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血清葉酸および勃起不全:系統的レビューとメタ分析

葉酸を補い欠乏症を改善することはEDの改善につながる

ED早漏などの性機能障害と葉酸の関係に対する、様々な研究報告があります。 最近の研究では、葉酸が勃起機能EDにも関係している可能性があることがわかってきました。

ここでは、EDと葉酸の関係について報告された研究報告のレビューをご紹介します。

ここで紹介する報告では、EDの重症度(IIEF-5スコアなど)と血清葉酸値との関係や、葉酸を補充することのED改善効果、ED治療薬を使用した場合の、上乗せされる勃起改善効果が検証されています。

葉酸とは

葉酸(ようさん)は、ビタミンB群のひとつで、特に血液や細胞をつくるのに大切な栄養素です。例えばですが、葉酸が欠乏すると貧血が生じたり、細胞の分裂や成長に影響が出ます。特に、妊娠時に葉酸が欠乏することで、胎児の神経発達に影響が出ることが広く知られています。

また、血管を健康に保つサポート、つまり、動脈硬化や心臓病のリスクを下げる効果が期待されています。

葉酸濃度とEDの関係

この報告では、ED患者と健康群との間で、葉酸レベルに、比較的大きな有意な差が認められており(標準化平均差(SMD)は約 −0.94(95% CI: −1.59 〜 −0.30, P = .004)で、ED患者で低値としています。 具体的な葉酸濃度では、健康群が11.85ng/mLであったのに対し、軽度ED患者9.50ng/mL、 中等度ED6.60ng/mL、重度ED5.62ng/mLと、重症度が進むほど葉酸値は低下傾向を示しています。

低下した葉酸に対し、補充療法の成績は、2件の臨床試験でIIEF-5スコアを用いて検討されています。そこでは、IIEF-5スコアが12±5であったものが葉酸0.4mgの投与で20±3、0.5mgの投与で6±0.74が14±4.44と大幅に改善していることが示されています。

また、葉酸5mg+タダラフィル10mg併用群では、プラセボ+タダラフィル10mg群と比較してIIEFスコアが、標準化平均差(Standardized Mean Difference, SMD)約0.90ポイント向上させ、向上させています。これも改善幅としては大きなものになります。

なぜ、EDを改善するのか?

陰茎が勃起をするには、一酸化窒素NOの働きを高めることが大切です。

最近、高ホモシステイン血症がEDのリスクファクターであることが指摘されています。ホモシステインは、内皮由来の一酸化窒素NO産生を抑制するため、EDを誘発するとされます。葉酸欠乏は、このホモシステインの代謝を遅延させ、高ホモシステイン血症を惹起するため、ED発症につながります。

また、葉酸欠乏はテトラヒドロビオプテリンの欠乏に繋がり、血管内皮型一酸化窒素合成酵素を低下させ、一酸化窒素NOの合成を低下させます。これも、EDの原因となります。

葉酸の低下はEDのリスクファクター

このように、葉酸の低下はEDの危険因子であることが推測されます。しかし、例えば、葉酸を補充するにあたっての用量など、不明な点もあります。研究規模が小さいこともあり、今後の研究報告が望まれると、結ばれています。

葉酸の補充は、サプリメントで比較的容易に行うことができ、ED改善効果も大きいことから、有望な治療法の一つになり得ると考えられます。

葉酸の摂取を行うのであれば、現時点では、日本人の食事摂取基準を参考にしていただくのが良いと思われます。過剰な葉酸の摂取は、悪性疾患のリスクを高める可能性もあり、安易な葉酸の摂取はお控え下さい。

参照:

Serum Folic Acid and Erectile Dysfunction: A Systematic Review and Meta-Analysis

Sex Med. 2021 May 26;9(3):100356.

doi: 10.1016/j.esxm.2021.100356

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