解と適切なアプローチが必要です。本ページでは、DSM-5に基づく障害の分類や、身体的・心理的要因、治療法について詳しく解説しています。決定的な父療法はなく、心理・行動療法や生活習慣の見直しなどを行います。気になる症状がある方は、ぜひ専門医療機関での評価を検討してください。あなたの健康と幸福のために、正しい情報を手に入れてください。

Read More »
高血圧はEDと密接に関与しており、治療により発症を予防する可能性がある
高血圧とED

高血圧は、実はED(勃起不全)の発症リスクを大きく高める要因の一つです。日本では約3人に1人が高血圧と診断されており、特に年齢が上がるにつれてその割合は増加します。研究によると、高血圧患者は正常血圧者に比べてEDの有病率が顕著に高く、重症化しやすいことが明らかになっています。高血圧の治療がEDの改善や将来のEDの予防に繋がる可能性があります。

Read More »
アレルギー性鼻炎や花粉症は男女ともに性機能障害となりうる。
アレルギー性鼻炎の鼻症状は性機能障害に繋がる可能性

今や国民病とさえもされるアレルギー性鼻炎。花粉症と言ったほうが馴染みが有るかもしれません。このアレルギー性鼻炎と性機能障害と、負の相関が有ることが分かってきています。特に鼻閉や嗅覚障害は、男性のED、女性の性的興奮などと、強い負の相関が示されています。

Read More »